神決闘の刻がやって来ましたね!
あれから百時間…神決闘の刻が来た。
あれから更に幻獣界で色々やらかしたグリーダ、ルル、デデが神決闘用の部屋へとやって来た。百メートル四方と軽い運動なら出来る広さだった。
「ここで観るんですか? 観るだけなのに広すぎですよ?」
『そうだよ。ここは神同士が喧嘩しても壊れない部屋なんだ。十位以下の序列戦はここでやるし』
「結局喧嘩するんじゃないですか…序列戦ってなんですか?」
「天異界の序列を手っ取り早く上げる方法だな。自分よりも上位にランダムで挑むんだ。勝てば直ぐに順位が入れ換わる訳では無くて、約一年後の序列発表に優遇される」
「ふーん。序列って何の意味があるんですか?」
「会議の発言力が上がったり、色々サービスも受けられる…上位神として良い顔出来るというのが一番かな」
グリーダから見たら結局あんまり意味が無いような気もするが、上位になれば神格も上がり贅沢も出来るのだ。
野心がある神は常に上を目指している。
『オーッホッホッホ!』
雑談していると、神決闘の相手…ライミーナ・ラディアスが現れた。後ろにイケメンの神を二人連れて。
「あれ? 私ここに居て良いんですか?」
『あぁ、決闘や序列戦はお供を二名連れて来れる』
「じゃあ…私達はデデちゃんの初めてのお供ですね!」
『……そうだな。初めての…ともだち…』
「グリーダ、デデちゃんが泣く程喜んでいる…やったな」
「やりましたね! 私達が居れば序列一位も夢じゃないですよ!」
『とも…だち…トモ…ダチ…』
デデは噛み締めるように、ともだちという言葉を連呼していた。
昔は友達のハードルが高い癖に人見知りだったから友達に無縁だった。焦りが募り…友達のハードルを下げた頃には、周りには誰も居なかった。
独りの誕生日達が走馬灯のように頭を過る。
『はぁ? 序列一位? 何を寝惚けた事を。救いようの無いおめでたい奴を連れて…寂しい寂しいデュラルにはお似合いねぇ』
『……』
『しかも何? 全員色気も無い干物女達…特に黒い奴なんて一生モテなさそうな顔して…この勝負は決まったも同然ね』
「……」
『くくっ、銀の奴は私より年上っぽいわ…笑えるわね。良い年こいて彼氏も居ないおばさん…あらやだ間違えた。干物せ・ん・ぱ・い』
「……」
ライミーナが高笑いをし、両隣に控えるイケメン神もぷっと笑った。
俯いたデデの後ろで、グリーダがチラリとルルを見る。丁度ルルもグリーダをチラリと見ていた。
そして、二人の心が一つになり……
「「……殺るか」」
『……あぁ』
デデの心も加わった。
ルルが天パッドを取り出し、ダンッダンッと強い指圧で何かを打ち込む。すると、デデとライミーナの天パッドがピロンッと鳴った。勝ち誇った笑みを浮かべるライミーナが、天パッドを見ると徐々に眉間にシワが寄っていく。
『…なんですって』
≪決闘内容変更のお知らせ。
決闘内容・喧嘩。
時間・今。
場所・ここ。
星取り戦形式で全勝した方の勝利。規定ダメージ以上で勝ちとなる≫
ガシャン…と、出入口が封鎖された。勝負が決まるまで出られない仕様だ。
ライミーナは少し動揺したが、勝ち誇った表情だった。お供のイケメン神は天異界の中でも上位の実力者だからだ。
もちろんライミーナ自身も有数の実力者…
『ふっ、寂しい奴とおばさんと神でも無い奴に負ける道理は無いわぁ!』
「デデちゃん、大将は譲ってあげますよ」
『…かたじけない』
「なら、最初は私が行こう」