21/51
影20
このメールを送信すると、執筆中小説にこの内容が追加されます。
「手に落書きなんかしちゃ駄目だよ」
幻一郎が、律子のその左手の甲を見て注意をした。
「これ落書きじゃないよ。手のメモだよ」
「メモ?なんでそんな所に」
「すぐにメモしないと、忘れちゃうから」
うっかり、手にメモするのは、頼まれ事が細かいからだ。
「自分で自分をマネジメントするための、スケジュール表みたいなものよ」と、律子は反論した。
「だったら、メモ帳に書けば?」
「だって、自転車に乗ってると忘れちゃうから…。」
自転車に乗りながらパンをくわえ、途中のスーパーマーケットで日用品を買い、眠気覚ましに自販機の缶コーヒーを毎日3本飲む。
「この頃、いくらダイエットしても体重が減らないのは、この缶コーヒーのせいだ。」と、律子は思った。
「じっちゃんは、どうしてそんなに痩せてるの?」
「ワタシは、太らない体質なんだ」
律子と幻一郎は、同じくらいの背丈であるにもかかわらず、体重の方は、幻一郎は極端な痩せぎすで、律子は人一倍ぽっちゃりとしていた。




