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影48
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「ただ?」
「角が、見えた」
「角?」
「うん。あれって誰なの」
幻一郎を、律子が黙って見据えた。
「私の隣の部屋に、あんな化け物」
「りっちゃんだよ」
「私?」
「そう。りっちゃんの、本当の姿」
「私の、本当の、姿?」
「あれは、真実を写し出す『照魔の鏡』なんだ」
そう言うと、幻一郎が懐中電灯をもう一度、『あかずの間』の中に放った。丸い光が幾十にも輪になって、まるで小さな満月のように見えた。
「真実を写し出す『照魔の鏡』」、幻一郎がそう言った。
あらためて見たその鏡には、おかっぱ頭に、かすりの着物を着た童子が写っていた。
幻一郎が、「それもりっちゃんだ。」とゆっくりと言った。