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泣き虫と彼女
「先輩、本当は泣き虫なんですね……。意外です。」
「……」
「ねぇ先輩、顔をあげてもらってもいいですか?」
「……?」
なんだろう。俺が顔をあげると「そのままで」と松家は言い、顔を近づけ……。
気づいた時には、すでに松家は俺から少し離れ、にっこりと笑っていた。
唇には、ほんのりとあたたかく、優しい感覚が残っている。
「お前……。」
「私も好きですよ、先輩。絶対……私、絶対に先輩の元に帰ってきます。だから……私の事、待っててくれますか?」
「……分かった。」
俺が涙を拭きながら言うと、彼女は安心したような顔をして言った。
「私が戻ってきたら、付き合ってくれますか?」
「当たり前だろ。」
そして、月曜日。
彼女がもう、あの場所に現れる事はなかった。




