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会話劇場Ⅱ「アフタースクール」

前作同様、オチを考えないまま、適当に書きました。それでもよろしければ、どぞー(汗)

11月11日 19時21分 体育館倉庫内 沖瀬零音 雨宮桂馬。



沖瀬「……あのさ」


雨宮「……はぁ、何ですか?」


沖瀬「納得いかないんだけど」


雨宮「だから何がです?」


沖瀬「――何でアンタとこんな所に閉じ込められなければならないのか、それが納得いかなんだけど」


雨宮「………。僕がここにいるのは沖瀬さんのせいでしょうが」


沖瀬「…まぁ、確かに、倉庫の雑用を一緒にしてくれって頼んだのは私よ」 


雨宮「ですよね?だから僕、今回に限っては普通に被害者ですよねぇ」


沖瀬「ちょっと待ちな。アンタに非がないのはわかるけど、だからって私が悪いわけでもないんだからね!」


雨宮「それは……そうですね。中を確認せずにドアを閉めちゃった中谷センセが百パー悪いわけですから」


沖瀬「あのサル顔、自分で雑用頼んどいて恩を仇で返しやがって、ぜってぇ殺す。毒殺して刺殺して絞殺してやる」


雨宮「………。すべてが未遂で終わることを僕は切に願います」


沖瀬「はぁ……ホント嫌になるわ」


雨宮「まぁまぁ、僕ら外への連絡手段も持ちわせてはいないわけですし、誰か気づいてくれるまで、このまま気長に待つしかないでしょ」


沖瀬「……アンタって、ホントマイペースよね」


雨宮「ははは。まぁ、沖瀬さんの自己中に比べれば、僕のマイペースなんてかわいいもんですよ」


沖瀬「――中谷の次はお前だから覚悟しておけ、このキモヲタ」


雨宮「オォ、ジーザス」











11月11日 19時21分 某学校校門前 永崎順介 鳩木淳雄 早乙女純



鳩木 「よう、永崎、純。部活が違うのに一緒に下校とは相変わらずだな」


永崎 「お、鳩木。何、お前も今帰り?」


早乙女「違うわよ、順介。愛しの沖瀬先輩を待ってんでしょ?」


永崎 「あぁ、なるほど――って鳩木、お前も全然人のこと言えないじゃないか」


鳩木 「ほっとけ」


早乙女「にしても、ずいぶん遅いのね、沖瀬先輩。部活何してんの?」


鳩木 「帰宅部」


永崎 「え?」


早乙女「帰宅部なの?じゃ、何でこんなに遅いのよ?」


鳩木 「さぁ?」


永崎 「いや、さぁって……」


鳩木 「普段は沖瀬先輩の方が俺の部活動が終るのをここで待ってるんだけど、今日はどういうわけか、俺が待っている」


早乙女「先に帰ったんじゃないの?」


鳩木 「俺もそう思って何度かケータイに連絡したんだけど、繋がんねーんだよ」


永崎 「お前の電話に出ないなんて、何かよっぽどのことがあったんじゃないのか?」


鳩木 「やっぱお前もそう思う?」


早乙女「そうかしら?あたしは単純に淳雄と会話したくないんだと思うけど」


永崎 「は?そりゃどういうことだ?」


早乙女「今、絶賛喧嘩中でしょ?あんたら」


永崎 「何!?」


鳩木 「あ!ちょ、勝手に言ってんじゃねーよ、純!」


永崎 「どういうことだよ?俺は初耳だぞ」


鳩木 「いや、まぁ、その、喧嘩っていうか、一方的に文句を言われただけというか……って、純!お前誰からそれ聞いたんだよ!?」


早乙女「決まってんじゃない。当事者の沖瀬先輩からよ」


鳩木 「な!?――なんて口が軽いんだ!あの人は!!」


早乙女「淳雄、あんた文句が言える立場じゃないでしょう。どう考えてもあんたが悪いんだから」


永崎 「ははぁーん、なるほど。だからお前、連絡付かないのに、仲直りしたい一心でこうやって律儀に待ってんだな、沖瀬先輩を」


早乙女「自業自得よ」


鳩木 「やかましいわ!」


永崎 「つか、何が理由でそこまで険悪になったのさ?」


鳩木 「………」


永崎 「何だ?言えないことなのか?」


早乙女「そりゃ、言えないわよねぇ。浮気が原因だなんて」


永崎 「うわ…き!?え!?ちょ、おま、それマジで言ってるのか?」


鳩木 「あのなぁ、純!てめぇはどうしてそうあることないこと言いふらすんだよ!??」


早乙女「何よ。アンタが自業自得なだけじゃない」


永崎 「…………。純の言う通りだな。お前最低だぞ、鳩木」


鳩木 「う……うぅぅぅ……」











11月11日 19時30分 体育館倉庫内 沖瀬零音 雨宮桂馬。



雨宮「しかし、残念でしたねぇ」


沖瀬「何が?」


雨宮「さっきも言ってたでしょう?一緒に閉じ込められている相手ですよ。もしここにいるのが僕ではなくて、彼氏の鳩木君だったらベタな展開がいくつも繰り広げられていたでしょうに」


沖瀬「さぁ?そうなるとは限らないんじゃない?」


雨宮「なりますよ――閉じ込められるというベタな危機的状況に男女がいたら、そりゃぁ、男と女のベタな展開になるのは必至でしょう。特にあなたと鳩木君は恋人同士なわけですから、一歩も二歩も進んだベタな展開を僕は期待しますけどね」


沖瀬「ベタベタうっさいわねぇ。つーかアンタは私や淳雄をどういう目で見てんだ?コラ」


雨宮「決まってるでしょう。好奇の目ですよ」


沖瀬「サイッテー」


雨宮「そう言わないで下さいよ~。今のこの状況下で、人様の色恋の話ほど盛り上がるものはないでしょう?」


沖瀬「なら、私のじゃなくて自分の恋愛話を自分で独語してろよ」


雨宮「残念ながら僕個人は独語できるほど恋愛経験をしたことがないんですよね」


沖瀬「………。キモヲタだもんなぁ」


雨宮「一言余計ですよ。ま、そういうわけですからあなたの恋愛話に意地でも持っていきますから覚悟して下さいね」


沖瀬「いやよ。他でやれ」


雨宮「少しは乗ってくださいよ。つまんないじゃないですか」


沖瀬「知らないわよ!勝手に自分でしゃべってればいいじゃない!」


雨宮「おー、こわ。何か知りませんけど、妙に荒れてません?今日の沖瀬さん」


沖瀬「アンタがくだらないことばっか言ってるからよ」


雨宮「そうですか?僕的にはいつも通りなんですけど」


沖瀬「そうか?こういう状況になったらアンタの場合って、怪談話とかし始めそうなイメージあんだけどね?」


雨宮「正直、一番最初にそれが浮かびましたけど、そればっかりだと芸がないし、たまには僕が得意ではない分野の話題もいいかなって」


沖瀬「だからって私の色恋沙汰の話?ふざけんじゃないわよ」


雨宮「いや、まぁ、さっき言った理由もあるんですけど、もっと大きな理由がありまして」


沖瀬「何よ?」


雨宮「ぶっちゃけ、鳩木君と沖瀬さん、今喧嘩してるわけじゃないですか?僕としてはそうなった理由を知りたいなぁて」


沖瀬「………。やっぱりアンタ、知ってたのね?」


雨宮「ええ、まぁ。って、あんまり驚いていませんね」


沖瀬「廃病院での非常識な告白劇以来、アンタのストーカー的な行動や発言にはいい加減慣れたわ」


雨宮「慣れちゃったんですか!?逞しいなぁ」


沖瀬「アンタが言うな!」


雨宮「あははははは。ま、そういうわけであなたと鳩木君の喧嘩の理由を知りたくて、得意でもない恋愛話を振って、話を自然にそっちに向けてやろうとしてたわけなんですが、よくよく考えてみたら大方予想がつくんですよね。基本プレイボーイな鳩木君はシャイだが女の人の扱いは上手い。故に態度や行動が喧嘩の原因になることはまずない。であるならば基本プレイボーイな鳩木君の悪い癖である浮気でしょうね。夏に付き合い始めて三カ月、目移りし始める頃合いですしね。と、なると、相手は誰だってことに興味がいきますよねぇ、やっぱし。――うーん、ここ最近で妙に仲がいいのは白野麻里子さんと平内薫子さん、……あぁ、そういえば中尾由貴さんもだったかな?案外アプローチかけまくってる下級生の新島琴音だったりして」


沖瀬「…………」


雨宮「その泣きそうな表情……。もしや浮気は図星ですか~?」


沖瀬「――うるさい」


雨宮「やっぱりですか。喧嘩の原因。それはズバリ、鳩木淳雄の浮気!!」


沖瀬「うるさいって言ってるだろ!!」


雨宮「あははははははは!にしても今回は早かったなぁ。普通、目移りが三ヶ月目。実際に手を出すのは四ヶ月目以降なんだけどねぇ。記録更新ですよ、沖瀬さん」


沖瀬「…………」


雨宮「…………」


沖瀬「………。アンタさ、そういうこと言って楽しい?」


雨宮「……………。楽しいですよ」


沖瀬「――サイッテー」




11月11日 19時33分 某学校校門前 永崎順介 鳩木淳雄 早乙女純



早乙女「そもそも何で浮気したのよ?」


鳩木 「正確には浮気とは違うんだけどな」


永崎 「でも沖瀬先輩以外と付き合ったってことだろ?それはどう考えても二股とか浮気になるんじゃないのか?」


鳩木 「そんな複雑な話じゃねーよ。単純に下級生の子から迫られただけだよ」


早乙女「ハッ。もてる男はつらいって?」


鳩木 「………。なんか、今日の純は冷てーな」


永崎 「ホントにそれだけかよ?手を出したんじゃないのか?お前のことだから」


鳩木 「いくら俺でもそこまではしねーっつーの!」


早乙女「それが本当だとして、何で沖瀬先輩と喧嘩になるわけ?迫られただけで、ちゃんと断ったんでしょ?」


鳩木 「いや、断ってはいない」


早乙女「は?」


永崎 「は?」


鳩木 「いや、誤解すんなよ?何か面倒だから放置してただけで」


早乙女「ちょっと待って。じゃぁ、その下級生、まさか未だにアプローチかけてるなんてことは……」


鳩木 「あぁ、ときどき手紙とか強引に押し付けていったりとか、部活に差し入れしたりとかあるかな」


永崎 「………。なるほど、そういうことか」


早乙女「………。あぁ、分かっちゃったわ、あたし」


鳩木 「な、なんだよ?」


永崎 「鳩木、お前かっこいいだけでまるで女心が分かってないな」


早乙女「まったくだわ。あたしと付き合っていた頃の誠実さはどこにやったのよ?」


鳩木 「……?…。お前ら、いったい何言ってんだよ?」


早乙女「つまり、アンタのその下級生に対する態度がはっきりしないから沖瀬先輩は不安になり――」


永崎 「――浮気なのではないかと勘ぐったわけだ」


早乙女「まぁ、分らなくはないわよねぇ。好きな男が他の女に言い寄られていて、男の方はまんざらでもない顔して拒絶するそぶりを見せないんじゃねぇ」


永崎 「浮気じゃないのかと疑われるのも然り」


早乙女「不安が爆発して喧嘩になっちゃうのも然りよね」


鳩木 「………………」


永崎 「浮気であろうとなかろうと、どちらにせよお前が百パー悪いには違いない」


早乙女「違いないわねぇ」


鳩木 「う……うううぅ」





11月11日 19時45分 体育館倉庫内 沖瀬零音 雨宮桂馬 中谷先生。



中谷「いやぁぁぁぁぁ、悪かったな!沖瀬、あと雨宮も!先生うっかりしててなぁ!」


沖瀬「………………」


雨宮「あ、いえいえぇ。気づいてくれて何よりでしたぁ」


中谷「…おい、沖瀬。お前大丈夫か?すごい仏頂面だぞ」


沖瀬「別に。なんでもありません」


中谷「そ、そうか?……その、悪かったな」


沖瀬「…………」


雨宮「あ、いや、まぁ、先生、沖瀬先輩のことは気にしないでください」


中谷「そ、そうか?まぁ……その、き、気をつけて帰るんだぞ」








11月11日 19時55分 


永崎順介 鳩木淳雄 早乙女純 沖瀬零音 雨宮桂馬。


某学校校門前。



沖瀬 「待っててくれたんだ……」


鳩木 「お、おう」



某学校校門前・脇の壁際。



早乙女「ちょっと、桂馬。アンタ沖瀬先輩と一緒に出てきたけど、いったい何してたのよ!?」


雨宮 「いやぁぁ、話せば長くなるんで、それについてはおいおいね、おいおい」


永崎 「というか、お前も知ってたのか?沖瀬先輩と鳩木が喧嘩してるって」


雨宮 「うん、まぁ」


永崎 「何だよ!やっぱり知らなかったの俺だけ?」


雨宮 「あれ?マギーは知らなかったの?」


永崎 「知らないぞ!」


早乙女「ま、なんにせよ、後はあの二人次第ってことね」



某学校校門前。



鳩木 「その、何だ……。誤解を招いていたみたいで、新島のことはホント何とも思ってねーから」


沖瀬 「じゃぁ、何でこの前二人で腕組みして街を歩いてたの?」



某学校校門前・脇の壁際。



雨宮 「ワーオ。何だかんだいって、沖瀬さんもしっかり見てる所は見てるじゃないですか」


永崎 「他人事だからって笑うなよ、雨宮。不謹慎だぞ」


早乙女「つーか、そんなことまで許してたっていうの?あの馬鹿鳩は」


雨宮 「彼ならば、ないことはないけどねぇ」


永崎 「何が『正確には浮気とは違う』だ。思いっきり浮気じゃないか」



某学校校門前。



鳩木 「あれは……たまたま街中で出くわしてずっと向こうがひっついて回ってきただけで、やましいことは何一つしちゃいねーよ」


沖瀬 「――嘘つき。ラブホから出てきたとこも見たもん」



某学校校門前・脇の壁際。



永崎 「ゆるぎねぇぇぇぇぇぇぇ!!」


雨宮 「ゆるぎねぇぇぇぇぇぇぇ!!」


早乙女「つか、なぜそこまで見ておいてスパッと別れようとしないのよ、沖瀬先輩は」


永崎 「スパッとできないくらい実はぞっこんとか?」


早乙女「………。なくはないわね」


雨宮 「いやいや、それよりも学生の身でラブホとか、いいのかね?」


早乙女「何いってんの?ラブホくらい行くでしょ?」


雨宮 「普通行かないって!マギーもそう思うでしょ!?」


永崎 「――俺もないとは思っていたんだがなぁ」


雨宮 「――え?……え…マ、マギー君、君…もしや………早乙女さんと…」


早乙女「行ったわよ?」


雨宮 「――こぉぉのぉぉ!!裏切り者ぉぉぉぉぉぉ!!」


永崎 「うわっ!?お、俺の体を揺らすなっ!」


早乙女「何よ、桂馬。ド変態のくせにカマトトぶっちゃってさ」


雨宮 「僕は確かに変態かもしれないけど、それは漫画とゲームに限ってのことなの。自分で言うのもなんだけど、性行為に関するリアルのモラルは弁えているつもりだよ」


早乙女「………。それって単にもててないだけでしょ」


雨宮 「――オォ、ジーザス」



某学校校門前。



鳩木 「そ、それも誤解だっ。あの時はたまたまそういう通りを通りがかった時に、何故か新島が中の駐車場でドジやってて小銭ばら撒いてたから一緒に拾ってやってそのまま出てきただけだっって!!」


沖瀬 「………………………」



某学校校門前・脇の壁際。



雨宮 「うわぁぁぁ。きっつい言い訳だなぁ」


早乙女「今時そんな言い訳で女が納得するかっての!」


永崎 「――万事休すだな。鳩木」



某学校校門前。



鳩木 「おい!お前ら、傍観してないで助けてくれよ!俺は無実なんだ!」


雨宮 「ぬるいこと言ってんじゃないよ、鳩木君。君がまいた種だろうに」


永崎 「如何せん、お前はシャイでへたれではあるが、プレイボーイでもあるわけだから、そこらへんの信用はいたって低いよな」


雨宮 「なんかそう言っちゃうとAVGの主人公みたいだねぇ」


早乙女「――恥を知りなさい!」


鳩木 「お・ま・え・らぁぁぁ!新島とヤッてる前提で話進めんなぁぁぁ!」


沖瀬 「――やっぱりヤッたんだ?」


鳩木 「ちょっ、あのなぁ!だからヤッてないもんはヤッないんだ!」


永崎 「――鳩木、お前さぁ。新島と寝てないって言うんならさ、ちゃんと先輩の目を見てそう言えよ」


鳩木 「!!」


早乙女「……アンタが嘘ついてるのはもう皆わかってんのよ」


雨宮 「あっはっはっは。観念しなさい、鳩木君。君のネタはもう上がっているのだぁ」


鳩木 「………………」


沖瀬 「………………」


早乙女「………………」


永崎 「………………」


雨宮 「………………」


鳩木 「俺は――」


沖瀬 「………………」


鳩木 「――断じて新島とは寝てねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


早乙女「………。はぁ」


永崎 「………。お前なぁ」


雨宮 「………。~~~!!~~!~(笑いのツボに入って声が出ない)」


沖瀬 「――サイッテー!!!!」



 11月11日 20時00分 某学校校門前にて一人の男子生徒の恋愛が終わった。



終わり。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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