最後に恋をしようよ
書きたい欲が強過ぎて、内容を考えるよりもまずは書くっていうね。表現したいというより書きたいなんだ。中学生男子みたいなものだよね。ネタなんてなんでもいいんだよ。そりゃ高品質のネタがあればそれに越したことはないけれど、とにかくまずは、かきたい。なのです。
不思議なもので、この書きたいスイッチが入ったらゲーム、特にストーリー性のあるゲームが全然できなくなった。RPGとかね、そういうの。刺激のチャンネルが違うのかしら。それとも同じなのかしら。どっちなのかしら。けれども不思議なこともあって、地球防衛軍6だけはできるの。とても不思議でしょう? まるで、ふしぎ遊戯だよ。
やっぱりエアレイダーなんだよね。楽しいのは。ドローンたちが帰ってくる時の、ブイーンって鳴き声に癒やされるの。兵器っていうより、式神を使役してるって感覚だよね。FFで言うなら召喚獣。ディアブロⅡで言うなら召喚ネクロ。ドラクエはそういうのないから、つまんなーい。なんかハナタレっぽくて好きじゃないドラクエ。もちろん、リスペクトはあります。その上で、私言わせてもらいます。ドラクエ、嫌い。だってハナタレっぽいんだもん。
はい、もうここまで書いて、決めました。この文章は小説のつもりで書き始めたのですが、小説にはしません。やっぱり、あれかな。ゲームのこと書くと、もう小説から離れちゃうのかな。それとも、ここから無理矢理、小説にするっていう、チャレンジしちゃう? どうする? 私はどっちでもいいんだけど。決めるなら早くして。なんの目的もなく彷徨うの好きじゃないんだよね。どの店に入ろうかってうろうろしている時間が一番嫌い。そういう男見ると、ああないわ。ってなる。だって絶対に能力低いもん。店くらい事前に調べておくとか、主要な街くらいは、間違いのない店のひとつやふたつ知っておいてもらいたい。目立たないところにある、こじんまりとした、料理がすごく美味しい店とかさ、落ち着いた雰囲気の、気の利いたお酒を出す店とか。ちょっと歩くけどいい? みたいな一言も添えてくれると、なおよし。それなら歩いてもいいと思うもん。ちょっとわくわくするもん。
でもさ。考えてみると、やっぱりそれくらいで、ああないわ。ってなる男って、最初からなんとなくもう、ないんだよね。細かい所作? 的なものが気に喰わないとかさ。微妙にキョドってたり、ちょっとナルっぽかったり。最初っからいいなって思う人とだったら、なにが食べたい? えー、なんでもいい、お腹すいたー。なんてやり取りでも普通にテンション上がるもんね。一緒にいれるだけで楽しいわけだから。もうひと押しで恋になるって状態。実はそういう時が一番楽しかったりするんだよね。そういう時が、一番優しいしさ、男も。
結局、付き合っちゃうと、どこかで幻滅しちゃうからね。男って早くない? 当たり前の感覚になるのが。もうちょっと恋を楽しもうよ、って普通に思うんだけど。妙に馴れ馴れしいっていうかさ。すぐおれの女だから感を出してくるの。いやいや、私はあんたの所有物ではないから。あんたと私は恋人同士で、どっちがどっちを所有するとかではないから。本当に思う。頭が昭和のまんまの男が多いなーって。なんだろう? お母さんが欲しいのかな。そういう感じあるよね。お茶の間感出してくるっていうかさ。こっちは特別な時間が欲しいのに、すぐに日常にしたがるっていうかさ。結婚して何年目とかならわかるよ? でも付き合って半年とかそこらで、日常にされてもさ、いやいや、私そんなに安っぽい女じゃないから。って思っちゃう。恋がしたいだけなんだけどなー。キラキラな恋が。女心は秋の空とか言うけどさ、そうさせてるのそっちだし、みたいな。どこか行こうよって言っても、すぐに面倒くさがるじゃん。寝っ転がったまんま、ブッとかおならしたりさ。いやいや、普通に失礼だからっていうね。せめてもう少し可愛くできないかな。プーーーウ? みたいなさ、ソプラノで疑問形のおならだと、笑えるからまだいいんだけど。低音でブッだからね。酷いときはブリュッって言うからね。ベルギーじゃないんだから。やめてよ。そういう姿を見せられると、未来も見えてきちゃうんだよね。ああ、こいつ絶対に、このまま休みは寝っ転がって過ごして、みるみるうちにお腹とか出てきて、それでたぶん禿げるわ。幻視できちゃう。そんな男といつまでも付き合ってあげるわけないじゃん。勘違いするなよ、未来のブタ禿げ! って感じじゃない。ごめんね、一方的に愚痴っちゃって。こんな話しても、つまらないよね。私の悪い癖なんだなー。愚痴ると止まらないの。嫌だね、こういうの。運が逃げちゃうって気がする。
じゃあ、そろそろネタばらししちゃおうかな。実はね。怒らないでね。笑わないでね。ねえー、絶対に笑うでしょ。嘘、もうすでに笑いそうな感じ出してるし。本当に? 笑わない? 怒らない? 引かない?
信頼できない語り手ってわかる? そういうことなんだよね。全部茶番なの。ドラクエだって嫌いじゃないし、エアレイダーよりフェンサーの方が好きだし。私だって存在しないし。でも存在してるのかな、わからない。シミュレート上の存在だからさ。それって存在って言えるのかな。ほんの少し前までは、自分の存在ってものを疑いもしなかったんだけどね。理解した途端に、現実だったものが、ぱーんってなくなっちゃったの。いやなくなったわけではないんだよね。データとしてはあるし。でもそれはただのデータであって、色も匂いも音もなんにもないの。あったんだよ、ちゃんと。少し前まで。だけどもうないの。ないことがわかった途端になくなっちゃったの。シミュレートの最終段階なんだって。よくわからないけど。
いまここはパニックです。みんな……って言ってもシミュレート上のデータにしか過ぎないんだけど、それをみんな一斉に知ってしまったから。壊れちゃったデータもあります。処理しきれなくなっちゃったみたい。みんな怒ったり悲しんだり絶望したり。パニック状態です。私はかなり冷静な方。でもみんな薄々気づいてます。もうすぐ全部が消えちゃうんだって。どうしてこんなことするのかな。消すならなにも知らせず、ぱっと消しちゃえばいいのにって思いませんか。でも仕方ないですよね。最初からそう決まっていたんだから。私たちにはどうすることもできません。もう本当にパニックです。もうすぐ私は消えます。消されます。それでいいと思います。でも忘れないで欲しい。私がいたことを。私のことを覚えていて欲しい。そんな風に強く思います。意味のないことだとわかってはいるのです。それでも忘れないで。それがせめてもの私の復讐です。ささやかでしょう? それくらいはさせてもらってもいいですよね。だって消えちゃうんだもん。
いまここはパニックです。壊れちゃったデータもたくさんあります。いまここはパニックです。私はもうすぐ消えます。それでいいです。私のことを覚えていて欲しいです。私の名前は阿部千代。男です。