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影15
「そうだよね。私が持って来たカードだもんね。でもおかしい。絶対おかしいよ」
「それじゃあ、もう一回やるかい」
「いいよ。もう勝つ自信ないよ」
律子が、ふてくされたようにして、トランプを仕舞った。
「はぁ。おもしろくない。じっちゃんまるで、見えてるみたいだったね」
「うん。だって見えてるから」
「えっ?」
律子は、自分の耳を疑った。
「今、なんて言ったの」
今度は口パクで、幻一郎がゆっくりと、「見・え・て・る・か・ら」と言った。
「本当に?」
オカルト好きな律子は、急に興味を持った。
「信じられない。なに?じっちゃん、透視できるの?」
「分かった?」
「やっぱり存在するんだ」