練習?いいや、BBQでしょ!
「試合終了~~~!!」
「やったー勝ったぞー!」
「これでチームの強制解散をされずに済んだ。しかも、1000ゴールドも貰えるぞ。」
チームのみんなが喜んでいる。
「くそっ、なんでだよ。なんでお前ら雑魚チームに負けなきゃいけないんだ」
「応援の差だよ」
応援師のアイツは俺の方を見て、舌打ちで返事をしてきた。
「おい、おまえ。今日でお前はうちの応援師クビだ」
「え、え、、、どうしてだ?」
「はぁ?お前のせいに決まってんだろ。応援バトルで負けなければチームが勝てたんだよ。お前が絶対に勝てるっていうから1000ゴールドで試合したのによ」
「もう俺らのチームの所持金があと少ししかないんだよ、ふざけんなよ」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ~」
チームがグランドから去っていくのを、アイツは惨めな姿で追いかけにいった。
「ふふふ、いいざまね。わたしたちを散々馬鹿にしてきたんだから、あれぐらいの目には合ってもらわないとね」
「そうだな。では、気を取り直して、、、俺ら勝ったぞーー!!」
「いえーーーい!!!」
「最高」
選手たちも楽しそうにはしゃぐ。
「セイヤが応援隊で本当によかった!ありがとう~」
ミレイに優しく抱きつかれる。
「お、おう」
女の子に抱きつかれるなんて初めてだった俺は、大きく動揺してしまった。
応援頑張ってよかったーーーーー。心の中でそう叫んだ俺だった。
その日は、みんな寮に戻るとすぐに寝てしまった。凄く充実した1日だったからだろう。
---翌日の練習----
「よし、今日も頑張っていきましょー」
「おー」
ミレイの掛け声で選手たちが練習を始める。
「なんだか、元気がないわね。昨日、大勝利をしたのにおかしいね」
「うーーーん。きっと、打ち上げをしていないからでは?」
「きっと喜びを消化しきれていなんだ」
「なるほど、確かにそうかも。今までこんな勝利なかったから、喜びの仕方が分からなかったわ。さすが、セイヤ!」
「じゃあ、今日はもう切り上げてBBQやらない?」
「賛成!!」
「みんなー、練習は終わりー」
「なんでだ?、なんでだ?」
選手たちに事の経緯を説明する。
「そういうことか。俺らも何でやる気が出ないか不思議だったんだよ」
「さすが、セイヤ。もうチームには欠かせない存在だ」
「いや、まだまだだよ」
急にグランド近くにバスが止まる。
「はい、超しごてきマネージャーの私がもうバスを呼んどきました~~」
「おおっっ!」
みんな急いで準備をして、バスに乗り込む。
「あれ、俺の席が空いてないな」
「セイヤ!あそこ空いてるわよ」
空いている席に座る。横を見ると、黒髪ロングの女の子が座っていた。
「なにじろじろ見てんの?」
「ご、ごめん。見かけない顔だなっと思って」
「私は霧宮マロン。いつも髪は縛って野球をしているからね」
「そっか。ちなみに守備はどこなの?」
「キャッチャー」
「だから、顔を見ても中々気づけなかったのか。いつもマスク被っているもんね」
「もういい?私寝たいの」
「ああ、ごめんね」
なんだか、難しい子だな。
結局、隣に座る”霧宮マロン”とは、それ以上の会話をすることもなく目的地に到着した。
「とうちゃーく!」
「え、すごい。めっちゃビーチだよ。白い砂浜に青い海」
ミレイがビーチを見て、子供のようにはしゃいでいる。
海に入りたい気持ちを我慢しながら、先にみんなで協力してBBQの準備をした。
「今日は俺の案のBBQに来てくれてありがとう。そして、、昨日の大勝利おめでとう!かんぱーーい」
「かんぱーーーい!!!」
みんなで大盛り上がりをして夜遅くまではっちゃけた。飲んで食べて飲んで、泳いでの最高の日だった。
「ちょっと飲み物無くなってきたー、誰か買い出しおねがーい」
「俺が行ってくるよ」
「セイヤありがとっ」
「ふーーー結構、騒いだな。少し疲れてきた」
夜の浜風を浴びながら、近くのコンビニへと向かった。その途中、階段付近に人影を見えた。
「え、マロン?」
「な、なによ」
「ここで何してるの?」
「ちょっと疲れたから休憩してた」
「そっか」
「ありがとう」
「え?急にどうしたの?」
「セイヤが来てくれたおかげでチームの雰囲気が凄く良くなった」
「そうなの?昔から仲が良さそうな感じだけど」
「うん。昔は凄く良かったけど、最近は少しギクシャクしてたの。なんとか、ミレイの明るい性格のおかげで耐えてた雰囲気があった」
「そういえば、これは元々なんの繋がりで出来たチームなの?」
「みんな幼馴染だよ。小さい頃からずーっとみんな一緒で、チームも一緒に組んだの」
「俺だけ浮いてるなー、はは」
「そんなことないよ。みんなセイヤのこと信頼してるよ。」
「それに、最近会ったような感じがしないってみんな言ってる。昔から付き合いがありそうって」
「まじかーめっちゃ嬉しい。マロンもそう思ってくれてるんだね」
「私は…別に...」
マロンにそっぽを向かれてしまう。
「今から買い出し行くんだけど、どう?一緒に行かない?」
「え、いやよ。めんどくさい」
「いいじゃん。ほら」
なんとか頼み込んで2人で買い出しに行った。
「みんなお待たせ~、買ってきたよ~」
「あれ、その2人ペア珍しー」
「あれれ、もしかしてー」
俺たちが2人で居る姿を見て、選手たちがおちょくってくる。
ミレイが飲み物を選手の口に思い切り押し付ける。
「うごご、、しぬしぬ、、たすけて、、、」
それを見て笑うみんな。
青春だな~。こんな日々がずっと続いてほしい。