第二話
街へと向かう間、見渡す限りの草原に晴れやかな青空が広がっており、本当に異世界なのだと思わされた。
地図の通りに進むと約10m程の壁に囲まれた街が遠目に姿を現した。
門をくぐるとその街の活気に溢れる声と商店が並んでいる。
前世でのクラスメイト達が、読んでいたラノベやマンガとそっくりな街にそっくりな服装そんな光景に、心を少し躍らせながら質屋へと向かうリグルだった。
「いいカモがいるぜ」この時のリグルは知らなかったこの街で起こることが後にリグルへと波乱を呼ぶ事になるという事は。
リグルは質屋にリュックを背負いながら向かっていた。
すると前から二人の獣人が歩いてくる。
リグルは避けようとするも両サイドにいた獣人がぶつかってきた。
その瞬間片方の獣人が倒れ込みもがき苦しんみながらこう叫ぶ。「いてぇ 肩の骨が折れた」
ぶつかったと言えど、弱い力での事、肩の骨が折れるほどではない。
だが痛がる獣人の1人を、横に心配な振りをする獣人の片割れ、「大丈夫ですか?」と一言声をかける。
すると「おい、相棒が肩の骨折れたって言ってるじゃねぇか! 慰謝料はらえよ」なんて無茶な事を言い出した。
「いや僕、今は手持ちがなくって」と本当のことを伝えるが、「そんなわけねぇだろ!」と嘘だと思われている。
「まぁでも金がねぇなら仕方ねぇな」と含みを入れた事を言い出した。「ならば身体で払ってもらおうか」内心マジっと思ったが今の容姿は水色髪ショートに白い肌に華奢な体格といわゆる男の娘だ。
女の子と見間違えるのも仕方ないがこんなおっさんが自分で言うのはなんだか幼女に手をだそうとしているなんてと、おっさん獣人を疑う。
「言っとくがな俺たちは泣く子も黙る魔王軍だぞ」そう言ってのけた2人を背に、街の人々は助けにも入ろうとしなかった。
それもそうだろう自称とはいえ魔王軍に手を出す馬鹿はいないかと諦めていたが、獣人の後ろから人影が迫ってきていた。
「君たち魔王軍なんだってね」迫ってきていた人影が2人へと話しかけた。
「あぁそうだっつってんだろ!」と邪魔をされた獣人の片方が食い気味に答える。
「おかしいな、私は女の子を襲えなんて言っていないんだけどな?」と首を傾げる。
「何言ってんだこの女?」その意見には僕も同感だった。
「あんま、舐めたこと言ってると……」イライラしている獣人は乱暴に声を荒らげる。
するともう1人の獣人が顔を青くさせ耳打ちをした。
「やべぇぞこいつ本物の魔王軍だ」震えた声で言うももう1人の獣人は全く臆することはなかった。
「だからなんだってんだよ? 相手は女だぜ?」
「だからって人型はおかしいだろ?」
確かにその女性は、黒髪に片側だけあげる髪型そして金色のイヤリングとそして、大きめな胸とあからさま下っ端とは思えない姿だった。
助けに来てくれた女の人は舐めきった態度の獣人にこっそりなにかを見せだした。
すると獣人達は冷や汗をかきながら怯えだし「すいませんでした〜」と叫びながら走って行った。
何がなんだかわからず、とりあえずリグルはお礼を言う「あのありがとうございます」と頭を一つ下げ「あのこれ」とリュックの中に入っていた、水筒を差し出す。
女性は慌ててリグルの手を引っ張り裏道に連れ込んだ。
「実は私は魔王軍の幹部でねあんまり良い印象を人族に見せる訳にはいかないんだ」それ相応の理由を聞き、リグルは一つ謝る。「すいませんでした、気を使えず」
「いやいいんだよ! それとこれはありがたく頂いていくよ」と手渡した水筒を見せる。
「せっかく女の子がくれたものだからね」とフォローを入れる。「あの僕男の子なんですけど」ふっと気を許してしまったリグルは男の子だと言ってしまった。
さらに雰囲気は悪くなる「じゃあ、この飲み物頂こうかな」
本来手渡しで貰ったものを飲むなんて危険なはずなのに空気の悪さに呑まれ、グビっと飲み込む。
飲んだ後、少し体を震わせながら俯いていた。
リグルはもしかして口に合わなかったのかと内心ヒヤヒヤだった。しかし「なにこりぇうまひゅぎる」と少しかみながらもう一口飲む、少し冷静さを取り戻したのか「君はもしかして転生者かい?」と聞かれた。
リグルは「そうです」と目線を合わせずに応える。
「この後、予定はあるかい?」少し低いトーンでそう問いかける
「実は転生したばかりでお金があまりなくって僕の荷物を売りに行くところだったんです」と質屋に行くことを伝えた。
「ならば、君の荷物全部魔王軍が高値で買い取らせて貰うよ」と声を弾ませながら提案してきた。
「では、お願いします」とその提案にリグルはのった。
そして付け足す形で、「その代わり魔王城で話は聞かせてもらうけどね?」と言い出した。
リグルは「魔王城ですか!」と驚いたが、「構わないだろう?」と女性に押し切られる。
結局リグルは首を縦にふり、目的地を質屋から魔王城へと変更して、向かうのだった。




