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幻想影法師  作者: 望月笑子
47/51

影46

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ふいに、それと目が合ったような気がした。

いや違う。

字だ。

黒い文字で何かが書かれている。

律子はそれを、声に出して読んでみた。

「無所得…耳鼻舌…?」

(なんだこれは)

輪郭が見える。

影か。

いや影じゃない。

刀だ。

いや刀じゃない。

人だ。赤い顔。

血だらけの…鬼?

いや違う。体全体にお経の書かれた人間だ。

不思議なことに、左の甲にだけは書かれていなかった。

「見て、しまったんだね」

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