表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/13

きのこが現れるがラスボスはコピペさんだった。ハムスターがんばる。

はむすたーあるある。

お店からハムスターを連れて帰るとき、「私が持つ!」と言ってきかない子に、まかせる。

ハムスター入りの箱を、大事に抱える。中から、がりがり。

箱だけでなく、セーターのお腹周りもボロボロ。


 自分たちがいるすぐその横の家で悲鳴が上がった。

 ダの行動は早かった。戸に鍵がかかっているとみると、すぐに窓を探し、それも開かないことをまず確認。


 コピペが精霊魔法で、中を探知するより、ダが戸の鍵を壊して、中に飛び込むほうが早かった。


「なんだ!?」

 ダの声に、コピペも続いて飛び込む。


「はむ……じゃない?!」

 大きさはハムスター獣人ほど。


 しかし、エルフの上にのしかかっているソレは、……『きのこ』だった。



「何の冗談……」


 思わずコピペが『どっきり』と書いた看板を探しても無理からぬことだろう。


 そんなネタなど知らないダは、走り寄って『きのこ』を蹴り上げた。


『きのこ』は、胞子をまき散らしながら、飛ばされ、下敷きになっていたエルフはせき込んだ。


 出遅れた形になったコピペ。

 その後ろから、ドタドタドタと、慌ただしい足音。


「なんだ、なんだ」

「どうした、どうした」


 ドワーフ二人が、コピペを押しのけるように、部屋の中へ侵入。


「げ」

「どっから、出た」


 一人が部屋に走りこもうとするのを、もう一人が腰に食らいついて止めた。ひょうしに、二人ともひっくり返った。

「入んな! 胞子にやられる!」

「…そうだった。すまん」


 言っている間に、ミケも到着。コピペは膠着こうちゃく


 そして、目の前のダは、妙な動きをしながら、同じ場所をくるくる回っている。

「なんだ、これは! 体が勝手に動く!」


 仰向けに倒れたままのエルフも、

「あわわわ……」

 手足をバタバタとさせ、赤ん坊のような有様。まともではない。


「なにこれ? 混乱魔法?」

「みたいなものかな? あの胞子が原因みたいだが」


『きのこ』は、出てきた板の割れ目に戻ると、バリンとその板を割ってさらに穴を広げた。


『きのこ』が、現れた!

『きのこ』は、二匹になった!


『きのこ』は、短い手をシュッシュッと振って、ファイティングポーズ。

「このやろう!」

 かっとなったドワーフ、仲間が止める間もなく、飛び込む。


 ボフン! 胞子攻撃。


「ひー!」

 ドワーフ、『きのこ』にではなく、そこにいたダに、飛び蹴りをくらわし、Uターンして、扉の所にいたミケに飛び蹴りしようとして避けられ、そのまま、外へ。


「しっかりしろ!」

 仲間のドワーフに羽交い絞めにされる。


「ダさん! これを!」

『回復の泉の水』の入った竹の水筒を取り出し、コピペがダに駆け寄る。

 ミケがとっさに止めようとするが間に合わない。


 ボフン! 胞子攻撃。


「あ~~~ほ~~~!!!」


  ミケ、スラム街のやじ馬たちに向かって、全力で叫ぶ!

「全員、直ちに全力退避~~!!!」


 遠巻きに何事かと見ていた、やじ馬たち、わっと蜘蛛の子を散らすように、逃げる。

 反応が早い。



 どど~ん!!!



 地響きがした、一瞬のち、小屋の屋根が、ふっとんだ。



 砂埃が収まったのち、ミケが目にしたのは、テンションがマックスになった精霊たちの中で、

 テンションがおかしくなって、笑い続けているコピペ。

 精霊魔法、暴発である。

 思いがけない、ラスボス登場に、ミケには打つ手なし。


 どど~ん!

 次は竜舎の屋根がふっとぶ。

 ワイバーンは、何事かと、固まっている。


 どど~ん!

 なんの関係もない家の屋根も吹っ飛ぶ。





「はいはい、ちょっと、失礼しますよ~」

 場違いな、のんびりした声がした。

 ミケが振り返ってみると、そこには、


『ヒマワリの種せんべい屋さん』がいた。


 その後ろには、大勢のハムスター獣人たち。



 せんべい屋さんは、のぼり旗から器用に竿だけ外すと、旗をマフラーのように、顔下半分にクルクル巻き付ける。即席のマスク。


 ハム獣人の数人が、隣の小屋から手馴れた手つきでワイバーンを出す。


 ハム獣人たち10人一組で、ダやコピペを抑え込みにかかる。あっと言う間に、ハム団子。


 ハムスター獣人にモフモフ攻撃されたコピペ、癒され、落ち着く。精霊も落ち着く。


 部屋の端に転がされた、竹の水筒を、拾い上げ、回復の水を一口ずつ、飲ませる。


 ハム獣人に引っ張られてきたワイバーン、目の前でファイティングポーズしている『きのこ』を、なんと丸のみに!

 もう一匹が慌てて、床の割れ目に戻ろうとするのを、せんべい屋さん、むんずとつかんで、ワイバーンの口へポイ。

 ワイバーン、腹が膨れたのか、嫌そうな顔をしながらも、もぐもぐ噛んだ。


「まだ、いますかね?」

 穴をのぞき込む、せんべい屋さん。

「ちゅ、ちゅ」

 何か伝える、ハム獣人。


「はあ、そんなに繁殖してしまったんですか。焼くしかないですね」

「ちゅ……」

 ハムスター獣人はしょんぼりしているように見える。


「お客様」

 せんべい屋さんはコピペに話しかける。

 コピペは、ハム獣人にもみくちゃにされて、ヘラヘラしていたが、気が付いて

「私?」

「この中は、ハムスター獣人が掘った、穴が深く続いています。火炎魔法で中を焼き払えますか?」

「……一応、お聞きしても? 中に何が?」

「キノコ型の魔物が、スタンピードを起こしかけてます」

「すぐやります。徹底的にやります」


 精霊ちゃんたち、いきますよ?


 深く長いイメージで炎のヘビをゴーっと、洞窟内に這わせる。

 やりすぎず、足らなすぎず、いいあんばい。キノコの焼けるいい匂いがたちのぼる。


 主人公のくせに、ようやく、いい所を見せることができたコピペであった。



次がようやく最終回です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ