レジェンドクラスとの遭遇
グラウンドには、黒い球体が地面にめり込んでいた。大きさは人ひとりがすっぽりと入ってしまうほどであった。
「なんだあれは!?」
何かは分からないが、危険な匂いがしたのは確かだった。とにかく異様な雰囲気、オーラが醸し出ていた。
プシューーーー!!
という音を立てながら、黒い球体がパッカリと割れる。
中から続々と人が出てきた。全身黒のピチピチのスーツを着ており、身長も体格もバラバラであった。身長2メートル近くの巨体の男もいたし、140cmぐらいの小さな女の子もいた。
「なんだ?ここは変な所だな」
巨体の男が頭をかきながら、周りをキョロキョロと見ている。
「あっ!やべー、全然違うところにきちゃった!」
黄緑色の長髪で、肌が白くて細身の男が驚いて言っている。
「ったく、何してんだよ」
140cmの小さな女の子が腕を組んで怒っている。
なんなんだ、こいつらは...
俺がそいつらに呆気を取られていると、奴らもこちらに気づいた。だが、特に何も言ってこず、ただじっと見つめてきた。
「誰なんだ?」
「ふっ、こいつらはブロンズらしいぞ。しかも、最近ブロンズになったばかりの雑魚だ」
と、小さな女の子が言う。
「いきなり何だよ、それを言いにわざわざ来たのか?」
「黙れ。我々はレジェンドクラスだぞ。分をわきまえろ」
レジェンドクラス!?クラスの中でも最高峰の、あのレジェンドクラスなのか?
「どうしてここにレジェンドが...世界で6つのチームしかいないはず。初めて生で見たわ...」
隣にいたミレイが驚いている。
「どうする、サキーヌ?」
巨体の男が、小さな女の子に訪ねている。
さっきから見た感じ、あの小さな女の子が意外にもチームのリーダー的立ち位置な感じがするな。あの女の子がずっと中央に立っているし。
「んーー、暇だし。お前ら対戦してやるよ」
「今すぐプレイボールだ」
「え?」
こうして俺らは最高峰のレジェンドクラスと試合することになってしまった。もちろん、試合を断れる雰囲気など無かった。
奴らから発せられているオーラは、本当に真っ黒でいびつであった。誰もよせつけない、これこそがレジェンドクラスというものか、と感じた。
「おい、セイヤ大丈夫かな?」
「俺ら不安だぜ。いきなりレジェンドと戦うなんて怖いよ」
いきなりの試合で選手たちは皆、怯えていた。
「大丈夫だ。俺たちだって成長してきたんだ!何とかなるさ」
そこから続く記憶はなかった。気づけば、目のまえにはボロボロのになっているグラウンドと、そこら中に倒れている仲間の選手たちだった。
スコアのボードには1回の表に、100点と書かれていた。しかも、俺らはアウトを1つも取れていなかった。
「あ、、、、え、、、、あ、、え」
目の前の悲惨な光景と、記憶がなくなった状況で俺は混乱した。なにも言葉を発せられずにいた。
「弱すぎにもほどがあるよ」
巨体の男が喋る。
「ブロンズなんだから、こんなもんだろ」
小さな女の子のサキーヌは、くすりとも笑わず淡々と話していた。
なんだよまじで。急に来て、勝手に試合やらされてボロボロにされるなんて。さっきまで、俺たちは楽しく野球していたのに。
仲間たちとの思い出を思いだし、涙がこみあげてくる。
俺が涙を堪え悔しがっていると、グラウンドの端から綺麗な格好をした男がやってきた。
「おいおい、何してんだよ」
「レジェンドクラスが勝手に他のクラスと戦うのは禁止されているんだぞ」
男は真面目そうな見た目と話し方をしていた。
「は?しょうがないじゃん。暇だったんだもん」
サキーヌはそっぽを向きながら不機嫌そうだった。
「ったく、全然来ないと思ったから、探したんだぞ」
男はサキーヌと話している途中に俺の存在に気づいた様子だったが、空気と同じような扱いを受けた。何も反応されなかったのだ。
「まぁ、ブロンズのやつらが居るが、時間がないのでここで話させてもらう」
「君たちレジェンドクラスを招集した理由は、ただ1つ」
「”第2次野球界大戦”のためだ!」




