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影22
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「こうして見ると、りっちゃんって、まるで少女みたいだね」
幻一郎が、煙草を吸いながら、ぽつりと呟いた。
「えっ、そう?そんなに幼く見えるのかな?」
「うん、見えるよ」
「よく言われる。年の割りに、童顔だって」
ウォークマンを聴きながら、踊る時。ベッドのスプリングで、はしゃぐ時。回転椅子で、くるくる回る時。新しい服に、袖を通す時。律子は、少女になっている。
いつだったか、こんなエピソードがあった。夏休みに律子が、《けんじワールド(現在はない)》で、お風呂の清掃のアルバイトをしていた時のことである。
「あなた、中学生?って聞かれたんだよ。おばあちゃんに。どう思う?」
「へえ…。」
幻一郎は疲れたようにして、聞いていない様子だった。




