神殿に行ってもハムスターがいた。
ブクマが消える瞬間を見てしまいました……一時間くらいフリーズしていました。
―・・・-・・・-・・・-
町の中心部、高くて白い塔がシンボルマークな、ハムズ王城。
王様・秘書はじめ、大臣たちが、日常的な会議を終え、メイドたちが、お茶を配り、一息ついて、誰からともなく雑談が始まる。
お天気の話をするように、いつものちょっとした愚痴。
「また、増えたような気がしますな」
「いや、魂の生まれ変わり説を信じる限り、全体の数が増えることはないはずですがな」
「昨夜など、布団の中から出てきましたぞい」
「あれも不思議な種族ですなあ~」
「いや、いっそ普通にネズミ型獣人であれば、労働力として重宝するでしょうに」
いや、身長二歳児並みの獣人に、労働力は無理じゃない?
お茶配りのメイドは、思ったが、もちろん口に出したりしない。
話の〆はいつもおなじ。
「ハムスター獣人、ちょっとジャマ」
-・・・-・・・-・・・-
「神官登録の日まで、二日もある」
「二日で済むほうが驚きですよ」
神官であるジュとコピペは、本来の目的である神官登録をまず終わらせたい。しかし、順番と言われてしまえばしょうがない。
大聖堂、祈りの間で大勢の神官たちに交じり、祈りを捧げる。そののち、おのぼり神官や観光客・信者たちに交じって、有名な天井画や古代壁画、ステンドグラスなどを見学。
「前の人に続いてゆっくり進んでください~」
「足を止めないでください~」
聖堂内では、警備騎士まで神官らしい。神官の特徴である、白髪長髪だからすぐわかる。彼らの誘導で、混雑していても、混乱なく前へと進んでいく。
「お足元の、ハム獣人を踏まないようにしてください~」
ちょっと気を抜くと、うっかり躓きそうになる。実際に、蹴ってしまった人もいるようだ。粛々と進んでいく行列の、所々で、
「ヂッ」
と、声が上がっている。
同じ獣人でも、ミケさんとはずいぶん違うな、とコピペは思った。
「次が、回復の泉のある部屋『青の間』になります」
開けた場所に出た。
泉は五メートル四方の、真四角な形で、大きさも形も今までに見たことがないものだった。青く深く、光り輝いていた。
「我が国の『泉』は、各地に現存しているものの中で、最大級のものとなっております。魔物を退け、傷や疲れをいやすその効果は、泉によって差がございますが、これはそういった意味からでも、もっとも、強い力を持っております。古代、神が我々の弱さを憐れみ、贈ってくださったものとされ、町のシンボルともなっております」
幼子でも知っている神話の話が出て、
「おお……」
と、声が上がる。ありがたや……と手を合わす人の姿もあり。
ハムスター獣人さえも、どんぐりのような目をじっと泉にむけ、大人しくしている。果たして、彼らに信仰心はあるのだろうか。
完結している小説なので、最後まで読んでくれたのだろうと思うことにします。私の心の平静の為に……。