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奇跡的な出会い

 「セイヤが勝ったぞ~~~!!!」


 選手たちやミレイ達が集まって、楽しそうに騒いでいる。俺はその光景をただ呆然として見ていた。


 応援バトルの勝利報酬で選手たちのステータスが上がり、試合は3ー2で勝利することができた。俺たちは物凄く喜んだ。だが、俺の心には少しモヤモヤが残ったまんまであった。


 試合終了後、俺たちは自分達のテントに戻り、ミレイが作った晩御飯をみんなで食べた。晩御飯はハンバーグに似ていて、それよりももっと肉厚でジューシーなものだった。


 最高の仲間、最高のご飯、最高の瞬間なのは間違いなかった。だけど、俺の心の中には1つの言葉がずっと主張をし続けている。


 「また、選手として野球がしたい」


 ずっと頭の中で駆け回り寝れそうにもないので、俺は散歩に出た。夏の夜風は気持ちがよく、綺麗な星空も見えた。


 近くの池付近に座り、ぼーーっと前を見ていた。何も考えず、ただぼーーっと。


 「なにしてるの、そんなところで」


 後ろから声が聞こえ振り向くと、捕手のマロンがいた。


 「なんだか眠れなくてさ」


 「わたしも」

 

 と、マロンは言いながら俺の隣に座る。


 少しの沈黙が続く。池に映る月が、なんだか眩しかった。


 「わたし、まだ信じられないんだ。ちょっと前まで最弱のどん底チームだったのに、今じゃ本戦1回戦も突破できるチームになれたのよ」

 「だから、本当にセイヤには感謝しているよ」


 「ありがとう...」


 「やりたいんでしょ。選手」

 と、優しく微笑みながら聞いてきた。


 「え?どうして」


 「私だって1人の野球選手よ。あの応援バトルのバッティングを見たら、素人じゃないってことぐらい分かるわよ」


 俺は転生したから、前世の怪我はもう無い。だから、走れるし選手として出ることもできなくわない。

けれど...トラウマが残っている


 ”また、怪我したらどうしよう” そう考えるだけで、脚がすくんでしまうんだ。


 「選手としてもやってみたら?ルール上、応援師が選手として出場することもできるのよ」


 「そ、そうなのか」


 「そしたら、応援師と選手の2刀流だね」


 その後、俺たちは少し池を眺めてから、テントへと戻った。ベッドに入って俺はすぐに寝ることができた。きっと気持ちを打ち明けれたから、気分良く寝れたのだろう。


 翌日、俺はすぐに選手やミレイ達に気持ちを打ち明け、選手としての練習に参加させてもらうことになった。


 「まさかセイヤが選手やりたいとはね。最初は驚いたけど、戦力上がるし、こちらとしてはありがたいことだよね」


 「そうですわね。けれど、セイヤさんの負担が大きすぎるのだけ心配ですわ」

 

 執事も深くうなずく。


 まずはバッティングの練習に参加したのだが、打席に立った瞬間、謎の汗が噴き出る。やはり、完全にトラウマは消えていないことが、よくわかった。


 「くそ、転生して体が変わっても、心は変わってないもんな...」


 案の定、応援バトルの時とは違って、全く打てることができなかった。しかも、打てたとしても1塁へ走り出すことができなかったのだ。


 「あ、足が、、、動かない、、、、」


 打席で固まる俺を見て、みんなが心配の眼を向ける。”早く動け俺の足!”と、強く思い続けるが、出るのは足ではなく、汗と荒い呼吸だけであった。


 「はぁはぁはぁはぁはぁ...」

 

 目の前の景色がぼんやりとし始め、意識がどんどんと遠のいていく...


 気づくと、白い天井が景色に映った。


 「ここは...どこだ...」


 「セイヤ!目が覚めたのね!」

 「ここは病院よ。セイヤが急に倒れたから、急いでここに連れてきたの」


 「あ、ありがとう...」


 見渡すと、ミレイの他に、スズカと執事の姿もあった。


 「ここ最近頑張り過ぎたのよ。次の準決勝まで時間はあるから、少し休んでて」

 「私たちはすぐ練習に戻らなきゃいけないから、何かあったら連絡してね」


 そう言うと、ミレイたちは病室から出ていった。


 「やっぱり駄目だったか...」


 俺が失敗で落ち込んでいると、隣のベッドで寝ている患者が話しかけてきた。


 「君も野球選手なの?実は俺もなんだぜ!」


 喋りかけてきた男は好青年のような見た目だった。黒髪で少し髪は長く、目がくっきりとしていた。


 「同じ人間という種族だからさ、なんだか親近感湧いちゃったんだよね」

 「俺はルイ。ローザスっていうチームで、次が準決勝なんだ」


 「まじか!?俺のチームも準決勝まで進んでるんだ!」


 「じゃあもしかしたら、俺ら戦うかもしれないな」

 

 ルイはそう言いながら、楽しそうに笑った。けれど、ルイの足には白い包帯が巻かれていた。俺の視線に気づき、ルイが答える。


 「これか?この前の試合で怪我しちゃったんだけど、今日で治るから大丈夫!」

 「”特製バリジュース”飲んだからね。怪我はすぐに治るけど、めちゃくちゃ体が痛むやつ。味はオレンジジュースみたいで美味しいんだけどね」


 その後も俺らは他愛もない会話も夜遅くまでした。ルイとは何だか気が合い、いつまでも話していられる居心地の良さがあった。


 ルイには、小さい妹と病気の母がいる。けれど、父親はずっと昔に他界してしまったらしく、稼ぐ人はルイしかいないらしい。


 だからこそ、はやくビギナークラス優勝して次のクラスに行きたいらしい。けれどルイは、”もし対戦することになっても手加減はしないでくれ”と言っていた。

 

 ”人それぞれに勝ち上がりたい理由がある。その理由に大きいも小さいもない”


 この言葉を聞いたとき、とてもルイらしいなって俺は思った。そして、全力でルイと戦いたいと思った。

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