乙女の争いと悪魔の誘い
無事迷宮の外に出た俺たちは、ひとまずセレナが止まっている宿に服を取りに向かった。ドロップアイテムの換金やユニークモンスター討伐のランクアップ申請など今日中にやっておかなければならないことはたくさんあるがさすがに全裸の少女に露出プレイをさせる趣味はないので、服を着に戻ってきたわけだ。
そしていま扉の内側では少女二人の生着替えが行われている。
セレナが泊まっているこの宿は冒険者が泊まれるほどの安宿で、基本壁が薄い。木でできた申訳程度の薄い壁からは二人の話し声が筒抜け。
耳を澄ませば着替えの音まで鮮明に聞こえてきてしまう。
「セレナ、おっぱい大きい」
「ちょっと触らないでよっ」
「大きいのは私の敵……。だから削ぐ」
「なんでそうなるのよ」
シャル怖っ。何言ってるんだあいつ。
止めに行きたくても着替えの最中に入れば騎士団のお世話になることは確実だ。誤魔化そうにも壁が薄いので隣の部屋の人に確認されればバレてしまう。掴まればギルドマスターは即クビ。
3年も続ければどんな職場でも愛着がわくもんだとなると俺が出した答えは一つ。
俺は着の扉にそっと手を合わせて目を閉じた。
「セレナご愁傷さま」
俺が祈りをささげている間もドタバタと部屋の中では、乙女の争いが繰り広げられている。しばらく音が続き下着姿のセレナが飛び出してきた。
「カズキーーィ助けてーーー」
赤を基調とした小さくバラの刺繍いくつも施されたデザインの下着は職人の繊細な技が詰め込まれた1品。うっすらと透ける布からはセレナの白い肌がより魅力的に見える。
セレナとバランスの取れた美しい肢体と合わさることでより双方の魅力を引き立てている。白い肌を引き立てる赤色のブラはよく似合っていてどんな男でも一瞬で獣に変えるほどの力がめられている。
エルドラでは物作りとても盛んで武器屋はもちろん日用品や、家具にいたるまで専門の職人が作っている。その中での特に女性用の下着の職人たちの情熱はとんでもないものだと聞く。その結果日本と同じかそれより高品質の下着ができている。
セレナが付けているのもたぶんだが王都の職人街の品だろう。
「あわっ」
そんな魔性ともいえる下着姿のセレナが俺に抱き着いて素早く後ろにまわる。布越しの胸の感触に変な気持ちになりそうだ。
シャルがよほど怖いのかその身体は少しだけで震えている。
セレナが背中に隠れた直後にシャルが出てくる。
シンプルなデザインの赤のネグリジェでセレナから借りたものなのでサイズがあっていない。だがこれはこれでいいものだ。
「マスター、どいて」
「シャル、一回落ち着け」
「ダメ、大きいおっぱいは私の敵。削ぐ必要がある」
「いやねぇーよ」
シャルは基本クールな子なのだが自分の胸にコンプレックスを持っているらしく自分より大きい胸を見ると削ごうとする。
特に自分と同い年くらいの少女だとそうなることが多い。
「ある。だってマスターはエッチだから」
「断じてちがう」
さすがシャル鋭い。
今、俺は完全にセレナのおっぱいに半分以上意識が行っております。
「じゃあどうして鼻の下が伸びてるの?」
「もともとだ」
「やっぱりエッチだ」
「シャル削いでもお前のは大きくならないぞ」
「それでもやらいといけないこと」
今日は特に頑固だな。仕方ない。あまり騒ぎが大きくなっても困る。
「【悪魔の誘い】」
俺の手に現れた黒い羽。
それをシャル向かって投げる。シャルの頭の上をさっと通過すると俺のもとに戻って来る。
シャルの瞼がゆっくりと降り来る。
【悪魔の誘い】は簡単いうと開いてを眠らせる魔法。便利なのは体に当てる必要がなく、魔力が続く限り何人かでも眠らせることができる。
眠らせだけなら風属性の魔法があるが、異属性の魔法以外の魔法がつかえない俺にはよくわからない。
「何したの?」
「ああ、危険だから眠らせた」
「大丈夫なの?」
「1時間ぐらいで起きると思う」
俺はこれを仮眠によく使っている。1、2時間だけ眠るろうとするとそのまま7時間ぐらい寝ちゃうし。
「この間にアイテムの換金をしようと思う」
「わかったわ」
素早く着替えを済ませるとギフトスライムからでた鉱石とゴブリンの内臓をもってギルドに向かった。
初めて評価が付きましたありがとうございます。
ブックマーク登録してくだっさてありがとうございます。