プロローグ
この世界に生きとし生けるもの
それは二つに大別される
一つ目は、魔法使い
言の葉を紡ぐ。杖を振る。
ただそれだけで奇跡を起こす超常の存在。
世界の寵愛を受けし者たち。
それが、魔法使いだ。
ならば二つ目は、何か。
それは、魔法使い以外の全て
虫、鳥、獣、家畜
そして、魔法の使えない人間
それら全て。
魔法の使えない人間など、言葉を解する獣や家畜にすぎない。
それが、この世界の常識だ。
あえて魔法使い以外の人間を大別するとすれば、やはり二つに分けられる。
一つ目は、臣民。
魔法使いの寵愛を受け、彼らの庇護下で生活する存在。
中には魔法使いの側仕えという栄誉を与えられる場合もあるという。
生涯を魔法使いのために捧げる。
それは、家畜には過ぎた名誉だ。
二つ目は、下民。
人の形をした獣。
言葉を解する獣。
世界の寵愛も、魔法使いの寵愛も受けられず、地べたに這いつくばるように生きる者たち。
スラムのゴミ溜めで生を受け、スラムで野垂れ死ぬ。
野生の獣の方がよっぽど上等な、そんな存在だ。
俺は、下民だ。
スラムで生まれ、スラムで育ってきた。
そしてスラムで死ぬ
はずだった。
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ここは、謁見の間。
世界を統べる存在、魔法使い
その中でも特別な存在、貴族
その貴族の頂点にして、魔法使いたちの支配者
それが、皇帝
皇帝が鎮座するは、帝城
この帝城にある謁見の間で謁見する相手とは、誰か?
それは、皇帝に他ならない。
つまり家畜以下の下民の俺とは、最も縁遠い場所だ。
にもかかわらず、俺はここにいる。
周りにいるのは綺羅びやかな衣装をまとった貴族たち。
いや違う。
彼らは貴族の中でも選りすぐられた、大貴族たち。
雲の上の、さらにそのまた上の存在だ。
誰も彼もが美男美女ばかり。
「魔法使いは両親からは生まれないんだ」
「魔法使いは絵画の中から生まれ出てくる。だから美しい」
あのスラムの噂は本当だったのだろうか。
あまりに現実感がなく、そんなくだらないことが頭によぎる。
本来なら俺なんかがいていい場所ではない。
場違いにもほどがある。
殺されても文句が言えないどころか、処分されて当然だ。
にもかかわらず、俺はここにいる。
ここにいることが許される。
いや違う。
望まれて、ここにいる。
なぜならば
「ようやく会えましたね!でもお顔の色が優れないようですが、大丈夫ですか?」
優しい声。
心から俺を心配してくれる声。
この声の主が、俺がここにいることを望んだから。
顔を見る。
いつも前髪で隠れていた顔。
きっと美人さんだろうなと思っていたその顔は、俺が想像していた以上に美しかった。
それこそ、この中で最も美しい。
彼女こそ、皇帝。
全魔法使いの頂点にして、支配者。
すなわち、この世界を統べる存在。
「兄さんに元気がないと、私、心配です」
俺の、妹だ。
二作目となります。
前作よりも短めに、かつ早く完結できればと思っております。
楽しんでいただければ幸いです。




