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いつもの朝

作者: ぺゐ

今日、はじめて小説を書いてみようと思う。

小説というより、幼稚な日記に近いが…。


今朝方、ベッドで家族が家からでていくのを待っていると、階下にいる次女の方の姉からLINEが届いた。

なにやら怪しげなURLが貼り付けてある。

最近はよく、どこかしかのバンドの楽曲やらの動画を送りつけてくるので、とくにめずらしくもなかった。


今度はなんだと思いつつそのサイトにとんでみると、そこには姉のブログのようなものがあった。どうやら長女の方の姉らしい。

長女はノンフィクションの日常を日記風に書き綴っていた。

内容を見てみると我が家のできごとが書かれている。それは、昔の、家族がみんなそろっていたときの話であった。


父はいまでこそおとなしいが、当時は短気で何かにつけては怒り狂い、よく物を壊していた。

ある日、いつものように父が怒り近くにあったコップを母に向かって投げつけた。わざとか知らないがコップは床に叩きつけられ、長女のお気に入りのカエルが粉々になった。

長女は泣きながら、「どうしてお父さんはいつも物にあたるの!」と叫び、自分の部屋に逃げ込んだ。


宝物を壊されふて寝をしていると、いつのまにか部屋の中に父がいた。

「さっきはごめんね」と一言呟くと部屋をあとにした。このとき長女は、父は恐ろしく怖いが手をあげたことは一度もない事に気がついた。


あぁ、私の父親は自分ではどうしようもない病気なんだ。それでも頑張ってその気持ちを抑えて、家族を傷つけないように必死に堪えてたんだ。

それがわかった長女は、父が怒る度に心の中で「頑張れ、わかってるから心配しないで」

と応援するようになった。


そんな日々を過ごしていき長女は成長し、ある作文で優秀賞をもらった。

「正解は一つじゃない、真実は一つじゃない、正しい家族の形ではないのかもしれないけれど、私は私の家族を愛している。もしかしたら、家族の繋がりは思っているよりも曖昧で柔和なものなのかもしれない」そんなことが書かれていた。




しかし、現実はそうじゃない。

ある日、僕が母と寝ていると、父が母を叩き起こし何度も腹を蹴りつけた。その数日後、母はリストカットして自殺した。

幸い未遂におわったが、それからいくらもしないうちに母は実家に逃げるようにこの家を出ていった。


真実はそれを見る人によって形を変えていく。同じ家族だからって気持ちが全てわかりあえるなんてありえない、辛くても必ずいつか報われるなんて信じない。


長女の日記からはそんなことを感じた。


こんなどうでもいいことをたいした感慨もなしにスマホに書き出していると、父のバイクが家からでてく音が聞こえたので、「昼ご飯はなにがいいかな」などと考えつつ僕は誰もいないリビングへと降りていった。





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