時代の壁を越えた応援バトル
「ホーーームランだぁぁぁ!!」
マロンの雲を突き抜ける打球を見て、仲間の皆が大声を上げる。
「よっしゃあああ!!」
俺もマロンもホームランを確信し、拳を上空に突き上げた。
マロンの覚醒に成功し、1点を追加することができた。これで、点数は1-5となった。まだ、負けてはいるが、確実に勝利の兆しは見え始めていた。
マロンに続く打者たちも、勢いにのっかりヒットを連続して出していった。このまま、勢いに乗って逆転できると思ったが、一筋縄ではいかなかった。
相手は歴戦の猛者であり、この大陸の伝説と呼ばれたチーム。いくら歳をとっているとはいえ、簡単にやられるような相手ではないのだ。
俺らは更なる追加点を1点しか入れることはできず、4回の表が終了した。相手との点差は3点。
「ほ~~、焦ったわい」
ドン・ファンは思ってもなさそうな事を言っている。
「バレてしまったら仕方がない。こちらも覚醒返しといこうじゃないかッ!」
そこからは覚醒と覚醒の殴り合いであった。お互いに、投手を覚醒させることはなく、バッターにだけ覚醒を使い点数を沢山取りに行った。
結果、7回裏終了時点で、9ー10となっていた。どの打席で覚醒を使うか慎重に考え、1番点数がとれると思ったところで覚醒を使った。そのおかげで、満塁ホームランも1回出た。
そして、運命の決戦である応援バトルがやってきた。
「まさか、ここまでいい試合をするとは思ってもみなかったわい。実はいうと、はやく決着をつけて追い返そうと思っていたのだが、想像以上にお前さんらとの野球がおもしろかった」
ドン・ファンは応援バトルのリングに上りながら、そう語る。
「正直最近の野球は面白くないって思っていたが、捨てたもんじゃないかもな...」
「もう少し長生きしてみたくなったわい」
ドン・ファンは体中に力を貯めている。応援の力を体の真ん中に集め、濃縮しているかのようであった。
「光栄です。けど、この試合は勝たせてもらいますよ」
俺も応援の力を体に集め始める。今までに培ってきたもの全てを、この試合にぶつけてやろうと思った。
「ふっ、生意気な若造がよ」
ドン・ファンはそう言いながら、カンフースタイルのポーズをとった。体の周りからは、青白いオーラが発生しており、ただものではない匂いがプンプンとした。
「セイヤッ!!」
大きな回し蹴りをすると、そこから斬撃のようなものが生まれ、こちらへ物凄いスピードで飛んできた。
俺は間一髪のところでかわすことが出来たが、少し服が斬撃にあたり破けてしまった。また、恐る恐る後をみると、斬撃によって粉々に破壊された壁があったのだ。
「やべぇ...あんなの当たったりしたらお釈迦だぞ」
「ほっほ、ワシが褒めたから少し油断しているの」
「少し認めたからこそ、容赦はしないで本気で倒しにいくからな。そもそも、今のワシに応援バトル負けているようじゃ、野球界大戦で生き残ることはできまい」
腕を組みながら、何度も回し蹴りをしてくるドン・ファン。斬撃がいくつも向かってきて、俺はそれを避けるので精一杯であった。
試しに応援の力を具現化させたバットで斬撃を跳ね返そうとしたが、簡単にバットが折れてしまい、あやうく自分も一緒に切られてしまうところであった。
「俺の必殺技のゴッドスイングで倒せるのか!?」
俺は不安になった。
今までの応援バトルで愛用してきたゴッドスイング。この必殺技を使って、多くのことを乗り越えてきた。だが、このドン・ファン相手にゴッドスイングで倒しきれるか不安だった。
「けど、あれならワンちゃんあるかもしれない」
俺はもう一度、応援の力の具現化でバットと球を出現させた。そして、ゴッドスイングの構えをした。
「今までにない、最高のスイングをお見舞いしてやるぜ」
「覚醒ゴッドスイングだぁぁぁぁああああぁぁぁああ」
今回の試合で得た技の覚醒を自身につかい、ゴッドスイングを覚醒させた。
「いっけえええええええ」
覚醒したおかげで、ゴッドスイングで飛ばされた球はレーザービームのように飛び出していった。しかも、その後ろにスイングによって生まれた斬撃がいたのだ。
レーザービームと斬撃の二段攻撃へと進化したのだ。
「おもしろい!止めてやるわい!!」
ドン・ファンは逃げようとせず、姿勢を低くして受け止める構えをした。
直後、とんでもない爆音が響き渡る。あたりは煙が立ちこみ、一体どうなったか分からない状態になった。しかし、煙はすぐに晴れ、立っているドン・ファンの姿が見えた。
「まじかよ...くそ...」
俺は強く絶望した。今の俺ができる最大限の力を使ったのに、相手を倒すことができなかったなんて。そう思っていたら、、、
ドンッ!
膝をつく、ドン・ファンの姿があったのだ。
「なかなかやるじゃねーか。結構体にきたわい」
ニヤリと笑いながら言う。
「は~~~~~ハッッ!」
今度は拳を正面に突き出し、そこから斬撃を飛ばしてきたのだ。しかも、回し蹴りの斬撃も織り交ぜながら、連続攻撃をしかけてきた。
「まだまだピンピンじゃん」
俺は斬撃らをかわし、逃げ回る。
「もう1度、覚醒ゴッドスイングをお見舞いしてやるか!」
俺はそう言い、ゴッドスイングの準備をしようとしたとき。斬撃の攻撃が来なくなったのだ。
不思議に思い、ドン・ファンの方を見ると、ぼうだちで突っ立っていたのだ。そして、”ドスン”という音と共に、その場で倒れ込んだ。
「ドン・ファーーーン!!」
その瞬間、相手チームの仲間がドン・ファンのところへ駆け寄った。
「ったく、無茶するんじゃないよ」
「あんな本気な攻撃何十年ぶりだよ」
仲間が涙目になりながら、体を抱えている。
「負けてすまないのぉ~。けど、楽しかったんじゃ」
ドン・ファンは苦しそうな顔をしながらも、笑みを浮かべていた。




