表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想影法師  作者: 望月笑子
7/51

影6

このメールを送信すると、執筆中小説にこの内容が追加されます。

この家にテレビはない。米を炊いている様子もない。ガスは止めていて、お風呂は週に一回銭湯に行くだけだという。藪ケ原は、岩手山の麓に近い場所にあるので、冬になれば水道管がすぐに凍結してしまうという。そのせいで洗濯機も壊れて使えなくなったという。おそらく洗濯もしていないだろう、と律子は思った。

さっそく、律子は着ていたナイキの体操着を脱ぎ捨てると、Tシャツ一枚になった。幻一郎が、ゴミを捨てられない性格であるのに対して、律子は逆に、ゴミをどんどん捨てたい性格だった。箒で埃を掃いて捨てる。ゴミは、90リットルの業務用の袋で、日に10個は出た。死んだ虫がくっ付いている靴下もあったが、まだ使えそうな下着類は全部まとめて持ち帰り、律子の家の洗濯機に放り込んだ。

台所の様はもっとひどかった。カラになって転がっている缶や、ペットボトルをゴミ袋に詰め込むと、強力なカビ用の漂白剤を数本使い、油ぎった床に徹底的にばら撒いた。水道からは赤茶色の錆びた水が出た。綺麗な水が出てくるまで少し時間がかかった。窓を開け放ち、何度も何度も雑巾で拭いた。冷蔵庫の中には、小さい虫の死骸が転がっている他は、食べ物らしいものはほとんどなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ