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慟哭の4月
「ちくしょう……」
まだ昼過ぎだというのに、日は雲に覆われ、あたりは仄暗い。 降りしきる雨の中、それは辛うじて聞きとれた。
嘆きは、横を歩きながら拳を震わせる、高田のものだった。
「こんなの……悲しすぎるだろ……」
水を跳ねて、絶え間なく車が走る街道。
青や赤などで彩られた車のライト。 向かい鏡のように果てのない街灯。 純真を汚すネオンや広告。
様々な光に包まれてなお、彼の嘆きには凄惨さが滲んでいた。
僕にも、彼の気持ちは痛いほど分かる。
――四月九日。 これは、人生で幾度も経験できないであろう特別な日だった。
なのに、分からなくなってしまう。 なんのために僕はこの道を選んだというのか。
そして、彼の次なる言葉は、僕の気持ちの全てを代弁してくれた。
「クラスに一人も、美少女がいないなんてっ……!」