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無名のヒーロー

作者: 色色色

 夏が過ぎ日没が速まり始めた頃、夜の静寂などお構い無しに若者たちは騒ぎだす。

 住宅地に位置する公園、昼は子供と主婦の溜まり場、しかし夜は不良少年達の溜まり場と化していた。

 そんなある日の事、少年達は季節はずれの花火を持ち寄り、各々が好き勝手に火をつけ騒いでいる時。

「そう言えば世直しマンって知ってるか?」

 はしゃいでいる少年達の一人が突然話を仲間に振る。

 みんな口々に突然の話題に対し笑い声をあげ始めた。

「それは都市伝説だろ?んなの誰でも知ってるだろ」

 笑いながら少年に言葉のボールを投げ返す、少年はその返答に少しだけ顔を曇らす。

「それが本当に出るらしいんだよ、俺のダチが一人世直しマンにボコられたらしいんだよ……」

 少年の言葉に全員が固まり、そして慌てだす。

 不良のネットワーク上にしばしばあげられていた話題の一つ「世直しヒーロージャスティスマン」通称世直しマン。

 真っ赤なレインコートに身を包み、粗末なお面を顔に付けて、突然不良達の溜まり場に現れては様々な暴力を駆使して全員を病院送りにすると言われている。

 最近ではそんな話が色々な噂を引き連れて、中高生の間でしばしば話題にあがり始めた。

 不良たちは口々に不安を吐き出す。

「……テメェら、うるせーぞ!」

 騒がしい少年を一喝する一人の男。

 年齢は少年達と変わらないが、体格だけは倍以上の人物。彼はこの不良達のリーダー的存在だ。

「つってもよ!世直しマンは本当に頭がおかしいんだよ!」

「うっせぇ!んな奴が現れたら俺がコイツでボコボコにしてやんよ!」

 リーダーの男は自らの脇に置いておいた木刀を高々と持ち上げる。

「流石だぜ!剣道経験者は言うことが違うぜ!」

 リーダーの男の行動に他の不良達が一斉に騒ぎ出した。

 周りを見渡し自分への熱い眼差しを感じ、満足そうに木刀を元の位置に戻す。

 彼が木刀を置いた時、突然公園内に設置してある無人のブランコが揺れ始めた。

 一同、瞬時にそちらを向く。

「何で……動いているんだ!?」

 みんなの気持ちを一人が代弁する。

「それは俺がぶつかっちゃったからだよ~」

「「「!!?」」」

 声がした方をみんなが一斉に向く。

 公園内に設置されている滑り台の上に彼は居た。

 真っ白なレインコートに馬鹿げたお面を付けた少年がそこにいた。

「誰だテメェは!」

 リーダーの男が自らの恐れを声を荒げる事で紛らわす。

「誰だテメェは!と聞かれぇ―――」

「わかった!世直しマンだ!!!」

 お面男のセリフに被せるような勢いで言われお面男は微妙な格好のまま止まっていた。

 彼らの間を重い空気が流れる。

「て、テメェが世直しマンか!……噂だった赤いレインコートを着ているはずだが?」

「レインコートぉ?ああ、それな―――」

「多分今まで血祭りにあげてきた奴らの返り血ですよ!そうだろ!!!」

「…………あぁ」

 見るからにやる気を無くす世直しマン、リーダーの男も何故か申し訳無い気持ちでいっぱいになった。

「……めんどいからお前ら全員私刑な」

「「「んぇ!?」」」

 不良達は軽い物言いで自分達の死が決定したことに度肝を抜かれた。

「それが人間のやることか!それでもウギャァァァアアア!!!」

 真っ先にやられたのは一番空気の読めなかった奴だ。

「彼奴はどうやって!?」

「彼奴の手を見なされ!」

 離れた場所にいたのに一瞬で倒したことに驚き慌てふためく中、一人の不良が世直しマンの方を指さす。

「い…し……?」

「アイツ石を持ってるぞ!」

「なかなかデカい石だな!!」

「それだけ俺らを倒すって言う意志の表れだろ」

「石だけに!!!ってウギャァァァアアア」

 石の犠牲者が着実に増える。

「テメェら!相手はたった一人だ囲んでやっちまえ!!」

 リーダーの男が大声をあげる、それに対して不良少年らは近くに落ちている木の棒や小石を握りしめて走り出す。

「…………」

 世直しマンは無言で足元の石を投げつける、拾っては投げ拾っては投げを繰り返す。

「石だって無限じゃないんだ!」

「無くなった時が最後だ!!」

「やっちまえ!!!ってウギャァァァアアア!」

 一人一人確実にダウンさせられていた。

「……ッチ、石が」

「っ!今が好機だ!攻めろぉぉぉおおお!」

 世直しマンの言葉にチャンスだと思ったリーダーの男は叫ぶ。

「うぉぉぉおおお!」

「攻めるぎゃぁぁぁあああ!」

「!?……どうしたんぎゃぁぁぁあああ!」

 リーダー男の言葉に従い、突っ込んで行った不良少年達が倒れる。

 世直しマンは石が無くなると直ぐに、レインコートな内側からビー玉を取り出し投げつけていた。

「もう嫌だぁぁぁあああ!」

「俺も逃げるぅぅぅううう!!」

「テメェら!逃げるなぁぁぁあああ!!!」

 世直しマンを恐れ逃げ出す不良少年達、その背中に向けリーダーの男は叫ぶ。

 その場に残ったのはリーダーの男を含めたった五人であった。

「不良のリーダーさぁん、五十人近くいたお仲間さんもたった数人になっちゃったね~」

「うるせぇ!正しくは四十三人だ!!!」

 リーダーの男は木刀をきつく握りしめ世直しマンを睨みつけた。

 世直しマンも滑り台から降り、レインコートの中に隠していた金属バットを取り出して構える。

「…………」

「…………」

 両者の間に沈黙が流れる。

 両者が睨み合う中で、先に動いたのはリーダーの男だった。

「テメェら!やっちまえ!!!」

 仲間に指示を出して闘わせるリーダーの男。

「「「うぉぉぉおおお!!!」」」

 雄叫びと共に走り出す四人。

 世直しマンは冷静に四人の動きを見る。

 四人が十メートル間で近づいた時、世直しマンは液体の入った水鉄砲をまたレインコートの中から取り出した。

「「「!?」」」

 一瞬にして四人の不良が倒れる。

「目が、目がぁぁぁあああ!」

「何をした、何をした何をした!!」

「っっっ!!!」

「…………」

 四人全員が目を押さえ地面を転がる。

「安心しな、ただの食塩水だ」

 世直しマンは目にも留まらぬ速さで的確に四人の目を狙い戦闘不能にしたのだ。

「……後はアンタだけだぜ?リーダーの人~」

 世直しマンは悪魔のような天使の笑顔を向ける。

「糞がぁぁぁあああ!」

 リーダーの男は自分を奮い立たせる為に叫ぶ、そして走る。

 世直しマンもリーダーの男に合わせ走り出す。

「喰らいやがれ!」

 木刀を振り上げ、渾身の力を込め振り下ろす。

「出た!リーダーさんの振り下ろしだ!」

「あれを喰らったら最後命はないぜ!」

 視界が回復した不良達が歓声をあげる。

「甘過ぎだぜ~!」

 リーダーの男が振り上げると同時に横に跳ぶ、体制を立て直し相手に向かってバットを投げつける。

「何のぉぉぉおおお!」

 回転しながら飛んでくるバットを木刀で弾く。しかし弾く為に繰り出した大振りの一撃により生じた隙を世直しマンは見逃さなかった。

「終わりだ!」

「糞がぁぁぁあああ!」

 間合いを一瞬で詰める世直しマン、リーダーの男は体制を立て直すために身体を必死に曲げる。

「喰らえ!必殺!」

 世直しマンは足を肩幅に開き腰を落とす。そのまま、レインコートに付いている二つのポケットから二つのスタンガンを取り出す。

「世直しスパぁぁぁああああクぅ!」

 世直しマンは相手の身体を抱き締めるように抑え、改造したスタンガンを押し付ける。

「ぎゃぁぁぁああああ!!!」

「アバババババババ!!!」

 相手にダメージを与えられるが、勿論自分にもダメージがある。


 公園に駆けつけたときにはそこは既に地獄と化していた。

 一面に広がるちょっと大きめ石、細い枝、そしてビー玉。

 通報が無ければ何があったか分からない現場だ。

「正義は必ず勝つんだよ!バーカバーカ!!」

 公園の中央に二つの人影があった。

「居たぞ世直しマンだ!」

 一緒に来ていた同僚の男が指を指して叫ぶ。こいつは多分、人に向けて指を指しちゃいけないという一般的な教育を受けていないのだろう。

「クソっ!警察か!」

 世直しマンは俺らに気がつくと一目散に走り出した。

「待てぇ!世直しマァン!」

 同僚が逃げる世直しマンを追いかける、しかし俺は帰る。

「警察も暇じゃねーんだよ……」

 誰にも聞いていないのに喋る俺は周りから見れば変人に見えてしまうだろう、しかし自分の知り合いを思い浮かべるとため息と供に自然と出てしまう。

 交番までの道を電話しながら帰る。

「……もしもし、救急車を一台お願いします」

 電撃を喰らった奴が無事なことをただ祈るしかない。

 書いて後悔しました……

 次はまともな話を書きたいです……

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― 新着の感想 ―
[良い点]  後悔しつつ公開したところが素晴らしい!!  …………。  なんでもないです、ハイ。
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