第4章 クリスマス
この年、クロちゃんは生まれて初めてのクリスマスを迎えることになった。
優佳と雅人の二人も初めてのクリスマスだった。
町は綺麗なイルミネーションがあちこちで飾られていた。
綺麗で大きなクリスマスツリーも飾られている。
世間はクリスマス一色でとても賑やかだった。
クロちゃんは生後約3か月になっていた。
人間の年齢にしたら5歳くらいである。
まだまだ、可愛い盛りである。
毎日良く食べ、良く眠っていた。
そんなクリスマスが近い土曜日の事だった。
土曜日なので雅人が優佳の家に仕事帰りにやってきた。
今日は玄関を入るなり大きな荷物を持っていた。
優佳が話す。
「今日はどうしたの?その荷物?」
「え?後から話すから部屋に上がらしてよ」
「うん、分かったわ」
そう言うと雅人は部屋に上がってきた。
いつものように作業服を脱ぎシャワーを浴び優佳が用意してくれていたジャージを着た。
犬のマルは雅人を見るととても嬉しそうにしっぽを振っていた。
すでに、ダイニングテーブルの上には夕飯のお酒のおつまみが並んでいた。
マルはそのおつまみが食べたい様であった。
クロちゃんは、優佳の後をくっついて歩いて来る。
二人は着替えを済ませるとダイニングテーブルの椅子に腰かけた。
「お疲れ様でしたー!!」
そう言うと二人は焼酎で乾杯したのだ。
優佳は早々話し始める。
「雅人、その荷物はなに?」
「え?これ?」
「そうよ」
「これは、クロちゃんとマルのクリスマスプレゼントだよ」
「え?マジで?」
「うん」
そう話すと雅人は優佳にプレゼントを渡した。
優佳はとても嬉しそうに受け取っていた。
「開けてもいい?」
「いいよ」
優佳はワクワクしながらリボンを解き包みを開けていった。
雅人はそんな優佳の姿を焼酎を飲みながら見ていた。
リボンを解き、包みを開ける。
すると、黄色いワンちゃん用のちょっと大きめのベッドが出てきたのである。
その黄色はとても可愛らしかった。
優佳はそれを見て大変喜んだ。
「雅人、ありがとう。クロちゃんもマルも喜ぶわ」
「うん、臨時収入が入ってさ、それで買ったんだよ」
「ありがとう、雅人」
そう言うと席を立ち雅人をハグした。
雅人は照れくさそうだった。
尚も話始める。
「優佳にもプレゼントがあるんだけど…」
「え?私にも?私、雅人のプレゼント用意してないわ」
「俺のは別に構わないよ。いつもこうして飲ませてもらってるし」
「そう?何だか悪いわ」
「そんな事ないよ」
「ありがとう」
「はい、これが優佳のプレゼントだよ」
「嬉しい、開けていい?」
「うん、開けてみて」
優佳は小さな箱に掛かっているリボンを解いた。
その小さな箱からブレスレットが出てきたのだ。
ブレスレットはローズクォーツでできている様であった。
とても可愛らしいブレスだった。
「雅人、ありがとう、とても可愛いわ」
「気にいってくれた?」
「うん、気にいったわ」
「良かった」
優佳はとても嬉しかったのだ。
クロちゃんと、マルのベッドの事もそうだったが、自分のプレゼントも嬉しかった。
雅人はそのブレスレットを優佳の手首に付けてあげた。
それを見て嬉しそうだった。
優佳はクロちゃんとマルのベッドも床に置いてあげた。
すると、2匹は今まで自分のベッドだったかのようにそこで一緒に眠り始めたのだ。
その2匹の姿を見ると二人は嬉しそうに笑うのだった。
こうして、クリスマスを迎える事が出来た2匹と二人だった。
二人はこの日も夜遅くまで飲んでいたのである。