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バルシームに気づき近づいてきた友人に
「カル!おはよう」
「オッス」
笑いながら
「カルは鷹揚だなぁ」
「バルシーム位だよ、俺の礼儀作法にそういのは」
「お互いまだ学生だろ?いずれ毎日厳しい中にいるんだから、今のウチはね」
そこで、フト遠い目になり
「お兄様と違ってさ」
数少ない事情を知るカルが
「バルシームの所は相変わらず大変だな」
両親を亡き後頼るべき親族は領地からの搾取しか知らない祖母や率先して担保にして借金を広げる叔父叔母に
小さな時からバルシームの兄のカルラロッジは領地に出向き、出来ることから出来ない事までやらされて
いまでは学園生でありながら
立派な領主がわりだ。
領地施行をしながら、妖怪親戚共からバルシームを隠してきた兄に
もっと頼って欲しい、もっと幸せになって欲しいと焦っているバルシームだ。
ふと、思考に沈んでいたら
周りはうるさくなっていて、場所的に身動きもしんどくなっている状態に気づいたら
「あちゃー、ややこしいヤツが来たかぁ」
「カル?」
うるさい集団に目を向けると
「げ!」
カルの事を言えない下品な声がつい出てしまった
だが、感想を漏らした相手にはしっかり伝わり
「いくらなんでも、平等を謳う由緒正しい魔法学園の生徒の朝の挨拶としてはあまりにどうかと思うが?」
しっかりバルシームに目線を合わせて
銀髪に海の藍の瞳のこの国の王子様
ヘダクヤーサが、わざわざ話しかけてきた
バルシーム的に
しょーーーーーーーじき、朝イチから会いたくなかったよー!!!を隠し
「おはようございます殿下」
礼儀作法を最上級の作法にのっとり挨拶したが
王子と他の未来の右腕達は、挨拶返しなしの『シーーーーーーーーーーーーーーーーン』
を、作り上げる
朝から声をかけてくる癖に微妙な空気作るだけ作って、僕が微妙な空気作ったみたいにするのはやめてくれよ!
心ではツッコミ入れるが現実では言えないから
密かに心の中でやり返してたら
「ブラコン弟くんは礼儀作法からやり直した方が良いな」
礼儀作法に関しては、あの素晴らしい兄から
大丈夫だ、と優しいお墨付きがすんでるからケチをつけられたくなく
おもわず、ムッとした目をしてしまったら
即座に
「皇子に対してその態度はどういう意味だ?」
「自分の立場が解ってないのか‼︎」
などなど
未来の右腕達から集中攻撃を受けて、最後には
「ハァ、愚かな。いくら皇子がお優しいからとバルシーム。甘え過ぎている事に気づかないとは愚者とは哀しいものだ」
バルシームからしたら、『なんかここまで言われたらいっそ清々しいはー』と魂が飛んでると
隣のカルが怒りだしそうな事に気づき
慌てていつものように謝罪と最上級挨拶をし、カルを引っ張っていく