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鑑定少女ジュジュの恋愛~イケメン鑑定士たちに言い寄られてるけど、とりあえず今は待って!~  作者: さとう


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王子様の秘密基地

 ゼロワンの秘密基地は、アーレント王国の外れにある小さな屋敷だった。

 木々に囲まれ、細い道を馬車で進み、ようやく到着した。

 馬車から降りると、ゼロワンが言う。


「ここ、オレの秘密基地なんだ。親父もアーヴァイン兄もカーディウス兄も知らない。へへ、知ってるのはジュジュ、お前だけだぜ」

「え、騎士さんたちも知ってるんじゃ」

「こいつらは別だっての。それより、早く入れよ!」


 屋敷の中は、さっぱりとしていた。

 豪華な調度品があるわけでも、大きなシャンデリアが釣り下がっているわけでもない。質素な、下級貴族の屋敷みたいな雰囲気だ。

 すると、侍女が数人現れ、頭を下げる。


「ジュジュにドレスと宝石……えーっと、あ、パーティー行く恰好で頼む。風呂とか、えっと」

「ゼロワン王子。お任せください。しっかりやりますので」

「お、おお」

「ふふ。女の子の扱いに慣れないといけませんね」

「う、うるせいやい! あと、オレの服も頼むぞ!」


 侍女の一人がクスクス笑う。どうやら、この家を管理しているのは、ゼロワンにとって親しみやすい人物だけのようだ。

 ジュジュは、侍女たちに連れられ浴場へ。

 服を脱がされ、香油を垂らした湯船に浸かり、髪を丁寧に揉み洗いされる。


「綺麗な御髪ですね」

「あ、ありがとうございます」

「ゼロワンおぼっちゃんが初めて連れてきた女性。ふふ、しっかりと飾らせていただきます!」


 侍女は気合が入っていた。

 風呂から上がり、新品の肌着を身に着けて隣の部屋へ入ると、そこは……数百はあるドレス、様々な宝石が大量に並べられていた。

 まばゆい輝きにジュジュはあんぐりする。


「さ、ドレスを合わせましょうか!」


 この時より、ジュジュは侍女たちの着せ替え人形となった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ゼロワンは、パーティー服に着替え、髪も整えて屋敷の入口で待っていた。

 これから、アーヴァインの誕生パーティーがある。

 それに、ジュジュを連れて行くのだ。

 

「お、お待たせ……」

「おう! ようや、く…………」


 ジュジュが、侍女に連れられやってきた。

 声を掛けたゼロワンの時間は、きっかり停止した。

 ジュジュは、今まで見たどんな女性よりも……美しかった。

 パールピンクのドレスは肩を大胆に露出し、白く細い首がよく見える。その首にはシンプルなネックレスがかけられていた。

 菫色の髪は丁寧にまとめられ、綺麗な花飾りで止められている。

 全身に煌めく宝石が散りばめられているような輝きだった。


「す、げぇ……おま、ジュジュ、だよな?」

「そうよ。失礼ね」

「お、おう……」

「あーもう。吹っ切れたわ。こうなったら、パーティーでいっぱい食べるんだから! お家のことはその後で考える!」


 ジュジュは、着せ替え人形にされてる間に吹っ切れていた。

 家を滅茶苦茶にしたやつは許せない。この気持ちは、今だけしまっておく。

 そして、せっかくのパーティーだ。

 招待してくれたアーヴァインに、お礼を言いたい。


「さ、行きましょ。ゼロワン、エスコートしてくれるんでしょ?」

「お……おう!」


 ゼロワンは、胸のドキドキが止まらなかった。


 ◇◇◇◇◇◇


 アーヴァインは、公爵家の執務室の椅子に座ったまま腕を組み、指をトントン叩いていた。


「…………」

「旦那様。そろそろお支度を……」

「…………ああ」


 今日は、アーヴァインの誕生会。

 気落ちしたジュジュのために、国一番の楽団を手配した。

 王城で働く料理長も呼んだ。ジュジュのためにドレスも用意した。

 だが……肝心の、ジュジュが現れない。

 家に悪戯され気落ちしていると思い、気分転換にとパーティーへ呼んだ。

 それ以外にも、最近コキ使いすぎたという自覚もある。アーヴァインなりの気遣いだった。


「ノーマン」

「はい、旦那様」

「その……いや、なんでもない」


 アーヴァインは立ち上がり、着替えるために部屋を出ようとした……が。


「アーヴァイン様!!」

「……バネッサ」


 なんと、執務室にバネッサが入ってきたのである。

 いきなりのことでノーマンも対応できなかった。ドアの外には護衛の騎士と侍女が、申し訳なさそうな表情でアーヴァインに頭を下げた。

 アーヴァインは、思いきりため息を吐く。


「……何か用か? 悪いが、これからパーティーの準備があるんだ」

「そのことで参りましたの。アーヴァイン様……わたくしを、パーティー会場までエスコートして下さらない?」

「何?」


 バネッサは、勝ち誇ったように言う。


「アーヴァイン様が手配した楽団は、我が伯爵家所有の楽団ですの。さらに料理を提供する料理長は、我が父の弟でして……知りませんでしたか?」

「……つまり? 見返りに、お前をエスコートしろと?」

「そういうことですわ。ふふ、簡単なことじゃありませんか。私を、アーヴァイン様の馬車に乗せて、パーティー会場まで連れて行ってくださるだけでよろしいのですから」

「断れば、楽団は撤収、料理は並ばない……そういうことだな?」

「さぁ?」

「フン……いいだろう」


 姑息な手段だった。

 ノーマンは青ざめていた。楽団や料理を手配したのはノーマンで、まさかバネッサの伯爵家が絡んでいることまで調べていなかったのである。

 アーヴァインは、そのことを責めることなくいう。


「ノーマン。バネッサを別室へ。丁重にもてなせ」

「か、かしこまりました……」

「では、アーヴァイン様。後ほど」


 バネッサはスカートをつまんで一礼し、出て行った。

 残されたアーヴァインは、小さく舌打ちする。


「…………めんどうなことになるな」


 だが、アーヴァインも知らない。

 ジュジュが、第一王子ゼロワンに連れて行かれ、ドレスに着替えて一緒に行こうとしていることに。

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