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影23
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幻一郎は、どこか近くて遠い存在だった。
世の中には、女に高価な贈り物をして、少しでもその女がその気になれば、途端に嫌いになる男がいるというが、幻一郎にはそんなところがあった。
律子は、ますます幻一郎のことを好きになった。
それは、研ぎ澄まされた感性だった。
人を好きになれば、独占したくなる。
独占できなければ、嫌いになる。
その堂々巡りに苦しまなければならなくなる。
人は、人を愛した瞬間から、妄想と嫉妬に苛まれる。
もしかして幻一郎は、律子の気持ちを知っておきながら、わざと然り気なく接するのではないか。
ひょっとして、愛の深さを推し量るために、わざと素っ気なくして、試しているのではないか。
幻一郎が、律子に気がないのは、律子もよく分かっていた。
決して、恋愛の対象ではないのだ。




