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ノリの良い悪役ドワーフ、変装しているコピペさんがハムスターを助けるところを見る。

はむすたーは、エサをためる習性があります。

健康状態を見るとき、食べてるな、と思ってもだた場所をかえただけ、ということも。


 王都の外れの治安の悪いスラム街。

 『ドワーフ運輸、ハムズ王都支部』に、客から連絡が入った。

 ミニ精霊が赤の光の点滅を3つ、繰り返しているのを見て、

 

「東町のマドンナ商会だ」

 

 エルフが通訳する。

 

「いつ来い、とか、何の用事、とか分からんのか?」

 

 仲間ドワーフが聞くと、エルフは首を横に振った。

 

「精霊は、物まね程度の伝言しかできない。精霊魔法にまで高めるにはよほど、精霊との相性が良くないと」

「いつものように聞きに行くしかないか」


 髭の立派なドワーフが言うと、ちょび髭ドワーフも


「帰りに飯でも買って帰ればいい。あと、竜の飯も」


 と、同意する。


「ワイバーンにエサをやる時は、絶対に俺が見ている前ではやるな。精霊が言うことを聞かなくなる」

「わかってるって」


 本当にわかっているのだろうか。今だってけっこうぎりぎりだ。と、エルフは思う。はみ出し者同士で、種族の垣根を越えて、つるんで、ずいぶん遠くまで来てしまった。これ以上堕ちたら、ただの強盗団だ。いや、今だって、強盗より悪いかもしれない。


 これ以上、精霊の加護を失いたくない。けれども、故郷から遠く離れた地で、一人になるのはもっと恐ろしい。


 俺は何も知らない。何も考えなくていい。




「あいつ、汚い所は俺たち任せで、むかつく」

「飲食不要の種族でなかったら追い出している所だな」


 ドワーフ二人は、愚痴りながらも、ならず者らしく、鋭い目で周りを警戒しながら、スラム街を抜けていく。


「あいつ、留守番の時にはあんなに嫌ってるのに、ワイバーンの小屋の隣の家に籠って居るんだぜ? いざとなったら、竜を盾にするつもりなんだ」

「スラム街は荒いのが多いからなあ。せめて一般市民向けの区画に引っ越せれば、依頼主だって、あっちから出向いてくれるぜ? 商売がやりやすくなるよな」


「竜、いる時点で無理だろ」

「馬と、変わらんだろうが」

「肉食って、空飛ぶ、馬な」

「はっはー」

「よっほー」


 ヤギや羊の放牧場の横を、通りかかる。警戒した番犬が、垣根の向こうから、吠えかかってくる。子ヤギが母ヤギの乳を飲んでいるのを、うらやまし気に見ながら、足早に通り過ぎる。


「竜のえさのことな」

「えさな」

「もっと、増やせねぇかな?」

「増やすのは簡単そうだな?」

「けど、スラム街は意外と人の目があるからな」

「ばれるかな?」

「ばれるな。すぐだな」

「捕まって死刑だな」

「はっはー」

「よっほー」


 大きな通りの商店街に入る。


 貴族たちの、作りの良い馬車。商人や、農業を営む人の、荷馬車。馬車専用道路の両側に、歩いて買い物を楽しむ人たちの歩道が設けられている。ハムスター獣人たちも歩道を歩いているのだが、時々、車道に出て行こうとする者もいて、町の人たちも慣れたように、手を引いたり体で押したりして、歩道側に押し戻している。


 ロバの背に、荷物を括りつけ、車道の端を歩いている行商人がいる。のぼり旗をたたんで積んでいるが。周囲にいるハムスター獣人たちの落ち着きのなさで、彼の正体はバレている。ハムズ名物、『ヒマワリの種せんべい』屋さんだ。


 足の速い貴族の馬車が、そのロバのすぐわきを通りすぎ、横に積んだ荷物を、かすめた。

 

「あ」


 せんべい屋さんはロバに押されるように、反対側によろけた。

 かすめた荷物は破れ、中から『ヒマワリの種せんべい』が、ぱらぱらとおちた。


 わっと近くにいたハムスター獣人が、せんべいに群がる。


「危ない」

 

 近くにいた冒険者4人が、ハムスター獣人をつかんで、歩道に戻す。


「あ、ばか!」


 見ると、道の反対側から、我を忘れたハム獣人が飛び出していた。目前に迫る、荷馬車。間に合わない

 誰もが思ったその時、ぽんっ、とそのハム獣人の姿が消えた。


 え?


 目を見張る、次の瞬間には、黒の短髪、青緑の印象的な目の冒険者の手の中に、ぽんっ、とハム獣人が現れた。

 

「おおおお~!」


 どよめきが起こり、拍手する人も。


「空間魔法だ。初めて見た」

「精霊魔法の中でも極めて高度な」

「きっと、ランクの高い冒険者なんだろうな。エルフには見えないけど……」


 ドワーフ二人は、人混みから抜け出そうと、前へと進んだ。


「すごいもの見たな」

「おお、すごい美人だった」

「いや、魔法のことだって。それにあれは男だ」

「あんな男はおらん。俺の目はごまかせん。あの短い黒髪はかつらだ」

「喉ぼとけ出てたし。かつらの下はハゲかもしらんし。はっはー」

「よっほー……」


 彼らはマドンナ商会に着いた。裏口から、人目を避けてこっそり、訪問する。


「ドワーフ運輸・ハムズ支店、の者です」


「主よりうかがっておりますわ。少しお待ちいただくことになりますけど、よろしいかしら。それとも、出直されます?」


 黒の制服がとてもよく似合うメイドが、応対してくれた。彼らは待つことにした。



はむすたーにも、個体差はありますが、私の経験上では

ゴールデンは、おっとり。

シャンガリアンは、なつきやすい。

ロボロフは、すばしっこくて、逃げたときがマジ大変。

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