史上最高の試合
応援バトルに勝利した俺。応援バトルに敗北したドン・ファン。
時代の壁を越え、互いに2人は本気でぶつかり合い勝負をした。そこには勝敗よりも重要なものを得たような気がした。
応援バトルの勝利報酬で、自分のチームの選手のステータスが大幅に上昇した。
「よし、ここから巻き返していくぞ」
今のスコアは9ー10で、あと2点さえ取れば簡単に逆転できる状況であった。俺たちはこれまで、これ以上の点差を縮めて逆転勝利してきたので、楽勝だと思った。
けど、違ったのだ。ドン・ファンが応援バトルで負けたことによって、逆に相手チームは『やる気』が上昇したのである。パワーやミート、走力といったステータスは上がっては無いが、相手チームの得意分野である『やる気』が上がってしまったのだ。
これが、最強のチームということか...
例え応援バトルに負けたとしても、簡単にやられるようなチームではないから、大陸を代表して戦ってこれたのか。
8回の表。俺らの攻撃。
「セイヤ、全然チーム状況が良くないわ!応援バトルに勝ったっていうのに...」
隣にいるミレイが焦っている。
「こんなの初めてだわ。今まで多くのチームを分析してきましたが、こんな強いチームはありませんでしたわ」
その近くにいる分析係のスズカも、驚いた表情をしている。
「まずい...応援バトルに勝利したというのに、試合の流れがあまり良くないぞ」
応援を使ってはいなかったものの、もう2人の打者がアウトになってしまったのだ。しかも、2人とも良い当たりをしたとかではなく、ただの三振なのである。
もう2アウトの状況で俺は応援を使うか迷ったが、使うことにした。攻撃を全て9回に預けるのは流石に怖いし、8回の裏で投手に応援を使うほどでもないと思ったからである。
「みんな思い出せ!相手は伝説のチームだぞ!簡単にやられるようなチームじゃないってことは最初っから分かってたことだ」
「もう俺たちは9-10までやってきたじゃないか。あと少し、あとほんのもう少しだけ頑張ろう」
俺はベンチでうなだれている仲間たちへ呼びかけた。
「なんだかお前の言葉には力があるよな」
「そうそう、凄く励まさられるよな」
「もう少しだけ頑張ってみっか!」
俺の呼びかけによって、仲間たちは『やる気』を出してくれた。俺の掛け声には、いつも励まされるらしく、何だか不思議な力がこもっているような感覚らしい。
「あいつら...」
俺らのベンチを様子を見るフェニックスナインの1人。
「ドン・ファンよ。見つけたかもしれないぞ。お前が探してた逸材だ」
フェニックスナインの1人は眠っているドン・ファンに向かって優しく呟いている。
「さぁこっからやーー!!」
俺は打者に覚醒応援をかけた。
打者は投手の球を上手くはじき返し、2ベースヒットを打った。俺の掛け声を始め、チームに勢いを取り戻した俺らはヒットを続け1点を取ることができた。
8回の裏。相手の攻撃。
フェニックスナインも負けじと、攻撃をしてきた。だが、俺たちは強くなり過ぎた。フェニックスナインが想定してた以上に、強くなりすぎてしまったのだ。
相手の打者を抑え込み、追加点を許さず8回の裏を終了させた。点数は10ー10で同点である。
9回の表。俺らの攻撃。
「ワシらはまだ諦めんぞい!」
ドン・ファンが気絶から目を覚まし、試合に参加してきたのだ。
ドン・ファンは投手に覚醒応援をかける。俺もそれに負けじと、覚醒応援をぶつけていく。結果は俺の勝利。ヒットは続いていき、3点も追加することができた。
そして、遂に試合が終わる瞬間がくる。
9回の裏。相手の攻撃。
「おっとっと~、もう応援を使ってしまったか...」
ドン・ファンは9回表で応援を使ってしまったので、裏で応援を使えなかったのである。
「けど、おもしろい!最後の最後はお互い素の勝負といこうじゃないか!!!」
ドン・ファンが大声で言ってくる。
「おう!!やってやるぜぇ!!!」
最後の最後は応援という技を使わず、互いに素の力で戦った。そして2アウト、1,2塁という状況になる。
この1球1球のこの緊張感。まるで普通の野球をやっているかのような感覚であった。俺にできるのはただ見守るだけ。
そして運命の球が放たれる。
「いけえええええええええ!!」
「いくのじゃぁぁぁああ!!」
フェニックスナインのチームが打った球は外野の空へ飛んでいく。遠く遠く飛んでいくかと思われたが、力が足りず外野がキャッチをする。
「勝ったぞぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!」
俺らは勝ったのだ。あの伝説と呼ばれたフェニックスナイン相手に勝ったのだ。俺らはグラウンドの中心に集まり、騒いだ。
喜びを分かち合った後、すぐにドン・ファンが寄ってきた。
「ほっほっほ~おめでとうじゃ」
「約束通り秘密の特訓場のありかを教えよう」
ドン・ファンは優しい笑顔で言う。
試合終了して俺らはすぐにドン・ファンに連いていった。今もなお、第二次野球界大戦はやっており、俺はのんきにしている状況なのないのである。
秘密の特訓場はドン・ファンと出会った小さな小屋の地下にあった。小屋の居間の畳をどかすと、鉄の大きな扉が現れた。
俺らはその扉を開け、はしごを使って下に降りた。降りると、そこにはゴツイ見た目をしたトレーニングマシーンがいくつもあったのだ。
「ここが、、、秘密の特訓場か...」
俺は息をのんだ。あまりの凄さに圧倒されたのだ。
「そうじゃ。ここでうちの大陸のレジェンドクラスは練習しているのだ」
「ここが大陸を支えていると言っても過言ではない。ワシらのころから、ある古代遺跡なのじゃ」




