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第一章3 村に着いたと思ったら敵対されました

ジャンケンたのしー

 先程、エルフに神の友と言ったのは記憶を参考にしたがあれは嘘ではない。何を言っているかと言うとだな、記憶を参考にしたはずなのに何故エルフはこうせざるを得ないという、知っていたような風に言ったのかというと……思い出したからだ。

 どうやら俺のこの記憶は何かのきっかけで連鎖的に色々思い出すようだ。さて、何故この様な長々と言い訳のように説明していたのかというと、記憶と全然違う状況になってしまったからだ。

 記憶には、エルフの村はこの洞窟を出て直ぐ近くの森にあったはずだが、何故かシルエットに連れられて洞窟の奥深くへ進む事になってしまったからだ。


「なあ? エルフってのは記憶では森に住んでるはずなんだが、なんで地下へ進むんだ? シルエット?」

「貴方は馴れ馴れしいな、今私は貴方と知り合ったばかりなのだが急に呼び捨てで呼ぶのはどうかと思うぞ」

「別に良いじゃないか、というかシルエット……なんで5人に分裂したままなんだ? 元に戻れよ」

「いや別に分裂してる訳では……というかこれが元の状態なんだよ、私は五人で一人、一人で五人なのさ」

「へー」

「軽いなぁ、もう少し興味を持ってくれてもいいじゃないか」

「別に疑問に思っていただけで興味は元々なかったからな」

「なんだそれは……で奥に進んでいる理由だったな」

「それは興味あるぞ」


 実際俺の頼りは現状この記憶だけだからな、記憶と違えば不安にもなる。


「おいおい、頼りならココに一人いるだろお? 忘れんなよお?」


 透明人間さんがなんか喚いてますね、後こいつ普通に人の心読んでくるな。取り敢えず無視で。


「私達は地下に住み変えたんだよ、つまり地底人になった訳だ」

「なんでだ? 森の方が便利だろ、食糧とか」

「私達は基本的に飲まず食わずで生きていけるからな、マナさえあれば」

「飲まず食わずでという所に興味が引かれるが、それよりも気になる言葉が、マナって何だ?」

「マナはマナだ」


 あーこの辺脳死か……。


「知りたい時に知りたい事を教えてくれる便利な女! ノーチ様の登場だぞ!」

「お前はそれでいいのか……というか人の心を読むな!」

「目立てればそれで良し! マナと言うのはだな所謂酸素だな」

「セリフ一つ内でのテンションの上げ下げよ、ていうか酸素なのか?」

「比喩だ! 人間がマナを使いマナの残りカス、魔力を出す。そして魔力を植物がマナへと修復する……これはもう酸素で比喩するしかないだろ」

「確かにそのとうりだな」


 つまり、森は植物が多くあるからマナが潤沢に生成される訳で、森で生活するのは理想的な訳だ。ここまでのやり取りだけでここまで理解出来る俺の理解力よ……フッ。

 さてこんなやりとりをしていたら何だかよく分からない所についた。何だこれ? 光景が歪んでるじゃないか。まさかここが目的地とか言うなよ。


「さあついたぞ、ここが私たちの村だ」

「何なんだコレ?」

「村だ! 飛び込めば分かる!」


 と言って俺を歪みに蹴飛ばした、扱い雑いなー言われたら自分で飛び込んだのに。そして歪みを通り過ぎた所にあったのは、村というか都市だった。


「何だここは!? 都市ビル!? え、この世界の文明レベル中世ヨーロッパぐらいじゃないの?」


 俺はますます記憶との違いに混乱してしまった。とりあえず俺は、メイドと書いてある看板が立っている方へ歩き出した。

 だがそんな俺の後ろから大音量の悲鳴が聞こえてきた、気分が悪くなってくる。


「どうにかしてくれー!! 君を狭間に投げ飛ばした後、急に透明な奴が叫び出したんだ!」

「あ、私投げられてないので人違いですね」

「蹴飛ばした! どうにかしてくれ!」


 どうにかしてくれと言われても俺がどうにかしてほしい。と、思っていたら悲鳴が聞こえなくなった。


「止まった……」

「やあやあすまないね、チョット悲鳴がお漏らししてしまったよ」

「お前は空気をぶち壊すのが得意だな、まあでも何かあった訳じゃなくて良かったよ、被害も特に無かったしな」

「何もなかった訳じゃないし私が被害を受けたのだが!?」


 ……疑問が一つ


「なあ、どうやってコイツを狭間にぶち込んだんだ?透明だから見えないだろ?」

「ああ、見えなかったし触れなかったぞ」

「え? 私って当たり判定ないの!? じゃあ、矢躱さなくてよかったじゃん!」


 へー、アレ? 触れられないんだったらおかしくね? と思いノーチのほっぺを突いてみた。


「オイオイ、私のぷにぷにで白いほっぺを突いてどうしたんだい?」

「触れるんだが? というかシルエット、触れないんだったらお前どうやって狭間らせたんだよ」

「狭間らせたって何だ、というか何で触れるんだ……あっ貴方は神の友だったな、忘れていた」

「質問を質問で返すなぁ!」

「……質問を自己完結したからいいじゃないか、で透明人間を―――」

「そろそろ私を透明人間て呼ぶの辞めてくれませんか! 私にはノーチ・ターミヤという3分で考えた思い入れの深い名前があるんです!」


 カップ麺かなんかかな? それともクッキング?


「そうか、それは悪かったな今後はノーチと呼ばせてもらおう」

「うん!」

「急に幼児化するな! というかもうお前黙れよ! 話が進まないんだよ!」

「えーい! ノーチキック!」

「ギャンッ! 背骨が! 何すんだ!」

「裸足で腰を折る!」

「ダジャレか! 折るなら話の腰にしろ!」

「なあ? 話して良いか?」

「ああ……どうぞ」


 シルエットは、俺と話の腰を治して話し始めた。で、ノーチを狭間にぶち込んだんだ方法というのが、地面ごと狭間にぶち込んだんだというダイナミックな方法だった。

 話を聞いた後俺たちはシルエットの家に連れて行ってもらった。


「やあやあどうだいお前達、問題は片付いたかい?」

「あ! ク村長がノコノコ帰ってきたぞ!」

「殺せ殺せ!」

「どのツラ下げて帰って来やがった!」

「ヒャッハー! 汚物は消毒だ!」

「バッカ! 何するんだお前たち!」


 何だこの状況?シルエットがエルフ達にボコボコにされている。


「チョット私も混ざってくるね! ヒャッハー! 一方的にボコってやるぜ」


 ノーチも混ざりに行った、ハハッ短髪のエルフが何にもないところから殴られて変な顔してる……俺も行くか。


「あの〜お客様でしょうか?」

「ン? ああ、お客様だぞ」


 丸メガネをかけた白髪のエルフが声をかけて来た。


「そうですか、私はマル・エールフといいます、取り敢えずこの惨状を沈めますね」


 マル・エールフがメガホンを取り出し。


「皆さん喧嘩してる場合じゃないですよ! 村長が男をたらし込んで連れて来てますよ!」

「「「「えーーー!?!?!?」」」」

「何言ってくれてんのお前!?」


 コイツヤバイわ。


「ついに村長も結婚するんですね!」

「うう、ついに村長を辞める気になったんだ!」

「いるだけで仕事が増えるこの生活から解放されるんだ!」

「おめでとう村長! バイバイ!」

「お前たちマジでぶち殺してやろうか!?」


 めちゃくちゃ、ていうかシルエットどんだけ仕事できないんだろうか? 結局誤解を解くのに1時間かかり、話を聞くといつもこんな感じらしい。アウェーだなぁ。


「ま、いつもの事だけど片付けからしようか」

「そもそも村長が、毎度毎度仕事を僕らに押し付けて逃げなければ、こうはならないんですよ?」

「私が仕事をしてしまったらお前たちカカシになってしまうがいいのか?」

「仕事してください」

「やだ」


 シルエットよ、余計なことを言うなよ。部屋が散らかる。

 あーもう片付け直しじゃんか……てかなんで俺が片付けを手伝わなくちゃならんのだ。それから一時間、やっと片付け終了。


「やっと終わった……」

「全然仕事も進んでないし、ヤバイな」

「やっぱりマルさんが村長になってもらったほうが良いのでは?」

「現村長は隠居という事で」


 片付けをしているうちに皆んなと自己紹介をしあった、しっかり俺が『神の友』だとも説明した、皆んな驚いた顔をしていたがまあそれは後で。ちなみにさっき喋った四人は上から順に、エイ、ビイ、シイ、デイというらしい。


「皆さーん、お茶入れましたよ」

「あ、ありがとうございますマルさん」

「いえいえ、ところで遊八さん?」

「なんですか? シルエットならソファーで寝てますよ」


 アイツクソ野郎だわ、アイツが原因で片付けをしたのに真っ先にお茶をもらいに行って、真っ先に寝やがった。てか寝かたキモ! 五人で重なって寝てんだけど、一番下のやつ大丈夫なのあれ!?


「知ってますよ、いえお話がしたくてですね」

「ああ、そうですか、何のお話ですか?」

「私たちエルフが何で地下に住み替えたのか聞きましたか?」

「あ、そういや結局聞いてない! おしえて!」


 あの後、俺の興味がエルフの話からマナの話に移ったからな。


「フフッ、それはですね……憎き人間どもに森から追われたからですよ」


 マルさんがこう言った瞬間、後ろのアルファベッターズが俺のことを床に押し付けた。


「ッ何しやがんだ!」

「何をされているか分からないんですか?拘束してるんですよ。そして、自分の事を『神の友』だと騙りましたね? どこで知った?そして何が目的だ? 人間? ちなみに村長が助けてくれると期待しても無駄ですよ? 一日は起きませんから、強力な睡眠薬を盛ったので」

「別に騙ってねえよ、本当のことだ」

「嘘をつくな! 村長は騙せても私達のことを騙せると思うなよ! あんな物はただの神話だ! 村長の語る物語だ! 子供騙しの童話だ! エルフが……村長が昔助けてもらった? そんなこと知るか! 本当だとしても知ったことか! 大切なのは今この時だ、昔の話なんか関係ない! だから吐け、いま吐け。今、どこでいつ誰からどの様に私達の神話を、私達が『神の友』だと名乗る者の命令に従うようにという昔からの指示を、命令を、言付けを知ったかを! そして、誰からの命令で何をしに来たのを吐け!!!」

「おい待てよ! 話を聞けよ! 第一お前、俺が『神の友』を騙ってるって言うが証拠ねえだろが!」

「ええ、証拠はないですね。」

「だったら!」

「だったらあなたは何歳なんですか?何年生きてるんですか? 8万歳だとでも言うんですか?」


 あーそっか、考えたら当たり前だったわ、俺が神を殺したのめっちゃ前じゃん。抜けてたわ、記憶なくてもわかる話だったしいま思い出したし、俺は馬鹿か。

 そういや、これも今思い出したことなんだが。エルフはこうするしかないとドヤったけど『神の友』って単語使ったの、幼女に『神の友』の言うことには従うんだよって言ったっていう情景だったわ。俺は馬鹿だ! 記憶に頼りすぎたし、そんなご都合主義があるか! てか記憶の子、後世にまで伝えてくれてたのか。


「違うが、俺は『神の友』だ。信じてもらえないとは思うが本当だ。信じてくれ! というかどうやったら信じてくれんだよ、てかいくら疑わしいからって急にこんな……拘束なんてしなくてもいいだろ!」

「黙れ人間! 私たちは二度と貴様らを信じない!幾度となく裏切られ、利用されてきた! 信じることなど不可能だ」


 んー……。端的に言って仕舞えば床に押し付けられ身動きができないこの状況を覆す方法はある。俺の<プレイルーム>だ。

 しかし、このバチバチに敵対されている状況でもし、俺が何か敵対行動を取れば多分二度と信用を勝ち得ないだろう。それは嫌だ! 記憶では俺はエルフと円満な関係を築いていたようだし仲良くしたい、あまりおぼろげな記憶に頼るのはやめておきたいが、『神の友』という単語は伝わっているのだからなんとかなると思う。

 さて、俺が今敵対行動を取れないとなるとやはりあの透明人間、ノーチに頼るしかないというわけだ。正直言って不安しかないが……というかあいつ今どこにいるんだ?


「ここだよー!!」


 シルエットの山を跳ね除け飛び出してきた……なんでそんなところいたん?


「てい! やー! とう! あちゃー!」

「が!?」「ぎ!?」「ぐ!?」「げ!?」


 ノーチは、俺のことを抑えていたアルファベッターズの顔面にパンチをしていき、四人全員を気絶させた。


「ッ……一体何をした!」

「いや、俺は何もしてないんだが」

「そうそう、遊八は何もしてないさなんせ……何かしたのは私だからな!」


 そう宣言しドヤ顔をしたノーチと、声の主を警戒するマルがいた。




グーがサイキョー

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