「お前のためだから」と言われて婚約破棄になったら本当に私のためだった件
「あなたのためだから」が本当だった話。
「レイラ、婚約破棄だ!」
突然、怒鳴られた。
「は?」
「いいか、これはお前のためなんだ! 確かにこれでお前は傷物にはなるが、それでもこのままよりはマシだ!」
私の目の前で叫んでいるスパダリはカイン。
フラレット伯爵家の嫡男である。
ソリュート子爵家の三女である私とは領地が隣り合っている関係で幼馴染み。
でもそれだけで、学園に入る前から疎遠になってここ数年は落ち着いて話したことも希なのに。
「ちょっと待ってください」
「駄目だ! 今すぐに婚約破棄するんだ! それがお前のためだ!」
あまりにも一方的でとりつく島も無い。
それ以前に興奮状態でまともに話すら出来そうにもない。
「いいから婚約破棄だ! はいと言え!」
「でも」
「お前のためなんだ!」
これは駄目だ。
仕方が無い。
「判りました。婚約破棄します」
口ではどうとでも言える。
他に証人もいないし、とりあえずこの場を切り抜けられればいい。
そんな私の逃げ口上を聴いたカインは「はーっっっ!」と息を吐いて座り込んだ。
何?
どうしたの?
「……間に合った」
「ええと、何だったの?」
やっと落ち着いたらしいカインに訳を聞こうとした時、突然辺りが暗くなった。
「悪い子はいねえが」
お腹の底が震えるような重低音。
私は硬直した。
カインは頭を抱えている。
「ベルモント家の縁者はいねえが」
いる。
私だ。
私がジョナサン・ベルモント伯爵令息の婚約者だ。
いや婚約破棄したんだっけ。
痺れた頭で考える。
「悪い子はいねえが」
崩れる様に座り込んだ私の上空を何か黒くて巨大な物が通り過ぎていく。
腹に響く重低音が辺り中を掻き回し、そして去って行った。
どれくらいたったか。
「……あれは?」
呟いたらようやく立ち直ったカインが教えてくれた。
「○マハゲといって遙か東の方の島に伝わる神様らしい。王国の遠征隊が何かやったらしくてついてきちゃったって」
「神様」
「ジョナサンが授業を抜け出して昼寝している所を見つかって餌食に」
ジョナサン様はサボりの達人だからなあ。
「何とか逃げたんだけど、そうしたら一族が襲われて。君も危ないんじゃないかと思って駆け付けて来た」
「助かったわ。ありがとう」
おかげで婚約破棄になったけど、まあいいか(笑)。
自分でも何が言いたいのか不明です。




