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1-3 ダンジョンに出発!

ダンジョン「ミスト」での高品質な万能薬「エーテル」を生成するための薬草及び

苔等々・・・調達クエストが今回ライト達が受注したクエストであった。


「出発は明日な訳ですが、今日は皆バイトはお休み!明日に備えて準備をしましょう!」

「準備って具体的には何をするんだ」

「えっとですね、装備を整えたり・・・えぇーっと」

「つまりは、みんなで買い物をしようってことだよ」


シエラがニコリとタクトに言う。


「各々でそろえればいいじゃないか」

「タクト、わかってませんね・・・買い物だってチームプレイです!そんな

ものぐさな性格では女の子にモテませんよ!」

「ぐっ、こいつ的確に俺の弱点を・・・」

「ははは」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


装備を整えに武具や防具の取引を行われている区画に三人は訪れる。


「鍛冶場に商店、武具といえばやはりこの鍛冶屋通りですね!」

「鉄の臭いが凄い・・・」


やはりと言うべきかドワーフや屈強な男達が道を行き交う。


「そういえばタクトのジョブは何ですか?」

「パン屋のアルバイトだろ」

「いえいえ、そういうことではなく」


ライトは内ポケットからタグを取り出す。


「これです。私は剣士見習いです。シエラは魔法使い」

「俺は・・・」


魔王見習いとも言うわけにいくまい。

とはいえ他のジョブとやらの名前も全く知らない現状では二択でしかなかった。


「魔法使いだ・・・」

「そうなのですか。てっきり、あの優れた身体能力から近距離で戦うジョブかと」

「僕と同じかぁ、じゃあ魔道具屋に一緒にいこうか」

「あ!ズルい!私も鎧の修繕が終わったらすぐ合流しますから!」


ぴゅうとライトは消える。


「タクトはどの系統の魔術が得意なんだい?」

「まて、お前達は当然の如く話してくる知識が俺には全くわからないんだ。

言っただろ俺の故郷ははるか東の・・・」

「そうだったね、系統って言うのは・・・やってみるのが一番だね」


タクトは田舎出身という設定でごまかしていた。

シエラは腰のポーチから石を取り出す。


「黒曜石か?」

「ちょっと違うかな、握ってみてごらん」


渡された石を握ると手の中てパッと光ったような気がした。


「はい、もういいよ。これは、変色してないって事は闇だね!結構珍しいよ」

「闇?」

「どんな人間でも生まれた瞬間から神の加護をうけるんだ。その系統の種類判別って

所かな」

「闇って、名前の印象が悪くないか?」

「いや、そんなことはないよ。どの系統だって必ず必要なんだ。魔物の属性にあわせて

弱点を突く為にね。僕は風、ライトは光だからいい具合にバラけているね」


シエラは地面に四角形と直線を書く。


「火>風>土>水の四すくみと光と闇が互いに反発しあっている感じかな」

「ふぅん。本当にゲームみたいだな・・・」

「ゲェム?」


その図を眺めながらリリスの「時」って何なんだ?と疑問が浮かんだが彼では

答えを持っていなさそうだと疑問を胸にしまった。


「じゃあ光と闇が珍しいんだな」

「そうだね。とはいっても10人に一人はいるかな」


その言葉に安心する。一万人に一人の!などと言われてしまっては更なる

面倒が増える予感がしたからだ。主にライトからの。


「装備を整えようか」

「その件なんだが、杖なら既にもっているんだ」

「そうなんだ!でも、魔道具や防具も新調したほうがいいと思うよ。いつ魔物に

襲われてもいいよう準備はしっかりとしておかないとね」


シエラに帽子を被せられる。


「これは?」

「防御力が二ポイント、上がるんだ」

「・・・へえ」


いよいよもってゲームじみているとタクトは苦笑いをした。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


装備を整えた翌日の早朝。


「各位!装備は揃いましたね?」

「ああ」

「うん」


タクトたちは今「ミスト」と呼ばれるダンジョンの前に立っていた。

意外にも王都から馬車で数十分の距離。


軽装な鎧をまとうライトと魔法使い!と言わんばかりのローブ姿のシエラ。

タクトは結局フードつきの軽装な装備の購入のみに留まった。

「アビス」とは異なりダンジョンの周りはちょっとした集落になっている。

ここで生計を立てている冒険者も多いのだそうだ。

魔物の討伐、採集、採掘、新ルートの発見、一つのダンジョンにこれほどの

金になる事業が眠っていることにタクトは驚いた。


「もう出発するのか?」

「ええ・・・ええ!」


ライトの身体が震えている。


「緊張してるのか?」

「いいいいえ!?ダンジョンにいどどどむだけででで?!」

「・・・シエラ、アイツを落ち着かせてやれ」

「・・・・・・・・・へ!?」

「お前もか・・・」


何で自分の周りにはこんなヤツばかりなのかとタクトは辟易する。


「よっと」

「タクト!?置いていかないでください!」

「まだそこ集落だろ!怖かったら待ってろよ!」

「シエラぁ~!」

「はいはい」


シエラの足元にしがみつくライトはまるで他所に預けられ、家に帰りたいと

駄々を捏ねる子供のようだった。


「なんだ、全然明るいじゃないか」

「低層は冒険者に探索され尽くされているからね。といっても進んで行けば薄明かり

だけになるよ」

「うう、クライ。コワイ」

「こいつは使い物になるのか?」

「ハハハ、戦闘以外ではね」

「さらりと存在否定されたな、剣士見習い」


薄明かりの洞窟を進むとそれなりに冒険者とすれ違う。


「本当に魔物なんているのか?さっきの奴らなんて談笑しながら進んでいたぞ」

「いるにはいるんだけど、この一帯は駆け出し冒険者の経験稼ぎの場みたいになっていてね

魔物の取り合いなんだ」


その言葉にタクトの脳裏に惨殺されたかつての仲間がよぎる。


「どうしたの?怖い顔してるよ」

「いや、なんでもない」

「うう、たくとぉ。進むペース速いですよぉ」


緊張と疲れでライトが小さな岩場に腰掛ける。


「なんだ、もうギブアップか」

「うう、いまにも魔物が出てくるかとおもうと、動悸がですね・・・」


岩場の一転、彼女が手をついた瞬間足元が青白く光る。


「これは!」

「転移の魔方陣だ!逃げて!」

「へあっ!?」


三者三様の声をあげ、その場から誰もいなくなった。

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