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ビギナークラス優勝する者たちは!?

 俺が打席へと向かうと、会場全体がザワつき出した。


 「あいつ応援師だよな?」

 「大丈夫かよ。こんな大事な場面なのに」


 守備をしているスチームパンクの選手も驚いていた。まさか、俺が出てくるとは誰も考えていなかったのだろう。


 見守っているベンチ、驚いて見てる観客とスチームパンクの選手。会場全体の視線は俺へと集まっていた。


 「絶対に打つ、絶対に打つ、絶対に打つ」

 俺はずっとその言葉をつぶやきながら、打席へと向かい立った。


 「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

 また呼吸が浅くなって意識が飛んでいきそうになった。


 また同じ事を繰り返してしまうのかよ。俺は頑張って呼吸を整えようとしたのだが、色々な感情が頭の中に吹き出してきて上手くできなかった。


 打席には立ったが、バットを地面につけ体を支えるようもたれた。早くバットを持って構えたいのだが、今バットを地面から話すと確実に倒れてしまう自信があった。


 「俺、頑張れよ、、、ここで打てなくてどうする」


 だが、呼吸のリズムは悪くなる一方だった。視界も狭くなっていき、倒れそうになった瞬間、大声が聞こえた。


 「セイヤーーーーー!がんばれーーーーー!!」


 俺は大声が聞こえる方向を見た。そこには、松葉杖をついて病院の服を着たまんまのルイがいた。大きく手を振ってきている。


 「ルイ...」

 

 その光景を見た瞬間、心の何かがストンと落ちた。呼吸のリズムがよくなり、視界がどんどんと開けていった。


 「またルイに助けられちまったよ」


 なぜ気持ちの整理が出来たかはよく分からないが、俺の悪いところである考えすぎちゃうのが原因だったのが良く分かった。


 俺はバットを持ち構えることができた。ベンチの方を見ると、仲間たちが嬉しそうにこちらを見ていた。


 「よし、かかってこい!」


 審判から試合再開の合図が出る。だが、投手は投げてこようとしなかった。すると、、、


 パチン!


 俺はまさかと思い、ガイの方を見た。ガイは指パッチンをし終わった手になっていた。ニヤニヤした表情をして、俺の困惑顔を楽しんでいた。


 応援バトル終わってから何も応援してこなかったのに、最後の最後で応援を使ってきやがった。完全にもう何もしてこないと思ったのに...


 「よりによって今かよ...」


 応援で強化された投手の球は凄まじく、目で確認する余裕もないスピードでキャッチャーミットの中へ吸い込まれていった。


 あっという間に2ストライクを取られてしまい、危機的状況になってしまった。


 「ハハッ、ざまぁだよ。ちょっと俺たちといい勝負できたからって調子乗んなよッ!!」

 「お前を三振とって試合終了とか最高のシナリオだぜぇ~!!」


 ガイは楽しそうに大声で叫んでいた。


 俺は頑張って球に食らいついていった。なんとか球をカットをしてファールゾーンに送って、自分が打ちやすい球が来るのを待った。


 2アウト満塁。あと必要な点数は3点。最低2点は取って、同点で延長戦に入りるもありだ。


 そして、遂に運命の瞬間が訪れる。投手が投げた球は少し高めにきており、まさに俺が打ちやすい位置であった。


 俺は自分を信じ、スイングをした。


 カキーーーーーーーーン!!


 打球は大きく弧を描いてレフト方向へ飛んで行った。外野の守備も必死に走って追いかけている。


 「たのむ!追いつくな!」

 俺は走りながら願った。


 打球はレフトの頭上を越えて落ちそうになるも、守備のレフトがダイビングキャッチをしてきた。


 「やばい!!」


 レフトのグローブに球が入った。と、思ったが、球は弾んでグローブの外へと落ちていった。


 「走れーーーーーー!!!!」

 その瞬間、ベンチが叫んだ。


 2、3塁にいた選手はホームに帰ってきて、あとは1塁の選手が帰ってくれば逆転。1塁の選手はがむしゃらに走った。


 スチームパンクの選手も必死になって、ホームへ送球をした。ホームに戻ってくる選手を追いかけるように、送球の球が飛んでくる。


 「走れーーーーーー!!」

 「いけーーーーーーー!!」

 ベンチも必死になってエールを送っている。


 「いけーーー!間に合えーーー!」

 俺は1塁で止まり、大声を出した。


 選手がホームへスライディングをすると同時に、球がホームへと戻ってきて捕手がタッチをしてきた。砂埃が待って、俺からは良く見えなかった。


 観客が結果はどうなったかと沈黙になる。会場全体が静寂に包まれた。


 砂埃が晴れると、手を大きく広げセーフのポーズをしている審判の姿が目に入った。捕手は球を上手く取ることができず、地面に球が転がっていた。


 「勝った、、、勝った。勝ったぞーーー!!!」

 

 俺の頭はすぐに理解できなかった。だが、それはほんの数秒であり、俺はすぐに勝利したことに気がつき叫んだ。


 「メルエトワーズの逆転サヨナラ勝ちだぁぁぁぁぁぁーー!!!」

 観客の歓声で会場全体が揺れ動くほどだった。


 ベンチから選手がゾロゾロと出てきて、俺の方へ走ってきた。みんな笑顔になりながら、泣いていた。


 「勝ったぞーー!!」

 「セイヤーーありがとーー」

 「う、嬉しすぎるぅ~」


 サヨナラでお決まりとされる、水かけを浴びながら仲間たちに感謝の言葉を伝えられていた。


 パァン、パァン、パァン

 音を立てて、紙吹雪が空から大量に舞った。会場全体を覆いつくす、その紙吹雪はとても綺麗だった。そして、その光景はビギナークラス優勝を実感できるものであった。


 「勝ったんだ、俺たちは...」

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