中央商事異常なしの巻
健夫はZランク大学をなんとか卒業した。就職活動は困難を極めなんとか親戚のコネで就職することができた。
その会社は「中央商事株式会社」という、いかにも投げやりな名前の会社だった。
いわゆるブラック企業ではないかと疑われたが、まあダメならやめればいいと健夫は気楽な気持ちで入社を迎えた。
研修があるのかもどういう事業をやっているのか知らされもしないまま、初出社の日会社に向かうと、そこは一階が焼き鳥屋のぼろっちい雑居ビルだった。
三階にオフィスがあった。扉の前に立つとさすがに彼も緊張した。さあ、俺もこれから社会人だ。そんな期待と不安で胸がいっぱいになった。
扉を開け「おはようございます!新入社員の襟首です!」と精いっぱい元気に挨拶した。しかし反応がない。20畳ほどのオフィスには五人ほどの社員がいた。しかしそこにはなんともやる気のない、どよーーーんとした空気がただよっていた。
「あ、君新しい人?」代表者らしき禿げ頭の初老のくたびれた男が、めんどくさそうに声をかけて来た。
「社長の芦原です。とりあえずみんな紹介にするね」
お約束どおり、社員は変人ばかりなのであった。
(つづく)