↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人類よ、貴様らは増えすぎた  作者: tempester08
第二のゲーム『巨人』
24/32

第24話 最後の手段

 「何か上手く行きすぎて怖いんだけど……」


 転移されて開口一番聞いた言葉がこれである。メイの言葉であったが、全員抱いている感想であった。


 「難易度が低すぎないか?力があれば爆発抜きでも倒せるだろこれ」


 力を持つ人間が複数人揃えば、苦労はするだろうが簡単に殺せるようになりすぎている。『服』が抑えてその他がやるだけでも終わる。


 「『黒い人物』の方がむずかったんじゃないっすか?」


 堂本の発現も良いえて妙である。簡単とは言わないが、確実に『黒い人物』の方が緊張感があった。

 ルール上、力を手に入れられなかった人たちを排除したいのが見え見えになっている。これらの人達は巨人に対応できず、外を24時間近く彷徨う事になる。こういう人たちが何人なのかは知らないが、殲滅すれば『巨人』が終わる程度の人数が居ると考えていいはずだ。


 「……次のゲームですね。弱い人達を一掃したいのでしょう」


 「そうだな。第三のゲームだ」


 現在午後1時前。

 次の転移までは3時間の猶予があった。もうできる事は無く、塩素系洗剤と酸性洗剤による毒殺位しか案が無い。

 発生するガスが塩素なので、空気より重く巨人をひっくり返す必要がある。しかもこちらにも被害が出る可能性があり、あまり使いたくない手だ。


 やる事も無いので寝るだけで3時間が過ぎ、午後4時前になり外に放り出された。



 外に出されれば7体の巨人が闊歩しており、常に周りを意識しながらの移動となった。しかし慎重に移動していても遠くから発見され、あまり時間も経過していないにもかかわらず走っている。


 そして午後4時の巨人の追加時間になった時、違いが出てきた。


 「21時間が経過しました。すべての『巨人』を回収し、『目』を召喚します」


 空から先程までより倍は大きい巨人が落下してきた。


 「何だあれは……」


 異様と言っていい。

 人の形をしているだけで根本的に違いを感じさせるその見た目。


 「目があんなに……」


 その巨人は遠くからでも分かるほど、目の数が多かった。

 肌色の部分より、あまりの目の数に白黒の斑模様に見える。顔はともかくとして、全身あらゆる箇所に目がある。腕も足も腹も掌だろうが目がある。

 ギョロギョロ忙しなく眼球が蠢いて落下しながら、全方向を把握し獲物を探している。


 「壁に張り付け!」


 上空から降ってくる巨人には見えている可能性があるが、心情的にあの目達に見られたくない。あらゆる角度から把握され、観察されているという嫌悪感すら発生している。

 数秒で10mの巨体が落下した衝撃が住宅街を走り抜けて、『巨人』が新たなステージに突入した事を感じさせられた。


 「どうしますか……?」


 新藤が暑苦しい格好で聞いてくる。

 戦う事も視野に入れたいが、10mの巨体と戦うなんて恐竜と戦うに等しい。さっきまでの巨人とは似て非なるものになっている


 「……逃げるしかないだろ」


 しかし『耳』では刻一刻と俺達の置かれている状況が、先程までの『巨人』と違う事を強烈に示唆し始めた。


 「一直線にこっちに来てるぞ!!どういう事だ!?」


 巨人は道路を正確な道順で辿りながらこちらに凄い勢いで走ってきている。


 「見られていたのでは!?良いから逃げましょう!!」


 新藤が真っ先に走り出し皆がそれに続いた。

 しかし時折『耳』を使っても巨人は正確に俺達を捉え、離さない。完璧に把握され正確に行動している。


 「どうなっているんだ!!あっちからは見えていないはずだ!」


 できるだけ家が陰になるように張り付きながら移動して、10mの巨体からにも見えないようにしている。こっちから見えないという事は、あっちにも見えないという事と同義である。

 それでも追ってきている。


 メイが何か感づいてようで、他の3人にも聞こえるように鬼気迫る形相で話した。


 「もしかして『目』じゃないの?透視できるんじゃない!?」


 「……それが本当だったら終わってるぞ」


 『黒い人物』での『服』と同じだ。弱点が無くなっている。

 こっちは把握できるのに、巨人側は適当に彷徨って人間を発見するしかなかった。これが今まである程度は逃げる事が出来た要因だった。


 「アニキ、殺りましょう!このままじゃどの道戦うしかないっすよ!!」


 「どうやってだ!?確実に10m越えてるぞ!」


 2階建てを7m程度と仮定しても、あの巨人はまだ数m体が飛び出している。

 そんな奴を殺す手段なんて誰が知ってるんだ。 

 油もガスも小麦や砂糖だって使い切ってしまった。爆弾まがいの事はもうできなくなり、接近戦しかない。


 「唯一あるのはボウガンだけか」


 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


 窓ガラスが振動し、建物全体が震えあがる。

 体の奥底の防衛本能が身をすくませ、絶対的な差が如実に表れる。

 何か話していたはずなのに、会話が断絶されれるほどの咆哮。

 振り返れば巨人は道路に姿と現し、完全にこっちを見ていた。


 彼我の距離は100mも無い。


 「完全に見られた……」


 「逃げて!!」


 メイの一声で全員の硬直が解けて爆走を開始した。

 振り返る事すらできず、災厄から逃れる事しか頭にない。


 それでも巨人は速い。

 10mが踏み出す一歩は小さな人間とは比べるまでも無かった。



 戦うしかないのか。



 角を曲がり新藤に大声で話しかけた。

 すでに冷静さなどその辺に捨ててある。


 「新藤あれを止めれるか!?」


 「正直きついですよ!力負けは確定ですね!」


 あれ相手では全身の力を振り絞っても潰されることは明らかだ。

 回避に特化しなければ死ぬ事は明らか。


 「俺が引き付けるしかない……!」


 顔を歪め、決死の覚悟で新藤に言い放つ。


 「本気ですか!?一撃で死にますよ!?」


 「『耳』で避ける。……堂本、腱を狙え!一つ斬れば奴は動けない!」


 振り返り手持ち最強の攻撃力を持つ堂本の行動方針を命令した。


 「ウッス!」


 「柊さん、ホントにやるの!?」


 「やるしかない。体勢を整えて迎え撃つ!!」


 俺だけがその場で立ち止まり、道路の半ばで振り返る。

 3人は俺の後ろで完全に立ち止まり、腕時計から音が鳴り響く。

 すでに巨人は視界に入っている巨人一体のみ。音が鳴ろうが関係ない。


 肩から上がはみ出ていた巨人が十字路に姿を現して、その巨体の全貌が目に飛び込んできた。

 気持ち悪い。

 目の数が、異常だ。

 全てを見られている。


 「勝機……!」


 巨体から皮膚が硬すぎて槍が通らない事を考えていたが、目なら貫ける。

 防御力に関してはさっきより低い。


 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


 横幅7mの道路に滅茶苦茶な生物が走り寄ってくる。

 圧倒的な質量に腰が引けてしまうが、槍を構え『耳』を使う。

 腕時計の爆音をBGMにして、筋肉の駆動音を頼りに巨人の動きを予測する。


 遥か上空から虫けらを潰すように右掌が俺に振り下ろされる。

 全力で転がりながら左方向に回避して、起き上がりざまに槍で巨人の目の一つを突いた。


 「ラァァア!!」


 引き抜き二度三度と連続で攻撃を繰り返す。

 しかし巨人は痛痒に感じておらず、そのまま右腕で地面を振り払う。

 巨大な裏拳が唸りを上げて俺に迫りくる。一抱えもあるような拳が地を這う。

 下半身を打ち砕かんとする拳を全力の脚力で跳びあがり、脚を曲げてぎりぎりで回避に成功した。


 巨人はそのまま体勢を直立に戻し、地面を踏みつけ始める。

 脚の大きさはゆうに1mを越えていて、踏まれればタダでは済まない。


 『耳』の予測で何とか回避していると後ろから援護が飛んできた。

 メイである。


 「あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


 顔面の眼球に飛来する矢は未然に掌に防がれているが、それでも矢は掌の目を貫き深々と食い込んでいる。手で顔をかがった事で明らかな隙が出来て、後ろに居た堂本と新藤も参戦した。


 注意を俺に向ける為槍を振りまわり、多数の目を機能不全に追い込んでいく。しかし数が多すぎ、攻撃の届かない箇所もあるため、全てを破壊する事が出来ない。


 新藤に迫りくるビンタが盾に直撃して、新藤ごと吹き飛ばされた。

 後ろに居た堂本はわずかな猶予を使って、刀が巨人の脚に到達しようとした時に、巨人が大きく跳びあがった。

 

 堂本や新藤を軽く飛び越え、後ろで矢の装填を終えていたメイに巨人が迫る。

 メイも巨人に走り始め、圧倒的な体格差の両者が間もなく衝突する。


 「メイ!!」


 何もできる事が無く、唯後ろから叫ぶ事しかできない。

 巨人の行動は地面を抉ると錯覚させるほどのスライディングであった。

 アスファルトを削り取り迫る足に、対してのメイは大きく跳びあがる。


 地面を滑る巨人の真上を取ったメイは、ボウガンを構え射撃。矢は胸を捉えているが、心臓に達したような気配はない。


 俺達の元にぶっ飛ばされた新藤とメイが合流する。

 ゆっくり起き上がろうとする巨人の背後から俺と堂本が走り寄る。


 巨人は俺達が攻撃範囲に入った瞬間、文字通り塀を破壊しながら後ろ回し蹴りを放つ。背中についていた目が俺達の状況を正確に把握し、完璧なタイミングで攻撃の時を悟らせていた。


 「ぐっ!??」

 

 「なろぉ!!」


 攻撃態勢に入っていた両者は意識外の攻撃に対処しきれず、武器で防ぐのが精一杯だった。むしろ巨人との脚の間に何かを挟めたのは僥倖と言えよう。

 竿や刀で直撃は防いだが、二人とも丸太のように太い脚を受けて、住宅街の道路を転げまわる。


 竿は凹み、刀は半ばから折れている。

 本人たちの怪我の度合いなど、それ以上であった。

 骨こそ折れてはいなかったが、アスファルトに肉を抉られ体中から血が出ている。


 「あぐ……」


 「……くそ」


 2人とも何とか立ち上がり、地面を見れば足下に血の池が出来ていた。傷こそ浅い物が多いが、全身に裂傷がある。

 顔を上げれば、目の前の巨人の戦闘能力の高さを思い知る。攻撃の出し方がスムーズであり、持て余していない。

 動きが遅いわけでもないが、あまりのリーチの長さに接近を許さない。

 さらに体中にある目で、奇襲がかける事が出来ない。


 巨人がゆっくり立ち上がる前に、巨人の視界から消える事にした。





 「くっそ。どうすんだよ……」


 走り始めたはいいが、すぐに後ろから巨人が追いかけ始めていた。俺と堂本の移動速度はお世辞にも早いとは言えず、大した距離を稼ぐ事が出来ない。

 猶予は時間にして1分も無く、巨人の速さを考えれば追いつかれる事は確実であった。


 「……爆弾は無い、ガスも無い、油も、粉すらないんだぞ」


 もはや『耳』など必要無いほどに、後ろからの大きな足音は地面を轟かせ、振動として俺達に伝えていた。


 「……ボウガンも効いてないよ。『目』で全部見られて防がれてる」


 遠距離武器も効かず、かと言って近接など論外。

 堂本に託していた日本刀は半分に折れ、組長が持っていたという短刀しかない。


 住宅街を真っ直ぐでは無く、右に左に曲がりまくって少しでも巨人を困惑させていく。

 すると隣で走っていた新藤が口を開いた。新藤も吹き飛ばされた事で、制服に血が滲んでおり、走るのが早くない。


 「……おかしくありませんか?」


 かなりイラついており、どうしても口調が荒くなる事を自覚しながらも新藤の話を聞く。


 「何がだよ!?」


 「何で巨人は家を飛び越えないんでしょうか?飛び越えるのは無理であったとしても、よじ登ってショートカット位出来るでしょう。そうすれば私達にすぐに追いつけるのに」


 確かに足音は地面から伝わっており、巨人は絶対に道路を走っている。屋根から屋根へと飛んでいけば、そんな事はしなくても良い。


 「家が壊れるからでしょ?」

 

 メイがもっともな事を言った。

 あの巨体が跳びあがって家を踏んでしまえば、家がつぶれる可能性は高い。


 「違います。家は壊れません。柊君がガラスを壊せなかったように、家も壊れないと思っても良い筈です」


 「じゃあ、何であいつは家を使わねェンだよ?」


 堂本が怪訝そうな顔で新藤に聞いた。

 堂本が血まみれになりながらも懸命に走っている。それは俺にも言える事だが。

  

 「それが分かれば苦労はしません」


 新藤はさも当然と言ったような態度で、そっけなく分からないと言う。


 「分かんねぇのかよ!!」


 住宅街を見渡せば特別おかしなものは無い。まだ日が高いこの時間、目に入る物に特段の変化が見られない。

 家があり、駐車場があり、塀があり、庭があり、そして――――。


 「「電柱だ!」」


 俺とメイの声が重なり、おそらく正解にたどり着いた事を悟った。

 

 「高圧電線に触れられないんだ!あの巨体なら触れる可能性のある行動はできない。他の巨人も家をどうにかするような行動はしなかった。確実だ!!」


 「柊さん、槍貸して!私が切断する!!」


 取り敢えず槍をメイに手渡す。代わりにボウガンを渡された。

 しかしどうやるかが分からない。


 「どうやる気だ?」


 「私はやり投げ専門だぜ」


 頼もしい笑みを浮かべ全員その場で立ち止まった。

 覚悟を決めており、堂本も折れた日本刀を電線に投げようとしている。


 前を見ると迫ってくる巨人が目に入り恐怖が襲い掛かる。


 「堂本と新藤は巨人に水をかけてこい!切れ込みいれたペットボトルを投げるだけで良い!」


 すぐさま二人はリュックの中に入っていた水を取り出して、ペットボトルを裁断していく。

 数本のペットボトルが巨人に投げつけられ、腹に当たるが巨人はどうとも思っていない。


 新藤が盾を構えて巨人に向かって行った。

 怪我をした堂本もその後ろに着いて、突撃している。


 メイのリュックからボウガンの矢を全部ひったくって、立射に移行した。

 速射に劣るボウガンではあったが、次々と装填して巨人の意識を逸らしていく。

 援護のおかげか前に居る2人は致命的な攻撃を受けていない。新藤の盾が大きい。


 「メイ、いつでもやれ!」


 巨人への攻撃を絶やさず行いながら、メイに指示を出していく。


 「了解!!」


 メイは助走をつけると跳びあがって、近くの家の屋根に降り立つ。

 メイが屋根の端に移動して、走り始めた。


 「二人とも戻れぇ!!!」


 置き土産にボウガンの矢をお見舞いして、堂本と新藤は戦線を離脱した。

 矢への防御と2人の突如の行動に、巨人はその場に足を止めた。


 「らあああ!!」


 頭上から少女の叫び声とともに一本の槍が射出された。完璧な角度で跳んでいく槍は、一直線に電線へと飛んでいく。吸い込まれるように、先端に付けたナイフと包丁は確かに電線を抉った。


 しかし、


 「そんな……」


 メイは屋根の上で膝を着き呆然としている。

 あと少しまで切断と言う所であったが、ケーブルは首の皮一枚と言う体で繋がっている。

 

 堂本や新藤も刀、盾を投げつけて何とか切ろうとしているが、無駄骨に終わっている。


 ボウガンに矢を装填して、狙いをつける。

 メイが持って行った方が良かったな。


 大きく深呼吸して、世界の色が落ちていく。

 『耳』を使い、風の状況を確認。無風。

 自分の指の筋肉が動く音を聞きながら、トリガーを引いた。


 弦に押し出された矢は、真っ直ぐ電線に飛んでいくが外れる。


 「次だ……」


 矢の軌道を確認し、修正をする。

 矢を装填し、構える。


 手元が震え、この一発に全てがかかっている事を自覚していく。

 巨人は動き始め、俺に残されている時間は無い。

 

 「ここだ……!」


 指を引き切り、黒い矢が大気を切り裂き、回転しながら飛んでいく。

 圧縮された時間の中で、矢と一体化した感覚が成功を確信する。

 放たれた矢は、さながら流星のような速さで往生際の悪い電線に直撃した。

 電柱の端から切断されたケーブルは重力に引かれ、地面に落ちていく。

 電線の先端は地面に当たると、6600Vの超高電圧によって地面を跳ねる。


 そして、その時は来た。


 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


 電線が巨人に接触して巨人を灼いていく。一瞬で体から煙が吹き、肌が黒こげになった。


 それでも生命力の権化と言っても良い巨人は死なない。


 リュックから水を取り出し、ふたを開けて巨人に投げつける。

 メイも屋根の上からペットボトルを投げつけ、巨人は濡れていく。


 跳ね回る電線は幾度となく巨人に接触して、その体に多大な電圧で電気を叩き込んでいく。

 流れ先を求める電気は巨人の体を暴れまわり、肉を灼き、脳を引き裂いていく。

 濡れそぼった体に電気が通り、凄まじい咆哮を上げて巨人が倒れ込んだ。


 巨人の背中に電線が着地し、永続的に巨人に電流を流すと巨人の筋肉が反射運動を繰り返し、ビクビクと痙攣するだけになった。


 「『巨人』が一体討伐されました。『巨人』を補充します。また、柊照光様、黒沢明様、堂本耀様、新藤輝元様の4名が転移条件を満たしました。転移します」


 4人の姿は消え、黒焦げの巨人が横たわっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。