目的地であるハムズ王都についてみたら、ハムスターだらけだった。
前作を読まなくても、話として分かるように書いたつもりです。
でも、前作を読んでいたら「ああ、あれがコレか」と分かるところが出てきます。
今までのあらすじ
記憶を無くした神官さん(?)。異世界人のおばさんの人格をコピペして生きていくことに。
シリアス(たぶん)な過去を持ちながら、逞しくお調子者のおばちゃんのノリで、この世界を生きていく。
旅の仲間は、しっかり者のリアリスト、お酒には弱い猫獣人のミケさん。
信心深いのに長年ニートをしていた神官ジュさん。
そして、プレーリ村の出身、冒険者のダさん。
-・・・-・・・-・・・-
コピペさん達一行は旅の目的地、ハムズ王都に到着した。
歴史を感じる、素晴らしい街並みだ。城は繊細かつ豪華な古城。遠くからでもよく見える、白い巨大な柱が印象的な神殿。その目前に大きく広がる公園。大勢行きかう観光客や信者たちと共に、特に目を引く。
しかし、彼らが驚いたのは、そこではない。
街の中に、わしゃ、わしゃ、わしゃ、わしゃ……。
あまりにも大勢の、ハムスター獣人。
「やばいです。可愛いです。もふりたい……」
コピペさんの手がわしゃわしゃ、怪しげに動く。
「何を言っているのかわからんが、その怪しげな手はやめろ」
と、冒険者で護衛のダさん。隣で中年神官のジュさんも諫めるように口添え。
「神官が変質者とかシャレにならね。やめれ」
「……違う意味でヤバい……」
小さな声で呟いたのは猫型獣人のミケさん。口の中のつばをごくりと飲み込む。ハムスター獣人からそっと目をそらすが、瞳孔が開いて肉食獣の目になっているのは隠せない。
古いが整備され修復されている石畳の道。
でも、ハムスター。
色や形が統一されていて、洗練された雰囲気を醸し出している街並み。
でも、ハムスター。
しゃれたテラスの喫茶で、お茶をすることに。
ただし、ミケさんはがっつり肉を食べることにしたようだ。
喫茶の店員に、ジュさんが声を掛けた。
「ねえ、おねえさん。俺ら、さっき町に着いたとこなんだけどさ。びっくりしたよー」
「旅の人は、みんなそう言いますねえ。私たちはもう日常だから慣れてますけど。彼らは、ネズミ型獣人の亜種なんですけどね。他の獣人と違って、ちょっと動物寄りなんですよ?」
「チンチラ町のように、人間族と獣人族が共存している所もあるが、これはまた違う感じだな」
ミケさんは目の前に並べられた肉の皿にさっそく手をのばす。
「彼らだけで生きていくのが難しいだろうというので、保護されているのですよ。それも神代の昔からです」
「それも、古い歴史なんですねえ。あ、コーヒー、おいしい……」
ああ、この世界でコーヒーが飲めるとは。
コピペさんは、久々のコーヒーが嬉しくてたまらない。
「そうですよ? 神様、たってのお願いだそうですからね」
「へえ?」
時々、はむすたーあるあるをおまけで入れてあります!