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影14
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「ああ、悔しい…」
律子が、小さな子供が駄々をこねるように、「もう一回」と言った。
「いいよ」
なぜか、幻一郎は平然とした表情だった。そして、次の回も、また次の回も、続けて律子に勝った。
とうとう律子が不機嫌になり、「なんで?」と声を荒げた。
「なんで?」と、幻一郎が聞き返した。
「だっておかしいよ。カード見たんでしょ」
「見てないよ」
「嘘だ。絶対見た」
「見てないって」
「じゃあ、なんで強いの?」
幻一郎が、静黙として律子を見た。
「あっ、分かった。じっちゃん、電気の明かりでカードが透けて見えてるんじゃないの?」
「見える訳ない」
「それじゃあ、何か印でも付けたとか」
「そんな暇あったか」
律子が、ジョーカーをひっくり返したりしてよく見たが、印など付いている様子はなかった。