決闘まで99時間あるから、旅行に行きません?
デ 「作戦ったってもう転生した後じゃないか……確か序列百位ジーメに転生させたのは…あ…」
ル 「もしかして、さっきのキノコ太郎さん?」
デ 「うわ…終わった…」
グ 「でも、あれかなり強いですよ。それに、優勝するとは限りませんし」
デ 「それ以前に脇ノコとかクソ馬鹿にされるじゃねえか」
ル 「何か秘策があるのか? 神の手は加えられないぞ」
グ 「私もさっきジーメに転生させたんですよ。竹野浩司さん…略してタケノコ王子さんを!」
ル 「一文字増えているぞ…まさか、脇からタケノコが出るなんて言わないよな?」
グ 「えっ…なんで当てるんですか……キノコとタケノコって永遠のライバルみたいなものですよね」
ル 「だからジーメなのか」
デ 「あれ? 天の声さんは?」
グ 「今晩御飯食べてますよ。あの人リア充ですからね」
デ 「えっ…天の声さんだけリア充とかズルい……」
グ 「だけって事は無いですよ。私達もこうやって独りじゃないからリア充です」
ル 「恋は?」
グ、デ 「「……はぁ?」」
ル 「質問に、はぁ? で返さないでよ。リア充って一般的には恋人とイチャイチャする感じに捉えられるぞ」
グ、デ 「「だから何?」」
ル 「恋人とか恋神は居ないのかって事」
グ 「居ないですね。清い身体を守っていますから」
デ 「居ないな。専業主婦させてくれる神なら誰でも良いけど」
天 ……ただいま。 どうした? リア充爆発しろみたいな顔して。
グ 「正解ですよ。それより物語を進めましょうよ。作戦会議終わりましたから」
天 じゃあ……それから百時間後っていう文字入れるけど良い?
グ 「駄目ですよ。手抜きしたいだけじゃないですか。後99時間あるんですから…旅行に行きましょうよ。友達同士で」
ピクッ――ピクッ――
ルルとデデが反応する。友達同士で旅行……ルルとデデにとって未知の領域だった。
一緒に旅行へ行けるような友達は……「「――言わせねえよ!」」
グ 「なら決まりですねー。この前良い所見付けたんですよー。――次元テレポート!」
バシュン。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
グリーダ、ルル、デデが転移した先。
上を見ると青い空。白い雲。
そして空に浮かぶ島。島から流れる滝が虹色に輝いている。
月は三つ見える。
視線を下げると空を飛ぶ様々な色の鳥や竜。空を駆ける馬や狼。
大地には希少な植物。
幻想的で美しい昆虫がケタケタと蠢く。
そして、遥か遠くに見える大樹。
どの絵画にも表現出来ない様な壮大さ、繊細さを兼ね備えた景色が広がっていた。
ル 「知らない世界…ここはどこだ?」
グ 「ここは幻獣界です! 前にランダムテレポートで来たんですよ。ここなら直ぐに帰れますよ」
デ 「綺麗だなぁ……心が洗われるみたい」
グ 「デデちゃんの心の汚れは絶対に落ちないから洗っても無駄ですよ」
デ 「例えだろが。自覚している」
ル 「デデちゃんは言う程性根が腐っているように見えないが…」
グ 「じゃあ質問……格好良い男が居ました。ライバルは自分より美人な人間です。さぁどうします?」
デ 「人間なんて十年二十年経てばただのババアだろ? 男を拉致して洗脳。後は女がババアになるのを待てば良い」
ル 「成る程…良い感じにクズいな…」
グ 「今度デデちゃんにハーレムについて語って貰いましょうよ。良い感じにディスりますよ」
グリーダ達は遠くに見える大樹に向かって歩きだした。
……その時。
ブォン――足元に魔法陣が出現。グリーダとルルが魔法陣から離れるが、デデがなになに? と気付かない。
グリーダが地面を指差し、デデが見た時には……
「えっ……」――バシュン。デデが消えていった。
グ、ル 「「デデちゃーん!」」
グリーダとルルが手を差し伸べるが既に遅く、デデは何処かに転移していった。
「……グリーダ、ここってもしかして……召喚獣が暮らす場所か?」
「似たようなものですね。あの大樹に近付くほど高位の契約で幻獣が召喚されていくんですけれど、ここら辺は契約無しで召喚される場所です」
早く言えよ…ルルがグリーダを睨むが、グリーダはきょとんとするばかり。
「あっ、大丈夫ですよ。召喚されてそれっぽい事をすれば帰れますから」
ブォン――前方に魔法陣が出現。にゅるっとデデが出てきた。
少し嬉しそうにしているのは、何かがあったと推測するが……
グ 「さっ、行きましょうか」
デ 「ちょっと待てぃ! 聞かないのか? 何していたのとか!」
グ 「いや、別に興味無いんで」
デ 「興味持てよ! 友達が魔法陣に拐われて戻って来たんだぞ! 気になるだろぉ!」
グ 「時と場合によりますよね。召喚獣デデちゃん…まぁ、別に良いかな」
デ 「聞いてよぉ! 寂しかったんだからぁぁ!」
ル 「グリーダ、聞いてあげなよ。可哀想だよ」
デ 「ルルは聞く気無いのねぇ!」
ガヤガヤ話していると…再びブォンっと足元に魔法陣が現れた。
グ 「入ってみます? みんなで入れば怖くないですよ」
ル 「まぁ、楽しそうだから良いか」
デ 「バトル中だったら、みんなで俺ツエーごっこしよー」
グ 「それ良いですね。それぞれ何系俺ツエーか考えましょう」