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VSギフトスライム

初の戦闘シーン

 ギフトスライムは、少女を己の力にしようと消化と吸収する作業に夢中で動く気配がない。少女を助けるためにもギフトスライムを討伐するためにもこのチャンスを逃がすわけにいかない。

 

 走っている途中、視界の端で光がはじける。足を止めることなく横目で見るとそこには体長2メートルをゆうに超える栗色の鎧のような鱗で覆われた、翼のない一匹のドラゴンの姿が。事情を知らない者なら絶望で気絶するかもしれないが、これはシャルだ。

【竜化】したシャルに飛び乗り、急接近すると、シャルの背中を強く蹴り、前後で挟み撃ちにしようとジャンプする。


「はああああああぁぁぁぁぁ」


 俺の気合を入れるための雄たけびともに宙をまった体は予定通りスライムの後ろに着地する。あとは生産チート【魔力の創造】で槍を作って一突きして終わりだと頭でシュミレーションして、槍を作り出す。

 【魔力の創造】は、俺に与えられたもう一つのチートだ。空気中に漂う魔力を使って武器や道具を生み出す能力。一度に一つしか生み出せずその土地の魔力の質によって、強度や威力が変わる使い勝手のあまりよくないチート。くわえて俺の制御がなくなると、簡単に霧散する。

 

 辺りがまばゆく光り、凝縮ゆく光の粒は徐々に槍の形になっていく。手に何かを掴んだ感触がする。よし、これなら……。

 手に収まる紅焔の槍をもって迷わず突進した。シャルがギフトスライムを抑えて、俺の槍が中にある核部分を出すか突けば勝てる。そう確信して、さらにスピーカーを速めた。まだ俺たちに気が付いてない。

 そう思ったその時、ギフトスライムがこちらに向かって少女の着ていた鎧の破片を吐き出してきた。

 砲弾のように吐き出された鎧の破片ははかなりのスピードで正面突破を狙って来る。このまま直撃すれば間違いなく大けがだ。

 走り出した俺は足を止めるべく、急ブレーキをかける。


(しまった……)


 ギフトスライムわざと気づかないふりをして俺たちに罠を仕掛けたのだ。ぎりぎりまで引き付つける駆け引きのうまさにまんまとだまされた俺たち。反対にいるシャルにも、鎧の破片が飛んで行ったのが見える。

 シャルの方に気を取られて、一瞬、自分に破片が飛んできたのを忘れたおかげで反応が遅れた。破片は心臓を狙ったように左の胸を目掛けて飛んできていた。

 無意識のうちに心臓をかばい右腕でガードする。シャルに噛みつかれた時の何倍も鋭い痛みが右腕を駆ける。その激痛に思わず上げそうになる声をこらえるが、持っていた槍が落ちる。

 俺の手を離れた【紅焔の槍】は空気中の魔力戻ってしまう。痛みで制御が乱れたのだ。

何とかもう一度【紅焔の槍】を出そうとしていると、


「ぐぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」


 シャルの断末魔が聞こえた。見るとシャルから光りがあふれている。【竜化】が解除されるときに起こる光だ。光が収まると全裸のシャルが気絶しているのが見える。これは逆鱗にダメージが入った時だけ気絶するらしく今回がはじめてだ。

ギフトスライムはどういうわけか相手の急所を見分けることができるらしい。

とっさに駆け寄ろうとする俺に前にギフトスライムは立ちはだかる。丁寧に中にいる少女を見せつけるように前に出す。


(もしかして挑発しているのか?)


 シャルが倒され、ここからは俺一人で戦うことになる。

パニックになりそうな気持ちを抑えて、ひとまず中にいる少女を外にだすことに目的を絞る。動き回る状態では少女を事傷つけてしまう恐れがあるからだ。

そっと様子をうかがいながら【魔力の創造】を発動させる。

手に集まる光りの粒。だが、ギフトスライムは完成まで待ってくれなかった。

ひと、一人飲み込んだままとは思えない速さで駆け出すと、弾丸のように自ら特攻を仕掛けてくるギフトスライム。

とっさに【魔力の創造】を中断して回避する。先ほどまで俺のいた場所にはクレーターができていた。

 避けたのがわかるとギフトスライムはそのままジャンプして、壁に張り付く。そこから狙いを定めるように天井を這って動き、俺目掛けてダイブしてくる。

 回避すると増えるクレーター。ここから終わりの見えないダイブの連撃に俺は避ける以外選択を奪われる。

ダイブしては俺が反撃する前に壁に逃げてダイブ。。

うまい具合にこちらに反撃の隙を与えないギフトスライム。


 戦闘は防戦一方の長期戦になってきている。回避によって体力の消耗が激しく集中力もきれてしまった。だんだんギフトスライムのダイブが俺を狙う正確さも増してきてる。

ダイブを受けて飲み込まれるのも時間の問題に思われた。


 戦況が動いたのは中にいた金髪少女が目を覚ましたことだった。

自分のおかれた状況を理解した少女は激しくギフトスライムの中で暴れた。手足をばたつかせて、必死の抵抗を見せる。

ギフトスライムは面白ぐらい形を変えながら地面に落ちてきた。


「なんなのこいつっ。早く出せっ!! このっ! このっ!!」


 鎧どころか着ていた服さらには下着まで溶かされ全裸でギフトスライムの中で暴れる金髪少女。揺れるおおきなおっぱいに、集中力が戻って来る。

 この戦闘で死すら覚悟していた俺だが、なんかいいものが見れて眼福という気持ちになって来た。

 ギフトスライムと金髪少女のプロレスはその後も続いて、柔らかそうな女性の象徴がギフトスライムに包まれてつぶれたり、

まとわりつかれて変な声を漏らしたり。ファンタジーものエロゲのような展開が繰り広げらえていた。たぶんだが金髪少女は俺に気が付いていない。

 だが時間十分には稼げた、俺は【魔力の創造】で三度目となる【紅焔の槍】を作り両手でしっかり握りプロレスを繰り広げている金髪少女に近づいた。


「えっ、人いたの……」

「あはは、やあ」

「いたなら早く助けさいよこのバカぁぁぁぁぁぁ―――」


金髪少女の怒りの叫びで、ギフトスライムの核が心臓の漫画の驚いた人の心臓のように飛び出た。すかさずそこを穿つとギフトスライムは割れた水風船の水のようにはじけた。


「勝ったのか?」

「やったわね!!」


 勝利して上がったテンションで金髪少女と俺はどちらからともなくハグをした。先ほどの怒りも勝利の前では小さいことだ。

 全裸の少女の柔らかさを余すところなく全身で感じる。2か所どことは言わないが固くなっているが、そこのコリっとした刺激もなかなか悪くない。

数秒間の抱き合っていた金髪少女が口を開いた。


「ねぇ、」

「何か?」

「あなたの服、ずいぶん粗悪品なのねちょっと擦れて痛いわ」


 そう言いながら目線を下に下げた。そして表情が強張る。

その後、俺は何者かに殴られ気を失った。

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