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【ターニングポイント】第2話 世界の覇権

「1つ確認したいのですが、よろしいですか?」


 合衆国の魔人の大統領が、監督へ質問した。

 今まで、沈黙を保ってきただけに、嫌な予感がする。


「なんでしょうか?」


 監督は、ニッコリと笑う。


「この映画のシナリオの改変は、自由ですか?」


 世界最大の国が言うと、これ程物騒(ぶっそう)に聞こえるのか…


「はい。物語として、そちらの方が面白ければ問題ありません。面白くなかったら、止めさせます。」


「分かりました。」


 その時、大統領は露骨(ろこつ)に口角を吊り上げた。悪人のような笑みだ。


「では、魔王と四天王は勿論、この物語で悪役とされる敵種族の役は…」


 この先の言葉を何となく想像できてしまった。



「全て我が国から選抜(せんばつ)しましょう!!」



 これは、ヤバイ!!

 ヤバすぎるってもんじゃない!!


 大統領は、物語を()()に変えるつもりだ。彼は早口で嬉しそうに(しゃべ)る。


「我が国は、同盟国も含めると、全世界の四分の一の人口がいると言って過言ではありません。年齢、性別、能力、見た目。ご希望がありましたら、何でも(そろ)えることが出来ます。」


「素晴らしい!いつまでに揃えられます?」


 監督も、大統領にハグをするのではないかと思わせる程、喜んでいる。


「明日までと言われましたら、明日ですね。」


「よろしい!後で相談しましょう。」


「はい。」


 空気が変わった。


 大統領の国と敵対する国の王達は、今の状況を理解し、流石に焦り出す。

 監督から許可さえ下りれば、時間をかけて工作をしなくても、他国を侵略を出来るのだから、それは焦る。


 勿論、俺の国も例外ではない。

 立地的に1位2位を争う程、真っ先に狙われるだろう。


 これは既に、監督の映画制作の話ではなく、映画制作が終わった後に、誰が世界の覇権(はけん)(にぎ)っているかの話になっている。


「陛下。勇者パーティーへ、更に我が国の人間を送らなければ、全て大統領の思いどおりになってしまいます。」


 陛下の顔も先ほど以上に真剣なものへと変わった。


「そうだな。勇者パーティーで、まだ確定していないのは、戦士と魔法使いだったかな?」


「はい。そのとおりです。」


「はい!俺も戦士へ志願します!」


 レイブンが、監督へいい放った。

 現在、国内最強の男を温存してる余裕はなくなった。判断が早くて助かる。


「私が魔法使いを志願しましょう。」


「陛下!?それは、流石に…シナリオどおりなら、死亡する役ですよ。」


「後任は既に決まっている。生い先短い老害に、最後の仕事をさせておくれ。それに…血が騒ぐ。」


「分かりました!つまらない意見を言い、申し訳ありません!」


 陛下は今でこそ、視力が落ちて前線を退いた身ではあるが、全盛期は史上最強と言われた男。

 1000年に1人の逸材(いつざい)と言われる四種混合魔法の使い手。

 現在、大統領の国の最大戦力【炎皇】を、圧倒的な戦力差で殺す一歩手前まで迫った実績を持つ。


 正直、心強い。

 と言うか一騎士として、最強の男の魔法を見てみたい。


「戦士の方については、了解しました。後で、誰が適任か決めましょう。しかし、魔法使いはダメです。」


 監督は、陛下が魔法使いになることを認めなかった。


「何故ですか!?魔法の腕前なら、名実ともに最強なのですよ!?」


 当然の質問だ。


「いや…勇者パーティーの魔法使いと言えば、若くて可愛い女性に決まっているでは、ありませんか?若くもないし、可愛くもないし、女性でもないなら、駄目ですよ。」


 監督が、さも当たり前かのように言う。


「何ですか!?その謎理論!?」


「分からない人に言っても、無駄ですね。いずれにしても、認めません。他にいませんか?」


「では、私が魔法使いに!」

「俺は戦士で!」

「私は悪徳領主役で。」

(それがし)は、忍者役で。」


 続々と手が上がる。

 先ほどまでの、無言の押し付け合いとは一変し、志願の嵐となる。


「では、我が国から、魔法使いにも1人。」


 大統領まで、勇者パーティーに刺客を送ると宣言した。

 明らかにスパイだろ!!


 これから後は、異常な速度で役が決まっていく。


 世界各国の陰謀(いんぼう)が渦巻く、恐怖の映画制作が静かに幕を開けようとしていた。




「最後に、絶対のルールを話しておきます。主人公の転移者には、演技ではなく本物の人生を歩んでもらうためにネタバレを禁止します。破れば、誰であれ即死亡です。」


 監督が最後にこう締めくくって、講和会議は仕舞いになった。

 監督と大統領は、別室に消えていく。


 各国の王達やその護衛は、徐々に転移魔法で会場から立ち去る。


「アルス。お前が勇者になったお陰で、うちの国が主導して勇者パーティーの管理が出来るようになった。本当に助かったよ。」


「後は、レイブンが戦士になってくれれば、勇者パーティーを確実に我が国でコントロール出来るようになる。決め方は確か…」


「転移者に決めてもらうだったか…」


「俺が先に転移者と出会う物語になっているから、上手いこと誘導しておくよ。」


「頼むぜ。」


「ローラン。お前は本当に良くやってくれた。」


 陛下も俺を褒めてくれる。


 正直、嬉し過ぎる。

 と言うか一騎士として、永遠の忠誠を誓わずにはいられない。


「ありがとうございます。実に光栄です。これから、どうしましょうか?明日には、早くも転移者を我が国の王宮で召喚する予定ですので、準備に取りかかりますか?」


「そうだな。それと並行して、他の勇者パーティーのメンバーや、候補者達のことを調べあげるぞ。情報はあればある程、有利に働く。」


「分かりました。自分としても知っておきたかったので、調べておきます。レイブン、今日は徹夜になりそうだな。」


「ああ、辛いぜ。そういえば、アルス。お前、肩大丈夫か?」


 あ…

 監督の衝撃波を受け流した時、脱臼したのを忘れてた。


「あだだだだだ!!治癒魔法“中等治癒”…ふう。」


 中等治癒は、応急処置に過ぎない。

 後で、治癒魔法使いに治してもらおう。






「監督殿。我々から1つ提案があります。」


「なんでしょうか?」


 大統領と監督だけの部屋で、2人は密談をしていた。


「転移者が、転移した初日に我々が、転移者のいる国……つまり、王国へ宣戦布告をし、戦争を仕掛けるというシナリオに変更するのは、どうでしょうか?」


「ほう。なかなか面白いですね。」


「戦力としては、四天王2名と魔王を含む50万程の兵力を動員しようかと思います。」


「少し速すぎる展開のような気もしますが、捨てがたい。…どうしましょうか……」

監督の決断は、読者のみなさんに任せます。

どちらか決めたい方は、感想欄で賛成か反対か書いてください。


初日で宣戦布告するのに賛成の方は「賛成」

初日で宣戦布告するのに反対の方は「反対」


と明確に書いてもらえると分かりやすいです。


締切は、6月29日(火)23:59までとさせてもらいます。


0票だったり、同数の場合は俺の方でテキトーに選びます。


多くの方の参加をお待ちしてます。よろしくお願いします。


追記:今回は、0票でした。そのうち、再トライしようと思います。よろしくお願いします。

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