シーソーゲーム
機械スーツを脱いだスチームパンクの選手たち。彼らの本当の実力は化け物級であった...
ランナー1、3塁の場面。スチームパンクとしては、俺らにゴロを打たせてゲッツーを取ってテンポ良くアウトを取りたいところである。
しかし、ゴロを打たせてゲッツーを取るのは狙っても中々難しいこと。そう簡単に出来るものではない。だがら、もう1点欲しいとこだ。
人造人間の投手が球を投げる。低空飛行で、まるで地面との間に透明のスライムがあるかのように、球が小刻みに揺れている。
打者はスイングをしてバットにボールを当てるが、端の方に当たってしまい球が投手の方へと転がる。そして投手はすぐに2塁へ投げ、ゲッツーを成功させたのだ。
「完璧に計算されている。今のはまぐれじゃない。ゲッツーになることを確信して投げていた」
と、俺はすぐに分かった。理論的に分かったというより、感覚で分かった感じだった。今までのスチームパンクとはまるで違う、それは俺以外も気づいていた。
4回の表。スチームパンクの攻撃。
俺は迷わず再び投手に応援歌を使った。なんせ今の流れの状況が少し怖かったのだ。相手が奥の手を出してきて、圧倒的力で抑えてきた。
俺たちは今、野球を楽しめているからこそ、雰囲気に飲み込まれずプレー出来ている。だが、選手たちから少しの恐怖感が伝わってきているのだ。
ここで相手のバッターを抑えることが出来れば、その少しの恐怖感を払拭できて、試合の流れも良くなる。
「頼む、ここは抑えてくれ」
カキーーン、カキーーーン、カキーーーーーン、、、、連続でヒットを打たれてしまう。
俺の応援歌で超強化した投手でさえ、人造人間に敵うことが出来なかった。ホームランは打たれてはないが、全くアウトが取れずヒットを何本も打たれてしまった。
結果、3点も取られてしまった。11ー1という10点差が付いてしまった試合状況になった。そして俺が恐れていた雰囲気になってしまった。
4回の裏。俺らの攻撃。
ベンチに戻ってきた選手たちの顔が引きつっていた。投手が抑えることができなかったので、物凄く反省をしていた。
さっきまで野球を楽しむプレーを続けてこれた。楽しんでたからこそ、強くなって点数も取ることができた。
「さぁみんな顔を上げて。まだ試合は4回だぞ」
「俺たちは最後の最後まで諦めない。そういう野球をしてきただろ?11点取られたなら、俺らは20点取ろう!」
「20点なんか無理だよ」
選手がボソっとこぼす。
「無理なんかじゃない!自分で自分の限界を決めちゃだめだ。俺も応援で全力でサポートするからさ」
元気づけようと励ましたが、それでも選手たちは下を向いていた。だが、俺は諦めず話し続ける。
「アイツらのベンチを見てみ。誰も笑っても無いし、イキイキしていないだろ?」
「人造人間の奴らは強い、めちゃくちゃに強い。けど、野球にかける思いと仲間の絆は俺らの方が強い!」
「存分に楽しんでやろうぜ、この危機的状況ってやつを!」
「はぁ、お前はいつもそうだよな。悲しんでいる俺らが馬鹿みたいになってくるよ」
選手が少し笑いながら、立ち上がった。
「俺もなんだか吹っ切れたぜ。今まで俺らはこんなでっかい会場で戦うことすら出来なかったんだ。せっかくの機会だ、とことん楽しんでやるぜ」
他の選手も立ち上がった。
そして、その声の反応する選手が続々と増えていく、俺も!俺も!俺も!と。気づけば、チーム全員がベンチで立ち上がり、前を向いていた。
「悲しむ時間はもう終わりね。みんないい顔をしているわ」
ミレイも覚悟を決めた顔をしていた。
「よっしゃあ!攻撃してこーーーい!」
打席に選手が立つ。グラウンドには大きい人造人間しかいないが、決して選手はビビってはいなかった。むしろ、笑顔で打席に立っていた。
勿論、全部ヒット打てるわけではない。けれど、アウトになってベンチに戻ってくる時の選手の顔は、決して暗い顔ではなかった。
野球を楽しむ俺ら、圧倒的力でねじ伏せてくる人造人間。俺らは白熱した試合を続ける。点を取られ、点を取りを繰り返した。
観客も1つ1つの動作で大盛り上がりをしていた。最高に野球をしているって感じがした。
そうして7回裏終了時点で、スコアは15ー4となった。
「応援バトルの時間がやってきたな」
俺の心の中は興奮のワクワクで埋め尽くされていた。
「ふおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「きたぜぇぇぇぇぇぇぇえ!!」
「いえーーーーーーーーい!!」
観客も最高潮に興奮していて、ずっとこの応援バトルを待っていたような感じであった。
「俺はお前が嫌いだ。だから最初っから全力でいかせてもらうぜぇ」
ガイは機械スーツを脱ぎ、力の制御を解除した。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
ガイの体から応援の力が噴き出てきて、強風が襲ってきた。
なんてパワーだ、、、応援の力の覇気だけで吹き飛ばされそうになりそうだぞ、、、
なら俺だって最初っからフルスピードでいくぜ!!
「うおおおおおおおおおおおおおお!!」
応援の力を具現化してバットと球を作る。そして、思い切り握りしめた。みんなの想いを乗せて、力いっぱい込めた。
少しの違和感を感じ手元を見ると、バットが巨大化していた。
「な、なんだこれは、、、?」
「まさか必殺技が強化したのか?」
チームの絆が強くなり、野球へこめた熱い想いが形へとなって、バットが巨大化したのだ。
「みんなの想い全てを俺が代弁してみせる!」
「ゴッドスイング!!!」
大きなバットを振り、球を打った。球は打たれた瞬間、レーザー光線のようなものへと変化し、ビームが1直線上にガイの胸元へ飛んで行った。
「いけええええええーーー!!!」




