必殺技完成!?だが...
鳴物を使って、打者の能力を上げている。
他の応援師には見えないが、俺には見えるぞ。何のステータスを上げたのか、俺は可視化して見える。
なんだって、『応援の心眼』を持っているからな。
ゴブリンの1番打者はミートが100上がっていた。
カキーーーン!
打球は猛烈な速さで飛び、右中間のところに落ちた。
「いきなりツーベースヒットか、まぁしょうがない」
「ん!?」
目の前には3塁へ向かうゴブリンの走る姿があった。
「嘘だろ、3塁へ向かってるぞ!」
急いで選手が3塁へ送球をするが、ゴブリンはセーフとなってしまった。
普通ならツーベースヒットなのを、スリーベースヒットまで持っていきやがった。しかも、走力を上げずにあのスピードだ。
「あれじゃもう走力が常にアップされているようなものだぞ!」
その後、華麗にヒットを打たれて1点を取られてしまう。
だが、うちの選手も強くなっている。簡単にはヒットを打たせず、1点以内で抑えることができたのだ。
2回表。俺らの攻撃。
俺はまた初めっから応援歌を使って、ミートをお大幅に上げた。
カキーン!
見事打ち付ける打法が成功した、打球をバウンドボールにすることができた。
守備についているゴブリン達はニヤニヤしている。ただのバウンドだと、ゴブリン達は思っているのだろう。
「けど、ただのバウンドじゃない。不規則なバウンドなのだ!」
と言い放った瞬間、バウンドが突如変な方向へ飛び、ゴブリンはエラーをしてしまった。
これが俺と選手の努力の成果だ。並大抵の努力じゃこの不規則なバウンドを打つことはできない。
ただ、俺の応援には練習効率アップのスキルもついているんだ。
そのスキルでは1ヶ月かかる練習成果を約1日で終わらせることができるのだ。
応援効果はないものの、5番、6番と打席は続いていって1点をすぐに取ることができた。
「よっしゃあ!1-1に戻しだぞ!」
2回裏。ゴブリンの攻撃。
ゴブリン応援師もまた、いきなり応援をつかう。
しかし、うちの投手と守備がファインプレーをしてくれたおかげで、なんと0点で抑えることがてきた。
このような1、2回の攻撃と守備を繰り返し、2-2のまんまで、8回まできた。
「またもや応援バトルで決着が決まるってわけだ!絶対に負けない!」
ゴブリンはニヤニヤしながら、こちらを見ている。
ゴゴゴゴゴッ...
スタジアムが変形し、大きな円形のフィールドが出現する。まるでコロッセオの中央部分のようであった。
カコーンと鐘が鳴り、応援バトルが始まる。ゴブリン応援師はすぐさま応援を自身にかけ、脚に筋力を集中させている。
ヒュンッ!!
ゴブリンは光の速さで行動し、すぐ俺の目のまえにくる。
「は、はやい!!」
まだ俺は自身に応援をかけていないっていうのに...
シャッ、 シャッ、 シャッ、 シャッ...
ゴブリンは思いっきり殴ったりせず、鋭い爪で俺の体をひっ搔いていくだけであった。体中が切り傷になり、所々で血が出てしまっている。
(わざわざ気絶させず、精神的に追い込んでいくのか...ゴブリンらしい戦法だ)
しかし、俺もそう簡単にやられる応援師ではない。これまで、幾度の危機を乗り越えてきたんだ。俺は引っ掻けられながら、応援をし、精神力を高めた。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!」
精神力を高めて、高めて、高めていく。限界のさらに限界へ!
「けっけっけ、、、引っ掻き傷が痛くて、頭おかしくなったな」
すでに俺の体は引っ掻き傷ばかりで、綺麗な肌はひとかけらも残っていない状況であった。だが、まだ足りない。あの技を出すには、もっと精神力が必要なんだ...
「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉおおお!!!」
「大丈夫なのか?セイヤ!」
「私、心配で見てられないわ」
「執事どうにか助けれないの??」
応援バトルのフィールド外で、うちの選手やマネージャーなどが、俺の姿を見て心配の声を出している。
だ、、が、、もう安心しろ!
「たまったあああぁぁぁぁぁあ!」
ゴブリンは危険を察知したのか、攻撃の手を一旦止め、フィールド上を高速で移動してタイミングを伺っている。
俺の手には青白いボールがあり、もう片方の手には青白いバットがある。そう、これは、”応援の力を具現化”したものだ。
この具現化は高い精神力が必要であり、練習では1度しか成功しなかった必殺技だ。
「へ?笑わせんなよ人間!その球を当てれるつもりか!?」
「残念だが、絶対にそれは無理だ!!」
「ほ~、果たしてそうかな...?」
俺は応援の力で具現化されたバットを持ち、ボールを真上に投げる。
「俺は...元天才バッターだぞおおおおおおぉぉぉ!!!」
真上に投げたボールが胸のあたりにくる。俺はそれを目掛けて、思いっきりフルスイングした。前世で怪我をしてから、全然バットを振ってはいなかったが、体が瞬時に思い出した気がした。
バゴーーーーーーーーーーンッ!!!
青白いボールは一直線にゴブリンの所へ、飛んで行った。高速移動しているゴブリンの腹に上手くヒットしたのだ。
「ぐぎゃあああああああ」
ボールと共にフィールド外へと飛ばされるゴブリンの姿が目に入る。あぁ、やっぱり気持ちのいいものだ...
応援バトル終了の鐘が鳴り、勝者の名前が叫ばれる。
「また、、、野球がしたいな...」
勝利とは裏腹に、なんだか複雑な気持ちをしている俺がいた。




