プロローグ 後編
「人生を振り返るか……生涯90年意外と長く生きたなぁ~」
自分では不幸と思ってないのだが…… 、他人から観たら幸せだったとはいえない人生だった。
学生時代は学業と部活に打ち込んで楽しかったし、社会人時代はそれなりに出世もできた、それと家族の仲もよかった。
まぁ、結婚を一度もしてないと言うか……彼女が生涯できなかった点が他人から観て幸せじゃ無かったんだろう。
でも、その分親や兄妹と一緒に長く過ごせたことが自分的には幸せだと思えた。
「しかし、死ぬ前に資産処理して施設に入れて良かったわぁ、孤独死には違い無いがすぐ対応してもらえるし」
そう、俺は孤独死なのだ。
親戚付き合いも数年前に無くなって、仲のよかった友達も先に行ってしまった。
色々と思い出してみると涙が出てきた。
若い頃には孤独死を覚悟していた筈がいざなるとやはり寂しいものである。
転生先については記憶を持ち越せないのなら特に希望は無しでいいだろう
「あの~考え終わりました。」と女性に話し掛けると
「はい、じゃあお呼びするのでちょっと待ってて下さいね。え~と、今日の担当はイリス様ですね。」
「今日の担当?」
「はい、神様も仕事ですからそれでは私はこれで」とお辞儀をして女性は消えていった。
ベッドに腰掛けたまま待っていると、部屋にあった椅子に金色の長い髪をした可愛らしい女性が紙の束を持って座っていた。
「え~、あなたが今日審判を受ける人ですね。担当のイリスです。それでは始めに名前と年齢を言って下さい」
「はい、斉藤 優也 90歳です」
俺の名前を訊いたイリス様は、手に持っていた紙を捲りながら首をかしげていた。
一通り捲り終わると、持っていた束を消して変わりに新しい束を取り出して見ていたのだが
「ちょっと、待っていて下さい。名前が載って居ないので上の人に聞いてみます。」と言ってイリス様は自分の右手を右耳に当てて話しだしたのだ。
「あの、イリスですけどタナトスさんとアポロンさんに繋いでもらえますか?」
「お疲れ様です。イリスですけど、今審判の間に居る斉藤 優也さんの名前が書類に載っていないんですが……」
と、言った後すぐに二人の男性が部屋に現れた。
一人はローブを被って腰に鎌のキーホルダーを付けていて、もう一人は、紳士と言えるような人だ。
それから三人で話し合いが始まったので、待っていること数分……
結論から言えば、俺は間違えて死んだみたいだ。
寿命もまだあと数年はあったらしい……本来このようなミスが起こった場合、現世に還されるが
俺はちょっと難しいみたいなので、記憶とチート能力を持っての転生をすることになったのだ。
ちなみに、拒否権は無かった。
向こうも役所仕事で今回のような対応を取らざるを得なかった。
転生先は魔法がある世界になるらしいので、魔力量と身体能力がその世界でSSランククラスの以上になるようにしてもらった。
「あと、名前をユウってつけて貰えるようにしてくれませんか?」と言ってみると
「わかりました。おまけでやっておきます。」とイリス様が言ったの聞いてから意識が遠くなっていった……