日常の崩壊
俺──福木誠は12才の頃海岸で死にかけていたところを福木財閥の娘──福木桜に見つけられたらしい。らしいというのは、そのときの記憶と産まれてから小学校までの記憶がないからだ。
今俺は、16才の高校生。福木財閥が俺を養子として向かいいれてくれたおかげでここにいる。
記憶を無くしてから4年も月日が流れれば以外と慣れていくものだと思う。
「今日の宿題はやったの桜?」
「誠~。今日の宿題見せて。」
「ダメだよ。自分でやらないと。」
彼女は福木財閥の娘の福木桜だ。桜の容姿は10人中10人が美少女と認めるほど容姿が整っている。
「いや~。いつもどうりやっていますね~。」
「お前からもいってくれよ。」
彼は高吉新。俺の友達だ。
「じゃあ、僕がみせてあげるよ。」
いきなり会話に入ってきたのはモテない男子の敵──小山英馬だ。英馬は10人中7人が美男子と認めるほど容姿が整っている。そして、桜に想いを寄せている。まぁ、恋愛感情がない俺には、わからないけどね。
「朝の連絡があるから席に着け。」
「だってさ、残念だったね。桜。」
「誠の意地悪。」
「やっと終わった~。早く帰ろう誠。」
「わかった。」
「誠は過去の記憶とか、感情が戻ってきてほしい?」
何を言い出すのかと疑問に思い顔を覗くと真剣な眼差しで質問している。
「別に過去の記憶はどうでもいいけど、感情とかは戻ってきてほしいかな。」
「そうなんだっ!よかった~。」
何がよかったかわからないがきっとよかったのだろう。
どうしてこうなったか?って思う。でも、きっと神の気まぐれだったんだと思う。そう信じたい。
「おはよう。新。」
「おっ、今日もラブラブお二人で登校ですか、誠」
「変なことを言うなよ。桜が困ってるだろ。」
「い、いや私は、ぜ、ぜんぜん困ってないからね。」
ほら、顔を赤くしながら困ってるじゃないか。
「おーいお前ら席に着け~。」
「「「「ヘ~い。」」」」
「今日の連絡は───」
突如、床に魔方陣のような模様が浮かび、光輝いた。
あれ?意識はあるのに目が開けられない。
「やぁ。召喚される勇者の一人よ。」
召喚?勇者?
「そう君たちは選ばれたんだ。」
どうして?
「さぁ。世界の気まぐれじゃないかな?」
君は誰?
「やっと聞いてくれた。僕は神さ。」
神が何のよう?
「君たちが他の世界に行くから全員に力を与えれいるのさぁ。」
他の世界?
「そう君たちは地球から消えて異世界──エルメルに行くのさぁ」
そう。
「あれ?けっこう動揺とか、驚きはないんだねぇ。」
生きられればそれでいいから。
「そうかい。じゃあそろそろ力を与えるよ。」
「君にとっての力とは、なんだい?」
力?生きられればそれでいいよ。
「本当に、これは君の本能に聞いているんだよ。強く望んだ力とか、無意識に望んだ力とか、ないの?」
俺にとっての力──すべての理不尽をねじ曲げる。誰にも奪われない俺だけの力。
「それだけかい?」
いや、もっとだ。すべての理不尽だけではなく、世界すらねじ曲げる力。誰にも奪われないじゃなくて、俺にしか使えない力。もう二度と失わないような力。
「そう。それが君の望んだ力。」
あれ?俺は何を言って───
「君の力は世界の書き換え──《神々の遊び》」
神々の遊び?
「そろそろ時間だね。では、新たなる世界へ」
そんな声を聞いて意識が消えていった。
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「これでよかったのかい?エルメルの神───ティーターンよ。」
「ああ、ありがとう天照大神。」
「でも、何であの子だけわざわざ真実の部屋なんて用意したんだい?」
「まぁ、見てればわかるよ。」
「ふ~ん。まぁ、彼が望んだ力は驚いたからね。」
「彼はどんな力を望んだだい。」
「《神々の遊び》だよ。」
「それは本当かい?とても面白くなった。しばらく退屈しないですみそうだ。」
「彼は大変だね。お前に気に入られるなんて。しかも、わざわざ、転移陣を書き換えたんだからねぇ。」
「それは、言うな。でも、お前もきっと気に入るよ。彼はそれだけの運命を背負っているから。」
「そう。まぁ、楽しく見るよ。」