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前編

※元パーティへの「ざまぁ」は一切ありません。

※元パーティへの「ざまぁ」は一切ありません。(大事なのでry

 そーいうお話じゃないです。

(これをあらすじ欄に書いてしまうと、検索にかかってしまいそうなので、前書きに入れました)


「ドーソン、すまないが……」


 冒険者ギルド併設の酒場にパーティ全員が集まったところで、言いにくそうに切り出したのはリーダーである勇者アレックスだった。彼は()()()()()が心底苦手なのだ。仕方ない。

 もっとも、野伏(レンジャー)ドーソンは彼の言わんとすることはわかりきっていた。何しろ、この勇者は唯一の弟子であり、無二の友でもある。前々からこの件について何度も話合ってきたのだ。すべて承知の上だった。


「アレックス! もっとはっきり言えよ! このロートル、危うくベスを殺しかけたんだぞ!」


 王国騎士エルウィンの怒鳴り声に、酒場全体が静まり返った。良くも悪くも、勇者パーティは王国でももっとも注目されるパーティである。そのパーティ内でいざこざが起きたとなれば、周囲の関心を集めるのは必然であった。

 今日の戦闘中、ドーソンの撃ったクロスボウの矢が、味方である魔女ベスの肩に突き刺さったのだ。幸い命に別状はなかったが、この件で、ベスに惚れているエルウィンは激怒していた。

 もっとも、頭に血が上りやすい彼の性格からして、このような態度を取るのは想定済みではあった。

 そして、被害者役であるベスは立ち上がって、


「ドーソン、あなた、事故に見せかけて私を殺す気だったのじゃなくて?」


 ぴしっと人差し指を突きつけて、よく通る声で野伏の行為を糾弾した。これが舞台公演であればきっと、王国演劇アカデミーが今年の助演女優賞に選んでも不思議はないだろう。ただ、この猥雑な酒場においては、些か『演技過剰』という評を下される恐れはあるかもしれない。目的からすると、そのくらいで丁度よいのかもしれないが。


「……」


 ドーソンは無言だ。

 ベスとも付き合いは長い。ドーソンがなぜそんな真似に及んだのか、その経緯についても彼女はきちんと理解している。だからドーソンはここでは何も言わなかった。


「え?」


 一方、急展開する話にエルウィンが戸惑った声を上げた。彼は何も知らされていなかったのだ。まったく、何も。


「なにしろ私は、あなたが戦利品を横領してるのを掴んで、非難してたからね。まさか、殺して口を塞ごうとするとまでは思わなかったけど」

「なんだって!?」


 エルウィンはひどく憤った。もっとも、彼はそんなことのためにベスを傷つけようとした事に怒っているようだが。


「ドーソン、そういうの良くない」


 パーティにおける回復役のシリスはいつもどおりの無表情のまま、棒読みの平坦な口調で言った。ただ、彼女は普段からそんな調子であり、何を考えているのかよくわからない。どこまで状況を把握しているのかは不明だった。


「さて。言いたいことは、それだけか?」


 ドーソンはようやく口を開いた。


「なっ!?」


 エルウィンが目を剥いた。ベスの視線もさらに厳しくなる。シリスはいつもどおり無表情。そして、勇者は辛そうに顔を伏せた。

 さらにドーソンは殺気を滲ませつつ、ふてぶてしく言い放った。


「前々から、俺の扱いにも不満だったんだよ。お前らの尻拭いも、もううんざりだ」

「キサマぁっ! それが仲間を殺しかけておいて言うセリフかっ!!」

「エルウィン、抑えてくれ」


 殴りかかろうとしたエルウィンをアレックスが止めた。


「アレックス!? なんでこいつをかばう!?」

「頼む」

「くそっ……」


 ややあって、アレックスは口を開いた。


「ドーソン、お前には今までの恩義もある。だから、戦利品も金のことも、今日の『事故』のことも、もういい。ただ……、パーティから出て行ってくれ……」


 本当に苦渋の決断と見えた。きっと、誰からもそう見えただろう。


「ああ、そうかい。じゃあ遠慮なく出て行くぜ」


 ドーソンは椅子を蹴倒して立ち上がった。


「待てっ! 装備品は置いてけ! それはパーティのものだっ」


 慌ててエルウィンが言い募るが、


「あ゛ぁんっ!? 欲しけりゃ殺して奪い取ってみろ!」


 これまでドーソンから向けられたことのない本物の殺気を当てられて、騎士は怯んで黙り込んだ。魔族や魔獣からでも、これほどの殺気を感じたことはなかったのだ。周りのテーブルで飲んでいた冒険者らも巻き添えでその余波を浴びて、顔を青くしていた。


「じゃあな」


 そう言ってドーソンは悠々と立ち去っていった。

 事情を知らない者たちから見れば、これ以上ないくらいに完璧な内輪もめと追放劇に映ったはずだった。





 それからというもの、ドーソンの生活は荒れ果てた。

 昼間から安酒で派手に飲んだくれて、喧嘩は日常茶飯事。騒ぎを起こして衛兵に捕まって留置場にぶち込まれたり。およそまっとうとは言い難い生活を送っていた。


 そうして自堕落な生活を送っているうち、ドーソンがいつものように場末の安酒場で酔っ払っているところに、一人の男がやってきた。


「失礼、ドーソンさんですかな?」

「ああん?」


 ドーソンは相手を見やる。年齢はおそらく四十代ほどで、服装は商人風。顔立ちは作為的なくらいに特徴がない。だが、立ち居振る舞いはきびきびとしていて隙がなく、およそ商人らしくなかった。


「わたしはフォードというしがない商人でして。勇者パーティのドーソンさんとはぜひお近づきになりたいなと思いましてね。あ、ここ、相席よろしいですかな?」

「好きにしろ」


 ドーソンはぶっきらぼうに答えた。


「ただ、一つ訂正しとく。()勇者パーティだ。俺はもうあいつらとは関係ねえ」

「ああ、それは済みませんでした」

「それに、勇者について俺が語ることは何もねえ。聞きたきゃ本人に聞け」


 フォードが対面に座った。


「それで、俺に何か用か?」

「いえね、最近はお仕事のほうはどうです?」

「そこそこだな」

「よろしかったら、割りのいいお仕事があるんですけど、どうでしょうかね」

「依頼ならギルドに出せよ。面倒事はごめんだ」


 ギルドを介さない依頼など、たいていロクでもない。割りがいいという仕事なら尚更だ。駆け出しの新人ならともかく、経験を積んだ者であれば、そんな依頼にそうおいそれとは食いつくはずがない。

 ……という理由付けは、普通に考えるなら充分納得のいくもののはずだ。実際には、箔付けのためにすでにいくつかそういう依頼を受けてたりするのだが、ドーソンの目論見としては、今ここであまり簡単に食いつき過ぎるのも避けたいところだった。


「そこをなんとか」

「……」


 フォードはテーブルの上に金貨五枚を置いた。ドーソンが反応しないので、さらに五枚が追加された。


「……いったい、そんなに大盤振る舞いして、何をやらせる気だ? 言っとくが、落ちぶれていても殺しの依頼だけはやらんぞ。他は払いさえ良ければ大概のことはやるが」

「いえいえ、そこまで物騒な話でもないんです。ちょっとした小物の運搬と連絡係ですね」


 結局、ドーソンは仕事を請けた。もっとも、この男が接触してきた時点で、断るという選択はありえなかった。


(せっかく、わざわざあちらさんから()に食いついてきたんだ。絶対に逃がさん)


 元々、「金に困った」という体裁でこちらから売り込みに行く()()だったのだ。向こうから接触してきてくれたなら、手間が省けるというものである。



 ドーソンはいくつか強力な特殊能力(スペシャルアビリティ)を持っているが、その中の一つ、〔看破〕は相手の素性を見破ることができる。〔鑑定〕スキルほど詳細ではないが、ある局面においては極めて有用な情報が得られる。また、相手には探られていることを悟らせない。

 フォードについても、声をかけられた時点で〔看破〕していた。その結果判明したのは、『グローゼウス下位幹部』というものだった。末端のチンピラではない。主導的立場でもないが、それに近いところにいるはずだった。


 秘密結社グローゼウス。魔族に加担する、人類の裏切り者どもの組織である。王国内で暗躍し、これまで数々の工作を行い、幾度となく連合軍を危機に陥れてきた。

 勇者パーティにとっても、結社の排除は非常に優先度が高い課題となっている。そのために、ドーソンが動くこととなったのだ。


――グローゼウスに潜入し、内側から組織を潰す。


 それこそが、ドーソンの真の目的である。

 衆目の前で悪役を装い、勇者パーティを追放されて落ちぶれる、という()()までしてみせたのも、すべてはこのためだった。





 ドーソンが勇者パーティから追放される数日前のこと。

 野営で見張りに立ったドーソンとアレックスはヒソヒソと話し合っていた。


「作戦が漏れている?」


 それを聞いて勇者は唖然とした。


「ああ、間違いない。今日倒した魔族の中に、俺達や連合軍の情報を持ってる奴がいた。グローゼウスの連中と繋がってる」


 ドーソンはそう言って、押収した証拠品などを並べた。


「ここのところずっと戦闘がやたら厳しい気がしてたが、そういうことだったのか」

「うちはまだ『厳しかった』で済んでるんだがな。連合軍はズタボロにされてて、ひどいもんだよ。このままじゃジリ貧だ。王国の諜報部もあてにはできん。下手すると、あそこにも連中が食い込んでる可能性もある」

「しかし、どうする?」


 ドーソンは予てより考えていた案を披露した。


「アレックス、お前が俺をパーティから追放する、ってのはどうだ?」

「はぁっ!?」


 あまりにも唐突で、理不尽な案に勇者は怒った。


「追放って、いきなり何言い出すんだ!? ふざけんなよ!? お前を追放だなんて、オレがそんなことできるわけねえだろっ! 冗談も大概にしろ!」


 勇者はドーソンに絶大な信頼を寄せている。冗談でもそんな話は受け入れられない。


「声がでけえ。冗談じゃないんだけどな」

「余計悪いわっ!」

「すまんすまん。だが、まあ聞いてくれ」


 ドーソンの考えは、彼自身がパーティを離れ、なんらかの形でグローゼウスに潜り込んで組織の全容を探るというものだ。

 もちろん、潜入捜査などというのは王国諜報部も当然試みてるだろうが、あちらではまったく成果が上がっていない。ただ、ドーソンにはいくつか稀有で、諜報に有利な特殊能力がある。それらを使えば、本職でも近寄れない領域に踏み入れることができるのではないか、という見込みもあった。


 グローゼウスはこれまで二度ほど彼を引き入れようと接触してきたことがあった。しかし、それはドーソンの能力よりも、勇者パーティの一員というところに関心を持っていただけだった。連中は用心深い。たとえそんな勧誘に乗ったところで、末端の扱いにしかならず、敵中枢には近づけない。

 結社にもぐりこむには、どうにかして連中に信用させる必要があったが、それは勇者パーティの一員のままでは不可能だ。


 そこで考えたのが、『トラブルを起こして勇者パーティから離反した』ことにするというものだ。それによって、勇者パーティと敵対し、ドーソンは王国にとっての不穏分子に転落する。

 ついでに、非合法な依頼をいくつかこなして、完全に『堕ちた男』を演出するつもりである。

 ただし、生半可な振りではダメだ。グローゼウスの目はどこにでもある。騎士団はもちろん、王国上層部すら信用できない。外部からは、本当に離反したと見られなければならない。

 ドーソンの目論見はそんなところなのだが、


「無茶だろう。連中が引っかかる保証もないし、第一、お前の身がやばくなる。そんなもの許可できない」

「無茶は承知だ。だが、普通に外から追ってるだけでは厳しい。どうしても内側に食い込む必要がある」

「そうは言ってもな……」


 戦いは正々堂々と挑むべきものと信じる勇者としては、こういうまっとうでない戦いは苦手であった。ましてや、そこに大事な友を送り込むというのは受け入れがたかった。

 そこへ、就寝中だったはずの魔女が割り込んできた。


「いいじゃない。ドーソンて、そういうの得意そうだし」

「ベス、お前どこから聞いてたんだ?」

「追放云々のところから」


 ベスは基本的には賛成のようだ。


「ただ、あてはあるの? そんだけやって食いついてこなかったら、ただの間抜けなんだけど」

「しばらくは地下(アングラ)で非合法な依頼をこなして、頃合を見て連中の幹部に直接売り込んでみるつもりだ。外務卿とかな」


 外務卿、王国の外交を担当するゲイル侯爵は、勇者パーティにも積極的に支援していた。だが、その裏ではグローゼウスの幹部として暗躍していた。

 そのことをドーソンは〔看破〕によって察知していたのだが、残念ながら〔看破〕には証拠能力がないため、告発はできなかった。

 また、彼らの配下がどれくらい王宮に潜り込んでいるのかも不明だった。下手に動けば握り潰される可能性が高いうえ、〔看破〕持ちであることを相手に知られかねない。


「他の手がかりとしては、今日の戦闘で得た情報が一つ。あと一応、何人か臭いのがいるんで、その辺りを当たってみようと思うが……」

「ものすごく頼りないんだけど、ほんとにだいじょうぶなの?」

「オレとしては、そんな穴だらけの計画というか、あやふやで出たとこ勝負の話を許可したくないんだが……」

「まあ、なんとかなるだろ。俺の幸運値(LUK)は高いんだ」

「でも、あいつらって、秘密保持のための呪いを構成員全員にかけてるんでしょ? そっちは大丈夫なの?」


 グローゼウスの捜査が進まない理由の一つに、構成員に掛けられる呪いの存在があった。捕縛して尋問しようにも、一言喋ろうとしただけで呪いが発動する。そうなると構成員は猛烈な激痛に襲われ、苦悶にまみれてのた打ち回り、尋問どころではなくなってしまうのだ。

 高位聖職者なら解呪も不可能ではないが、それでも数ヶ月はかかる。呪いが解ける頃には、激痛のあまり廃人となっているのが常だった。

 しかし、ドーソンにはそれに対抗できるはずの術があった。


「俺が持ってる特殊能力は知ってるだろ」

「そうだけど、『アレ』って諸刃の剣でしょ?」

「だぁーいじょぶ。『アレ』でひどい目に何度もあってるが、効果は抜群だ」

「あんたがそう言うならいいけど」

「オレとしては、お前が『アレ』を使わざるを得ないような事態は避けたいんだが……」


 結局、交渉スキルも高いドーソンになんだかんだでアレックスは言いくるめられてしまい、偽装追放案は可決の運びとなった。


「それじゃ、追放される理由を決めておきましょうか」

「俺としちゃ、パーティ資金を使い込んだって辺りを考えてたんだが」

「んー、実際に金が流れてなければ、すぐバレるんじゃない? かといって、それだけ目立つくらいの金額だと、隠れて使い込んだというのは苦しそうだし。そもそも、今の生活してて、大金を使うタイミングなんてある?」

「あー、それもそうか。じゃあ次点で、戦利品をこっそり売っ払って懐に入れていたってのは?」

「ちょぉっと、インパクト弱いかしら。もっと強烈に、パーティに決定的な亀裂が入るくらいのでないと」

「うーーむ」

「そうねぇ……。懐に入れてたのが私にバレて、戦闘中のどさくさに紛れて私を消そうとした、なんてのはどう?」

「おいおい、待てまて、それはさすがに犯罪になって、パーティ追放どころじゃ済まなくなるだろ」

「事故を装ってクロスボウを撃ったものの、狙いを外して致命傷にはならなかった、とかいうことにするのよ。それなら公式には、あくまで事故として処理したとしても不自然じゃないわ。ただし、実際に当てて怪我させないとダメよ? あなたなら致命傷にならないよう正確に当てられるでしょ」

「そりゃ、できるだろうが、お前に撃ち込むのかよ」

「説得力として、そのくらい必要だわ。信頼してるわよ」

「うむむむ……。その辺りで詰めてくしかないか」

「そこまでするのか。よくそんなこと考え付くな……」


 ドーソンとベスの間でとんとん拍子に決まっていく『悪事』の内容に、そういう話に縁遠い勇者はドン引きしていた。


「やるからには徹底してやる。失敗につながる要素は極力減らしておきたい」

「でもそれでは、たとえ解決しても、お前の悪評はそのまま残っちまうんじゃないのか」

「連中を壊滅させられるなら、安いもんだ。俺の評判なんぞどうでもいい。最終的にお前が勝つことこそが俺の望みだ」

「……すまん」

「気にすんな。お前はただ前を見て、まっすぐ進め。足引っ張る奴は俺が排除する」

「ねえ、シリスやエルウィンには教えるの?」

「敵を欺くには味方から、って言うしな。エルウィンには演技とか無理だろ。むしろ真相を知らないままのほうが、本気で怒り狂っていい味を出してくれそうだ。俺はなんかあいつに嫌われてるしな。

 シリスに教えるかどうかは任せるよ」

「らじゃ」

「待ってくれ、演技力とかいったらオレが一番不安なんだが……」

「アレックス、あなたもういい加減長いこと冒険者やってて、いろんな経験も積んでるんだから、そのくらい何とか気合で乗り切りなさいよ」

「まあ、諦めてくれ」

「くっ……」


 ドーソン追放計画はこのようにして決められていった。





 その後、ドーソンはフォードの依頼を十数回受けた。禁制品の輸送が主だったが、中には貴族の屋敷に忍び込んで書類を盗むなんてものまであった。間違いなく100%非合法だったが、ドーソンは目的のために完全に割り切っていた。元々清廉潔白な人間というわけでもない。

 そうして着実に裏稼業の人間としてのキャリアを積んでいって、一ヶ月がたった頃。


「大抵の冒険者は大金が手に入ってもすぐ散財してしまいますが、ドーソンさんはそうでもないようですな。娼館に通うでもなし、昼間から飲んだくれるにしてももっぱら安酒のみ。何か目標があるのですかな?」

「老後の備え、というか願望ではあるがな。こっちの戦争と無関係な西の大陸に渡って土地を買って、スローライフを決め込みたいとは思ってる」


 ふと、打ち合わせの際にフォードが発した問いに、ドーソンはそう答えた。


「は? すろーらいふ?」

「そうだ。畑作って、家畜育てて、それで自給自足して、誰に従うことなく自由気ままにのんびり暮らすってやつだ」

「のんびり、ですか……? 西の大陸も航路が危険すぎて、未だ交易ができるレベルではないといいますが……。それに、農民のような生活を自らしたがるというのは、ちょっと想像がつかないというか、農村の生活は言っちゃなんですが、カツカツ過ぎてのんびりというのとは程遠いと思うんですが。領主が自ら農耕に励むようなイメージでしょうか?」

「まあ、そんなところだ」

「しかし、大陸を渡るのや、土地を得るのもたしかにかなりの資金は必要となりますな。それでしたらちょうどいい働き口があるんですがね。ドーソンさんなら恐らく数年でそのくらい稼げるでしょう。興味ありますか?」

「ほう?」


 確証はないが、フォードの口ぶりからは本命の可能性が高そうではあった。

 それで、ドーソンはその『働き口』とやらの面接を受けることとなった。


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