上陸!大神蛸!!
鳳凰大陸本部はアメリカのホワイトハウスのような見た目をしていた。入口前には、大きな鳳凰の銅像が立っていてシンボルになっている。
入口の鉄の扉はでかく、高さ3メートルは余裕で越えている風に見える。俺たちは、誰一人として楽しくおしゃべりとかはせず、重くるしい雰囲気でその扉の前に立つ。
扉がゆっくり開き、向こう側に白いロボットが立っていた。
「待っていました。ご案内します」
ロボットの上半身は人間と似ていたが、足が4本もある。動きはとても滑らかで、まるで生きているかのように感じる。しかし、表面がメタルであり皮膚までは作っていなかった。
長く天井が高い洋風の廊下を歩く。自分たちの足音が廊下中に響き渡り、まるで緊張感を演出するドラムロールのように聞こえる。
少し歩きまた大きな扉が出てきた。大きさは先ほどよりも大きく、何メートルあるか予測できないほどだ。雲があるような気もしなくはない。
案内のロボットの手が変形し、鍵の形となる。目視では確認できないほどの鍵穴にさし、ガチャリという音が鳴る。そして、大きな扉がゆっくりと開き始める。
扉の隙間からは強い風がふき、目が細めになり髪の毛も逆立つ。白い霧がすらすらと浮き出ている。ロボットは慣れている感じで、向こう側に行く。
俺達もそれについて行こうと、手で風を抑えながら前に進む。少し歩くと、マンモスのような太くい足が見える。けど、おかしい何故2本しかない。
そう思いながら、上を向くと、黒い髭をもじゃもじゃに生やした大男が台座に座っていたのだ。見た目は巨人だ。座っているので正確な身長が分からないが、座っている高さが3メートルくらいあった。
「よく来てくれた。私は鳳凰大陸王のジザンだ」
「話は聞いていると思うが、我が大陸の代表がやられた。だから、補欠チームであるお前たちが今日から、この大陸の代表だ」
巨人のジザンは、ゆっくりとした口調で語りかけてきた。
「はい」
あまりの威圧感に俺は頭を下げてしまう。巨人を今まで見たことがないので、恐怖感もあった。
「失礼ですが、大陸王様は試合に出られないのですか?その体があれば無敵だと思うのですが」
「貴様!無礼だぞ!」
大陸王の側近の者が怒ろうとするが、ジザンがそれを止める。
「巨人族は体格差がありすぎて試合には出られない。ただし、応援師としては出れるがな。そして、ワシの応援師の才能が無かった、ただそれだけだ」
「ご教授ありがとうございます」
俺の突発的の質問に丁寧に答えてくれた。
「この世界は鳳凰、竜、麒麟、白虎、八岐大蛇、大神蛸の6つの大陸で形成されているのはもう知っているだろ?今代表チームが脱落しているのは、鳳凰大陸1つだけだ。竜、麒麟、白虎はそもそもまだ戦っていないらしいが」
「八岐大蛇と大神蛸。この2大陸が1番面倒で手ごわい相手だ。そして、今アイツらは鳳凰代表を倒して、ひと段落ついている頃だろう。アイツらを倒しに行くなら今だ!戦いで疲弊している今がチャンスだ!」
大陸王は拳を強く握りしめ、力強く言う。握りこぶしの摩擦の音は、すさまじかった。
「まずは大神蛸を攻めろ。1番姑息でやっかいな大陸だ。早めに倒した方が、のちのちこの争いでの立ち回りが楽になるだろう」
「実力はもうドン・ファンから聞いておる。我が大陸のために頼んだぞ」
大陸王と互いにお辞儀を交わし、俺たちは走って移動用カプセルに戻った。
カプセル内の通信を起動させる。
「目的地は大神蛸だ。みんな準備はいいか?」
「おう!」
「いつでもおーけーだぜ」
「みんな頑張りましょうね」
仲間のやる気ある声が聞こえる。
俺は目的地は大神蛸にセットし、出発ボタンを押した。到着までの時間は、わずか1時間。その間、俺らは好きなことをして過ごした。
プシューーー
カプセルは着地直前に風を放出し、着陸の衝撃を抑えてくれる。カプセルが開き、眩しい光で目が開けにくい。
俺は初めて鳳凰大陸以外の地に足を踏み入れる。地面は砂浜で、後ろは海、前はジャングルであった。鳳凰のモダンな感じとは違い、まるでリゾート地のような見た目である。
「本当にここであっているのか?」
「多分あってそうね。だってほら、、、」
ミレイはジャングルの方を指さす。
ジャングルからはボールを打っている打球音と、キャハハハという頭にキーンとくる嫌な笑い声が聞こえてくるのだ。
俺たちはジャングルの中へと進む。少し歩くと、開けた場所につく。そこには、巨大な湖があり、そこで魚人の男たちが、水中で野球をしているのだ。
「す、水中だと...」
俺らが目の前の光景に驚愕していると、魚人のある男が俺らに気づき、勢いよく水中から飛び出してきた。
「お前ら!どこの大陸だ!!!」
魚人を覇気は凄まじく圧倒されそうになる。
だが、俺たちは大陸の代表として来た。代表チームの応援師が狼狽えていては駄目だ。
「鳳凰大陸!代表チームのメルエトワーズだ!!!」
その言葉を聞いた瞬間、魚人は後ろを向き仲間達に向かって叫ぶ。
「フィールド展開だーーーー!!」
それを聞いた魚人たちは水中のグラウンドを整備しだした。また、地上ではサイレンのようなものが鳴り響き、ジャングルに住む鳥たちの騒がしい鳴き声が一斉に鳴る。
その状況は野球が始めるという雰囲気ではなかった。完全に争いが始まるような緊迫感があり、心臓の鼓動が細かに震えはじめる。
「これが野球界大戦なのか」
あの時、俺らは現実を知った。野球の楽しさを伝えるという気持ちが、どれほどまでに場違いな状況なのかと突き付けられた。今から俺たちがやるのは本当に野球なのだろうか。この殺伐とした空気は、世界の終焉を迎え入れる準備に感じた。




