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影13
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「どっちからいく?」
幻一郎が、食い入るような目で律子を覗き込んだ。
「じっちゃんからでいいよ」
「いいの?」
そう言うと幻一郎が、華奢な指先で、律子の差し出しているカードを一枚引き、そのカードと同位の手札を一緒にして捨てた。続けて律子も、カードを引き、同位の手札と一緒にして捨てた。律子の方に、まだジョーカーがあった。
「はい、じっちゃんどうぞ」
律子が平静を装い、残った2枚のカードを、幻一郎の方へ差し出した。当たる確率は、五分五分である。しかし、幻一郎がためらうことなく、ジョーカーではない方のカードを引いた。
その瞬間、律子が手にしていたジョーカーを畳に落とした。