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朱色の本

今日は、先日約束してくれたご褒美を買いにアインと男二人で街の商業区に来ている。

「なにが欲しいんだ?」と聞いてきたので考えるが、雑貨系は特に興味が無いし、玩具とかはさすがに欲しいとは思わない。

せっかく買ってもらうなら手元に残るものがいいので、そうすると勉強できるもが後々役に立つだろう。

「新しい魔術書が欲しいかな」

「そうか、じゃあエドガーのとこに行くか」と言いながらアインは俺の手を取って歩き出した。


 少し歩くとお世辞にも綺麗とは言えない本屋が目の前に建っていた。

「着いたぞ、。ここの本屋、見た目は汚いが品揃えは一級だからな」と言い終わった時、

店の中から「汚くて悪かったな」と黄色いシンプルなエプロンをした厳ついおじさんが出てきた。

「よっ、エドガー!買い物に来たぞ」

「買い物以外で来られてもこっちは困るんだが。お前がここでお茶してるのが分かるとすぐに怪我人が集まって来て。うちは本屋で教会じゃないんだよ」

「まぁ、そういうなよ。友達だろ」と言いながら肩を叩いていた。

「で、何を買いに来たんだ?頼まれていたやつならもう少し待てよ、まだ届いてないからよ」

 アインがエドガーの耳元で焦った感じで何か言っている。

 どうせ、エッチな本でも頼んでいたんだろう。

 親父が何点か持っているのを正直、家族全員知っている、正直に言うと俺もたまに観ている。

 死ぬ前はさすがに性欲が無くなっていたが、審判の間の時、若くなっていた為か女性に対して性的な感情が最近出てきているのだ。

 

 たかが4歳になろうとしているガキが、と自分でも思う。


「いやいや、今日は俺の息子が本を欲しいって言うから買いに来たんだ」

「お!お前とローザの子供か、大きくなったな」と言いながら頭を撫でてくれた。

「こんにちは!」と元気に子供っぽく挨拶をすると

「はっはっはっ、元気いいな」と返してくれた。

 正直向こうはこっちの事を知っているらしいが、俺……覚えてないんだが

「さすがに、寝まくっていただけあるな。元気な子に育っているじゃないか」

「いや、あの時は寝すぎだろって言うくらい寝ていて心配するくらいだったんだからな」

 親父の言葉を聞いた時に分かったが、俺が寝ている時に来ていたら覚えてないや、確かに本が読めるようになるまでは、ほとんど寝ていたからな。


「で、どんな絵本が欲しいんだ?坊主、うち絵本の種類が少ないから、気に入ったのがあればいいが」と中腰になって俺と目線を合わせながら言ってくれた。

「いや、こいつが欲しがっているの、魔術書だから」

「はぁ!?魔術書だぁ?いやいやこいつ、ローザとの息子だろ!あの!」

 指を指されながらこいつ呼ばわりされた、あれ?結構優しそうな人だったのに……それともそんなにおかしいのか、ローザの子供が魔術書を欲しがっているのが。

「いや、俺の子でもあるからおかしくないだろう」

「確かにお前は魔術書読むが、あくまで職業的に必要だから読んでいるだけだろう」

「だけど、うちにはアリアが居るし」

「うん、まぁそうか」としぶしぶ納得していた。

 どれだけ、書物に対するうちの母親達の評価、正反対なんだよ。

「魔術書か……お前の家にあるの、結構な量だよな、それこそ初級から専門的なものまで」

「ああ、アリアもよく買うし、俺もちょくちょく買うからな」

「家にあるの、読ませとけば良いじゃないか?」

「こいつ全部読んで済んでやんの」

「嘘だろ?この子何歳になるんだ?」

「今度4歳になるぞ、そのプレゼント込みだから少し値が張ってもいいから、何か面白そうなの選んでくれ」

 ちょっと待てパパン、誕生日プレゼント込みだと聞いてないんだけど、これは高いのを買って貰おう。

 俺は親父の袖を引っ張って

「自分でも探したいから観て回ってくる」

「おお、お父さんここにいるから気に入ったのあれば持って来いよ」

「うん」

 俺は店の中を観て回っていると一角にあった魔道具コーナーに置いてあった一冊の本が気になった。

 朱色をしていてシンプルな表紙で中は白紙の本と言うよりノートみたいな物だが、なぜか無視できないので持ってアレンの元に戻った。

「うん?それがよかったのか」

「うん、これがいい」

「おっ、決まったか。どれ、本当にこれでいいのか?これ魔道具だぞ」

「なんだ、お前の店魔道具なんて扱っているのか」

「最近から少しだけな」

「で、この本どんな効果があるんだ?」

「いや、この本適当に仕入れた中に混じっていて効果がいまいち分からん、ただ書いた文字が次の日には消えているからそれが効果だろうと思うが」

「いやいや、そんな物売るなよ」

「ユウそれやめとけ、他のにしよう」

「やだ!これにする」

 俺はなぜか拒否していた。

「よし、じゃあそれは、俺からのプレゼントだ」とエドガーが言った。

「おい、それ単なる不良品、家の息子に押し付けているだけだろう」

「いいじゃないか気に入っているし」

「そんなもの貰ったって、家の二人にばれたら俺どんな目にあうか」

「頑張れ!!」と物凄い笑顔で言っていた。

 アインが頭を抱えていたが気にしないでいよう。

「ありがとう、おじさん」とお礼は、きちんと言っておく。

「大事にしてくれよ。で、アインからのプレゼントとしてこれなんかどうよ」と一冊の白い本を取り出した。

 白い表紙と言うことは神聖属性関連の書物か

「これは、通常の状態異常と魔力によって起きる状態異常の回復誤差と対処法についての研究結果の本だ、最新刊だぞこれなんかどうだ?」

「お、いいなそれ俺も使えそうだしユウもいいか?」

「うん、それでいいよ」

「まいどあり、ローザとアリアにもよろしく言っといてくれよ」

「おう、今日はありがとな」

「バイバイ!」と俺は手を振ってアレンと一緒に店を出た。


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