あらたな性癖に目覚めそう。
シャルが起きるのを待って、俺たちはギフトスライムのいた大部屋の隅で今後についての話し合いを始めていた。
シャルは【竜化】したせいで、服がなくなってしまったのでシャルも全裸だ。
「まずは自己紹介からか、俺はカズキ。さっきも言ったがDランクの冒険者兼ギルドマスターだ。でそこの子がシャル」
体育座りで隣に座るシャルの頭に手を置きながら自己紹介をする。
「あたしはセレナよ。何度も言うけどCランクの冒険者よ」
立ち上がって誇らしげに胸を張りながらどや顔を決めるセレナ。全裸でなければきっとツッコミの一つでも入れたところなのだが、俺はさっと目をそらした。しかしプルンっと揺れる胸はどうも何かの作用があるらしく俺の目が引き寄せられていく。
「マスターのエッチ」
シャルに脇腹に拳を入れられた。地味に痛い。
「で? そのしがない駆け出し冒険者でギルドマスターのあなたはどうしてこんなところにいるのかしら?」
「そういえばそこの話してなかったな。まぁ簡単に言えば金策だな」
「金策? ギルドマスターって儲かるんじゃないの?」
「冒険者が来たらそら儲かるけどうちは人すらほぼいない村の経営だからなむしろ出てくばかりだよ」
「それで冒険者って、ほかに稼ぐ方法ならあるでしょ?」
ビジネスなんて発想は全くなかったわけではなかったが問題があるのだ。
「人手不足……」
俺が考えを巡らせていると、シャルが呟いた。
なん言うか全裸の少女と二人と話し合いって俺はいったい何をしているんだろう? と言う気持ちなり始めて来た。
「え? ギルドには職員だっているでしょ?」
「うちのギルドはこのシャルと俺以外に職員はいない」
「それ大丈夫なの?」
「全然大丈夫ではないな」
数秒の沈黙。
「まぁその話はいいわ。パーティーを組む以上はお互いのステータスを確認したいんだけどいいかしら」
「……?」
ステータス? あのゲームに出てくるあれか?
「あなたステータスすら知らないの? 登録するときに説明されるはずなんだけど? それにカズキはギルドの職員でしょ?」
「ほらうちって一応あるだけのお飾りギルドだから。ほぼギルドの仕事したことないし」
「はー? じゃあさっさと戻ってステータスのチェックしましょう。話はそれからよ」
そういって立ち上がり部屋の出口に向かうセレナ。一糸まとわぬ姿はまさに天使のよう。
美しく歩くたびに揺れる尻はなんとも煽情的で刺激がつよい。って
「セレナさーん? そのまま帰ると大変ことになるぞー」
「はい? あっそういえばっ。――もっと早く言いなさいよバカ」
俺に呼び止められたセレナは視線を自分の身体に向けて真っ赤になると、怒りをこちらに向けて来た。
もしかしてセレナってあほなのか?
「ちょっと、どうするよこれ私このままは帰れないんでけど。カズキ何とかできないの?」
「……大丈夫。マスターはすごい魔法を持ってる」
「ほんとにっ!!」
「いや【魔力の創造】で作れるものは一つだから」
「つまり?」
「シャルか、セレナのどちらかが全裸で帰ることになるってことだな」
「どんな魔法よそれ」
「ちょっと不便な創作スキルだ」
「えー」
「まぁ冗談はこれくらいにして」
【魔力の創造】を使い、大きめのフード付きローブを作成する。
「何よこれ」
「セレナとシャルには二人でこれに入ってもらう」
「えっこれ裸で密着しないといけないじゃない」
「…私は平気」
「それが嫌なら全裸で帰るしかないぞ?」
「わかったわよ」
覚悟を決めたセレナはシャルを抱き抱えてローブを被った。
「きゃっ、」
肌にシャルが触れてセレナが声を出した。抱き合う二人。なんと言うかいいなこういう女の子同士も。
なんだか新たな性癖に目覚めそうになりながら迷宮を出るのだった。