親と彼女
「ーーーーッ!?」
俺が驚きのあまり声も出ず、目を見開いていると、彼女は「実は……」と話し始めた。
彼女の話しをまとめると、つまりはこういうことだった。
彼女……松家の両親は一年前、つまり俺と出会う2,3日前から仲が悪くなったらしい。
原因は父親の浮気。母親に知られてからは、家に帰って来ることも少なくなったらしい。
離婚の話は何回か出たが、「沙織が卒業するまでは……。」と言って、延期していたそうだ。
「……松家…。お前……。」
「それでですね。父親と浮気相手の間に子供が出来たらしいんです。それをきっかけに、結局離婚することになったんですよ。」
「卒業するまではしないんじゃなかったのか?」
「子供が出来たんですよ?もうこれ以上、一緒に暮らせないんだそうです。それに、私のために無理をしてほしくないですしね。私は母親と、東京の方に行くことになったんです。」
彼女は無理に笑って言った。
「……いつだ?」
「えっ……?」
「引っ越しの日だよ。いつだ?」
「明後日です。」
明後日……。月曜日か。もう、あの場所で……いや、もしかしたらもう二度と、彼女に会えないかもしれない。そう思うと、いてもたっても居られなくなってくる。
「もう先輩には会えなくなってしまうかもしれないから……。だから今日、ここに来たんです。先輩を誘って。」
また彼女は寂しそうに笑う。
「先輩。ちゃんと授業受けて下さいよ?」
「……松家……。」
あぁ……もう……止められない………。
「先……輩?」
気づいた時にはーーーーー
ーーーーー俺は彼女を抱きしめていた。




