繊細な爪よ
爪という身近な存在を、自分を苛む恐ろしい兵器として描く独特の世界観。その緊迫感と絶望を引き立てる前書きです。
まえがき
誰の体にでも存在する、小さく不変のパーツ。
日常を守るはずのそれが、もし自分自身を切り刻む「刃」へと変貌を遂げたとしたら――。
本作は、絶え間なく成長し、傷つけ、どれほど拒絶しても決して離れてくれない「己の爪」との凄惨な戦いの記録である。
逃げ場のない肉体という戦場で繰り広げられる、終わりなき攻防劇。その異様な対峙の行方を、どうぞ見届けてほしい
強靭な爪よ━━。
お前はいつから私自身を責める兵器となったか?
わたしは暇さえあれば、お前を排除しようと躍起になっている。
強靭な爪よ━━。お前はいつでもわたしの皮膚を、肉を、粘膜を傷つけようとする。
一体わたしにはお前を排除する術がない。
お前はいつからそこまで強力になったのだ?お前のディフェンス術は他に例をみないほど。鉄壁だ。
強靭なる爪よ。わたしは何か悪いことをしただろうか?
そ!は、伸び切って自然にぱき、と折れるまで生え続けるそしてそうなった後もまた成長を始める。
永遠に私を傷つけ続ける
強靭な爪よ
日常のふとした瞬間に感じる「爪」という身体器官への小さな不満や脅威を、極端な詩的表現と壮大な悲劇のトーンで昇華させたフィクション・モノローグです。
身を守るための堅牢な部位が、自分自身を脅かす刃へと変貌する理不尽さ。排除しようとしても無限に再生を繰り返す生命力への恐怖を、ダークファンタジーのような世界観で描きました。
爪を切るひとときや、ふと引っかかってしまった日常のささやかな鬱屈に寄り添う作品となっていれば幸いです。読了ありがとうございました。




